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勝てばベスト8進出となる7月27日の「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。女子3回戦では浜松開誠館高校(静岡県)が精華女子高校(福岡県)に挑んだが、2−12とされた第2クォーターのビハインドを跳ね返せず、最終スコア46−59で敗れた。
チームはこの試合、「打ててはいたんですけど、単純に決めきる力がなかったです」と三島正敬コーチが振り返ったように、40分間で45本もの3ポイントシュートを放つも、わずか8本の成功にとどまった。
一方の精華女子は、アウトサイドの守備を多少薄くしてでもインサイドの守りを固めた。その理由を、大上晴司コーチはこう話す。
「後藤選手ですね。彼女にペイントアタックされてファウルトラブルになってしまうことが一番嫌でしたので、とにかく中に入られないようにチームとして準備してきました。そこはある程度機能したと思います」
後藤は今大会の初戦で31得点、2回戦では20得点をマークした。だが、この試合では15得点。リバウンドも15本を記録してダブルダブルをマークしたが、相手の執拗なマークに苦しめられた。
「今日は相手に守られてしまって、なかなかボールをもらえず、シュートも決めることができませんでした。その分、リバウンドを取ることを意識していたんですけど、オフェンスリバウンドを取ってもセカンドチャンスを決めきれなかったです」
試合終了直後、後藤は目を潤ませた。三島コーチは「無理に後藤にボールを入れず、もっと周りの選手にやらせてもよかった」と悔やみつつ、彼女へも厳しい言葉を向けた。
「あの子は1回インサイドに入ってダメだったら、嫌になって外でプレーしてしまうんです。もっとしつこく中でプレーしてほしかったんですけど、今日も外に出てきてしまいました。決めるべきシュートも落としていましたし、まだ未熟で力が足りないですね」
後藤は「FIBA U16女子アジア選手権大会2023」に出場していたため、インターハイ直前までチームを離れていた。しかし、「代表合宿中も相手のビデオを見て対策はしていたので、そこはみんなと共通認識を持っていました」と本人は言う。日本代表と自チームでのプレーの違いについても、「開成館ではポストプレーが多くなりますけど、どっちのチームでもドライブで攻めるので、ちょっと違うくらいです」と、大きなギャップはないと話した。
しかし、ベスト8をかけて一戦では力を発揮できず、惜しくもその手前で敗戦。自身2度目のインターハイは3試合で終えたが、昨年のチームは初戦で敗れている。アジア選手権も経験できた後藤は、代えがたい夏を過ごしたはずだ。
「やっぱりどこのチームもまずは自分のところを守ってくると思います。もっと周りの選手を生かせるようにアシストを磨いて、ディフェンス面も強化していきたいです」
世代屈指のオールラウンダーは、この悔しさを糧に次の目標へと歩みはじめた。
取材・文=小沼克年
写真=伊藤大允