2026.06.30
トルコ・イスタンブールでの挑戦が、日本男子バスケットボール界の未来を担う17歳の可能性をさらに広げている。「FIBA U17バスケットボールワールドカップ2026」に参戦中のU17日本代表でエースを務める白谷柱誠ジャックのことだ。
グループリーグ第2戦で大会7連覇中のアメリカ代表に66-128で大敗したあと、汗だくのまま、課題をかみ締めるような表情でこう語った。「もう本当に、さすがです。バスケットボール界を代表する国のプレーを体感させてもらい、本当にいい経験になりました」
チーム最大の得点源ながら、スコアは10得点止まり。櫻井照大と越圭司が負傷欠場し、白谷がポイントガードを担う時間も長かったなか、ターンオーバーは1人で11回に上った。
しかし、2日後のフランス戦ではゲームハイの33得点。ターンオーバーは4つと少なくはない。ただ、38分50秒の出場で徹底マークを受けたことを加味すれば、ミスは「抑えられた」と言えるだろう。世界の強豪国と対峙し続けるなかで、「いい経験」から何を学び、何を改善したのか。
大会初日のイタリア戦で力強いペイントアタックを中心に27得点を挙げ、迎えたアメリカ戦。
警戒された白谷は一対一でプレッシャーをかけられ、ピックを使うと即座にスイッチされる。アタックしてもすぐに2人目、3人目がドライブコースに入ってくるなか、積極的に放った3ポイントシュートが6本すべて失敗に終わり、得点が伸び悩んだ。アメリカは高い身体能力を備えた200〜210センチ台の選手が多く、不慣れな高さや腕の長さによる圧力を受ける状況下で、不用意なパスをカットされる場面も目立った。
それでも、本人は苦い経験を後ろ向きには捉えていなかった。
「最初からタフなディフェンスが自分に付いてきて、ターンオーバーがとても多くなり、自分がステップアップすべき課題を感じることができました。フィジカル面、スキル面がまだまだ足りないと思いました」

アメリカ戦では徹底マークに [写真]=fiba.basketball
国内における同世代との対戦ではサイズの優位性が大きい白谷だが、194センチという身長は世界水準では決して大きくはない。そのため、このレベルの国を相手にメインのポイントガードを担ったことは極めて大きな経験となったはずだ。
U17日本代表を率い、白谷が所属する福岡大学附属大濠高校でも監督を務める片峯聡太ヘッドコーチは、ポジションの配置はケガ人の影響があったことを認めつつ、「そもそもジャックはポイントガードとして育てていきたいという私の意図もあります」と明かす。
11ターンオーバーという結果も、教え子の成長の糧になるとみる。
「彼の縦のドライブで切っていく強さは、間違いなく日本の武器になっていくと思います。ミスとはしっかり向き合ってほしいけれど、この舞台でアメリカ相手にポイントガードを経験できたことは、彼のキャリアにおいて素晴らしい分岐点になるはずです。この大会のなかで、ポイントガードとしてより成長させていきたいと思っています」
白谷の最大の武器であるフィジカルの強さとスピードを兼ね備えた突破力を最大限に生かすためにも、ゲームを組み立てる視点や判断力を身に付けることが、さらなる飛躍へのカギになると指揮官は考えている。
もちろん、フィジカルやスキルがすぐに向上することはない。それでも、フランス戦では早速、ガードとしての視野の広がりをうかがわせた。
オフェンスで相手にスイッチされて一対一に追い込まれる前にパスをさばき、オフボールスクリーンを使った動きのなかで再びボールを受けてアタックを仕掛けたり、ピックからショートロールした味方にパスを落として相手ディフェンスのズレを突いたり。ペイントエリアに進入したあとのキックアウトの意識も常に持ち続けていた。
「しっかり止まることや、1回でプレーを終わらずに何回も続けることはアメリカ戦の反省だったので、そこは考えながらやりました」と白谷。味方を生かすプレーについては、こう振り返った。
「自分がボールをずっと持って攻めてからパスを出すんじゃなくて、まず自分が散らして、散らして、最後に自分が攻めることを意識しました。自分に寄ってくるということは、ほかの選手に対するディフェンスがルーズになるので、そこは生かしたいと考えていました」
この試合では3ポイントシュートを7本決め、自身の吸引力が増したことも選択肢の幅を広げる要因になったはずだ。「外のシュートを見せると相手ディフェンスの距離感がどんどん詰まってくるので、そうなったら自分のスピードやドライブが生きると思っています」と、理想とする攻撃を体現した。3ポイントシュートの安定性向上は、白谷の今後の成長を占ううえで重要なポイントになるだろう。

フランス戦では7本の3ポイントを決めた [写真]=fiba.basketball
世界最高峰との対戦で実感した課題を整理し、すぐにプレーで示した白谷。U17ワールドカップは順位決定戦を含めて全7試合を戦うことができ、日程はまだ折り返し地点にある。この舞台だからこそ引き出されるポテンシャルが、この先どこまで広がっていくのか注目だ。次戦、リトアニアと対戦する順位決定ラウンドは、7月1日日本時間の18時ティップオフ予定。
文=長嶺真輝
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