2023.08.30

豪州戦で日本の攻撃をけん引した富樫勇樹…五輪出場に向けて「必ずアジア1位に」

2試合連続で無得点だったが、オーストラリア戦で14得点をマークした富樫 [写真]=伊藤大允
フリーライター

 8月29日、沖縄アリーナで「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」の1次ラウンド最終戦が行われ、日本代表(FIBAランキング36位)はオーストラリア代表(同3位)と対戦した。

 17-25と第1クォーターで8点のビハインドを負った日本は、第2クォーターでもオーストラリアのバランス良い攻めの前に失点が続いてしまい、前半を37-57で終了。だが、「後半は勝とう」というトム・ホーバスヘッドコーチのもと、第3クォーター以降は機動力を活かした激しいディフェンスと積極的な攻めで点差を縮めていった。最終的には89-109で敗れたが、後半のスコアは52-50と上回って試合を終えた。

「1対1(のシチュエーション)で最後に“打たされるシュート”を打つことが続いてしまい、前半は自分たちの準備してきたことが出せなかったと思います」と、前半について語ったのはキャプテンの富樫勇樹千葉ジェッツ)。そして後半については、このように振り返った。

「全員が動いていたと思います。僕たちより完全に相手のほうが疲れていて、スイッチの甘さなど、前半よりもディフェンス面で相手のちょっとしたミスがあった印象。そこで自分たちの強みであるスピードと運動量でカバーできたのかなと思います」

 富樫は、オーストラリア戦ではバックアップメンバーとして出場。第1クォーターの残り約5分の時点でコートに立つと、そこから約1分半後には3ポイントシュートを鮮やかに決めた。その後も隙さえあれば果敢にシュートを放ち、終わってみれば21分52秒の出場で14得点をマーク。また、安定したゲームメークと好パスでチームメートのシュートを演出するなど7アシストも記録した。

強豪相手に14得点7アシストと上々の数字を残した [写真]=伊藤大允

「(それまでの)2試合は、シュートが入っていなかったのですが、僕ができることは切り替えて自分のシュートを打ち続けることだと思うので、そこの切り替えはすごくできていたのかなと思います」と富樫。さらには、「特にドイツ戦は、自分が打たなかったというよりは、打たせてもらえなかった。消しにきているなという印象がありました。今日は空いたらシュートというのを思いきり、しっかりと打つことができたかなと思います」とも発した。

 それでも、「なかなかチームの勝利に貢献できてないので、残り2試合、自分たちにはパリオリンピック出場をつかむという目標に向けてチームとしてもう1回準備をしたいです。必ずアジア1位になって、パリへの切符をつかんでこの大会を終えられるように頑張ります」と、気持ちを引き締めた。

「後半、多くのシュートも生まれたので、オフェンスであそこまでチームとして動くことができたことは、収穫になったと思います。(逆に)前半のように足が止まっているオフェンスでは、なかなか機能しないということは感じました」と、オーストラリア戦での課題と収穫を語った富樫。加えて、「ドライブして、キックアウトして、もう一回アタックしてというような連動して動くことは自分たちのやりたいバスケット。正直、オーストラリアは優勝候補の一つだと思っているので、そのチームを相手に、前半の内容から切り替えて後半を勝てたということは、チームとして自信につなげていいと思います」と、胸を張った。

 日本は2次ラウンド進出こそ逃したものの、アジア1位に与えられる「2024年パリオリンピック」の出場権を獲得するという目標に向けての戦いは続く。残り2試合。強豪オーストラリアとの一戦でつかんだ手応えを持って、順位決定戦へと挑む。

文=田島早苗

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