2025.08.06
8月5日から17日にかけて開催される「FIBAアジアカップ2025」。トム・ホーバスヘッドコーチ率いる男子日本代表が54年ぶりとなるアジア制覇を目指す今大会を前に、3年前の2022年に行われた前回大会をプレーバック。河村勇輝や富永啓生が頭角を現し、チームが一つの転機を迎えた“あの夏”を今一度見つめ直す。
・FIBAアジアカップ2022 男子日本代表メンバー
#2 富樫勇樹(PG/千葉ジェッツ)
#3 エヴァンスルーク(C/ファイティングイーグルス名古屋)
#12 渡邊雄太(SF)
#16 佐藤卓磨(SF/千葉ジェッツ)
#17 須田侑太郎(SG/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
#19 西田優大(SG/シーホース三河)
#33 河村勇輝(PG/横浜ビー・コルセアーズ)
#39 富永啓生(SG/ネブラスカ大学)
#45 テーブス海(PG/滋賀レイクス)
#71 井上宗一郎(PF/サンロッカーズ渋谷)
#88 張本天傑(PF/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
#91 吉井裕鷹(SF/アルバルク東京)
トム・ホーバスHCは2021年9月の就任以来、若手からベテランまで幅広い選手を招集し、男子日本代表の強化に努めてきた。2022年の夏はアジアカップのほか、「FIBAバスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選」も行われ、多くの公式戦が予定されていた。ホーバスHCは、一夏を通じて自国開催のワールドカップ2023に向けたトライアウトを行う意向を明らかにしていた。
そうした方針のもと招集されたのが、上記の12名だ。富樫勇樹や張本天傑、そしてNBAから参戦した渡邊雄太を除けば、多くは日本代表歴の浅い若手で構成されていた。特に当時21歳の河村勇輝と富永啓生、23歳の井上宗一郎とテーブス海、24歳の吉井裕鷹らは、その夏にFIBA公式戦初出場を果たしたばかりの選手たちだった。しかし後に彼らがワールドカップやオリンピックで見せた活躍を考えれば、2022年のアジアカップは男子日本代表にとって重要なターニングポイントだったと言えるだろう。
・グループステージ試合結果
日本 100○68 カザフスタン
シリア 56○117 日本
イラン 88●76 日本
「グループステージで1位になることが最初の目標。勝ちたいし、優勝したい」というホーバスHCの言葉からわかるとおり、トライアウトの要素はありつつも、チームはあくまでも優勝を狙って大会に臨んだ。しかし、グループ初戦のカザフスタン戦は前半を終えて3点ビハインドと大苦戦。流れを変えたのはベンチから登場した河村だった。持ち前のディフェンスとパスセンスでチームをけん引し、最終スコア100-68という大勝の立役者に。約13分の出場で8得点8アシスト3リバウンド2スティールというスタッツも残し、渡邊が「MVPは彼だった」と手放しで称賛するほどのプレーぶりだった。

初戦から“ゲームチェンジャー”となった河村[写真]=Getty Images
迎えた3試合目では、元NBA選手で身長218センチの高さを誇るハメド・ハダディらを擁する強豪・イランと対戦。日本は立ち上がりから終盤まで劣勢を強いられ、第4クォーターになんとか点差を縮めるも、最終スコア76-88で敗れた。それでも、敗戦の中で光ったのはベテランたちのプレーだった。渡邊はエースとして17得点10リバウンドとダブルダブルの活躍を見せ、張本も9得点に加えて高さのあるイランに対して体を張ったディフェンスでチームを支えた。若いメンバーはハダディの高さに圧倒される場面もあったが、それらもすべて貴重な経験。試合後に行われた会見で渡邊はチームや選手の伸び代について以下のように語っていた。
「220センチ近い選手との対戦は普段なかなか経験できないので、みんなどこか萎縮してしまった部分はあったと思います。でも、僕も20歳のときに220センチの相手に飛び込んでいって、レイアップを決められたかって言われたら、あの頃はできなかったと思います。昨日の試合はチームにとっていい勉強に間違いなくなったので、日頃の練習からあのサイズの選手をいかに意識してやっていけるかが重要です」

198センチの張本が小柄に見えるほどの体格を誇るハダディ [写真]=fiba.basketball
・ベスト8決定戦
日本 102○81 フィリピン
・ベスト4決定戦
オーストラリア 99●85 日本
2勝1敗でグループステージを突破した日本は、トーナメントの初戦でラベナ兄弟やレイ・パークスジュニアらを要するフィリピンと相対した。イラン戦後に渡邊がチームに伝えた「下を向く必要はぜんぜんない」という言葉が功を奏し、日本は序盤から相手を圧倒。後半立ち上がりに渡邉が負傷交代するトラブルに見舞われながらも、キャプテンの富樫が5本の3ポイントを含む18得点6アシストの活躍でチームを引っ張り、21点差での勝利に導いた。

フィリピン戦で圧倒的存在感を放った富樫[写真]=Getty Images
圧倒的なフィジカルで攻め寄せるオーストラリアを相手に、渡邊に変わって得点源を担ったのは21歳の富永だった。終始リードされる展開の中、第1クォーターから3本の3ポイントをヒット。次第に相手のマークが厳しくなるなか、3ポイントラインから遠く離れた位置からのディープスリーも次々と沈め、チームトップの33得点を挙げる活躍を見せた。何度突き離れても、自らの得点で追い上げる姿はまさしくエースと呼べるものだった。

驚異的な得点力を見せた富永[写真]=Getty Images
そして迎える2025年。今回のメンバーには富永やテーブス、吉井、西田といった、あの時悔しさと手応えを同時に味わった選手たちが中核メンバーとして名を連ねる。さらに、いまだ健在の富樫に加え、ジョシュ・ホーキンソン、馬場雄大ら世界の舞台を知るベテランがチームを支え、これからの成長が楽しみな若手たちも顔をそろえた。今大会もホーバスジャパンの挑戦から、目が離せない。
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