2020.05.08
8月24日、今年で95回を迎える関東大学バスケットボールリーグ戦が開幕した。この日は、1部と2部の全24チームが駒沢オリンピック公園総合運動場に集結。1部のオープニングマッチは、東海大学vs早稲田大学というカードとなった。
「我々のモットーであるディフェンス、リバウンド、ルーズボールでイニシアチブが取れた」(陸川章ヘッドコーチ)と、試合は立ちあがりから東海大が主導権を握った。3ポイントを得意とする早稲田大に対し、東海大はオールコートでプレッシャーをかけ続けてタフショットを打たせることに成功。82得点を奪ったオフェンスもさることながら、失点をわずか42点に抑えた“ディフェンスの勝利”で開幕戦を飾った。
リーグ戦連覇へ向け好スタートを切った東海大だが、現在はケガ人を多く抱えておりチーム状態は決して良いとは言えない。本来であればスターティングファイブに名を連ねる笹倉怜寿(4年)と大倉颯太(2年)に加え、3年生の津屋一球らが復帰までもう少し時間を要するという。
「全員そろって開幕を迎えられなかったことに関しては非常に残念です」と試合後に吐露したのは、チームの大黒柱であるセンターの平岩玄(4年)。大学屈指の選手層を誇る東海大で1年次から先発を勝ち取り、「FIBAバスケットボールワールドカップ2019」の予備登録メンバーにも選出されるなど豊富な経験を持つ平岩でさえも、「初戦ということもあり慎重になった」。
平岩もリーグ戦前に足首を負傷した。現在は完治しているが、まだまだ本調子ではない。それでも、この日は約11分の出場で11得点をマーク。将来を見据えて強化中の3ポイントも先制点で決めてみせた。
「個人としては外のシュートが課題ですけど、今年はチームオフェンスのスタイルも変わったので、ポストでボールを持つことも意識しています」という平岩は、最上級生となり、当然チームを引っ張る意識も一層強くなっている。「ボールに絡まない部分でもチームを動かさないといけない」。
この夏、東海大は名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、シーホース三河、川崎ブレイブサンダース、サンロッカーズ渋谷などBリーグのチームと精力的に練習試合を行い強化を図った。「ある程度通用したことはチームとしてすごくプラスになった」と、平岩は手応えを口にする。
早稲田大との試合で披露した攻めるようなプレッシャーディフェンスは、「この夏、非常によかった」と、陸川HCが高い評価を与えたガードの春日恒太郎(4年)と坂本聖芽(2年)が先頭に立って勢いをつけたものだ。その光景は「セカンドユニットの方が、相手が攻めるのを嫌がると思うくらい」(陸川HC)のインパクトを残した。
約2カ月半に及ぶ秋のリーグ戦。開幕時にベストメンバーがそろっていないということは、その分まだまだ強くなる可能性が大いにあり、現在の控えメンバーには試合に出れるチャンスがあるということだ。
成長著しい佐土原遼(2年)、坂本などが台頭し、平岩とともにワールドカップ予備登録メンバーに選ばれたシューターの西田優大(3年)、196センチの八村阿蓮(2年)らのタレントも並ぶ東海大。ケガ人を抱えているとはいえ、今年も優勝候補筆頭であることは間違いない。
「今日は個のディフェンスの強さは出せましたが、戦術として準備したチームディフェンスはまだまだやりきれていないです。2連覇を狙うのではなくて、また新しいチャンピオンを獲りに行くという気持ちが大事だと思っています」(平岩)
まだ初戦を終えたばかりだが、リーグ戦連覇を成し遂げたその先には、インカレ2連覇も懸かっている。
文=小沼克年
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