2022.10.26

12年目のシーズンを迎えた富士通・町田瑠唯…「自分が攻める気持ちは忘れずにいたい」

Wリーグ開幕戦から元気なプレーを見せてくれた町田 [写真]=W LEAGUE
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

「今日のゲームは割と自分たちのペースでできたと思うのですが、やっぱり昨日のゲームは前半が本当に悪くて。自分たちのやられたくないところをやられてしまい、なかなかリズム乗れずに、苦しい展開になったと思います」

 富士通レッドウェーブにとって開幕ゲームとなった10月21、22日の東京羽田ヴィッキーズ戦。司令塔の町田瑠唯は2戦目のあと、こう2連戦を振り返った。

 昨日のゲームとは1戦目のこと。その試合は、第1クォーターで5本の3ポイントシュートを決められて30失点。いきなり12点のビハインドを負うこととなった。その後、立て直しを図り、第4クォーターに逆転に成功。結果的には77-73で勝利したものの、多くの課題が残る試合に町田の表情も険しく、第1戦での反省が口をついて出た。

 また、自身についても、「まだ迷っているところがあり、そのちょっとした迷いがミスになっていたことが1戦目は多かったと思います」と、第1戦でのターンオーバー4つについて言及。

 だが、「お互いにスピードがあって運動量のあるチーム。そこでバタバタしてペースを作れなかったところがあったので、(2戦目は)それを改善して速いバスケットを作るときとペースダウンして1本作るときとを調整しながらやりました」と、第1戦での課題を修正した2戦目では巧みなゲームメークで序盤から主導権を握る展開を演出。自身もターンオーバーを2つに抑えた。

 それでも町田は、「(2戦目の)ターンオーバーは2つだったけれど、相手がトラップに来たところで対応しきれず、そこでミスがありました。それは予想していれば対応できたこと。これからは、相手にどういうディフェンスをされても対応できる準備をしたいです」と言う。

 町田は、第1戦では12得点6アシストを記録。「前半の流れが良くなかったので自分が点を取ろうと思いました」と、特に前半は積極的な攻めが目立った。対して後半は、「どうしてもゲームコントロールをメインでやらないと流れがつかめないと思った」こともあり、2得点のみに。第2戦でも「自分でシュートを打っていくことは考えていましたが、それよりもみんなのシュートが入っていたし、走ってもいたので、みんなに行かせた方が点につながると思いました」と、自身の得点は4点で、逆に11アシストをマークした。

東京羽田との第2戦では早速11アシストをマーク [写真]=W LEAGUE


 町田の持ち味はアシストや仲間を生かすゲームメーク。周りの選手が好調であれば、それを生かしたいという思いが強いポイントガードだ。だが一方で、得点面については以前から、本人も課題として捉えていること。

 だからこそ、「ゲームメークは自分の仕事なので、それをやることは悪いことではないと思っています。だけど、大事なところ、一本欲しいときにチャンスがあったらシュートを打っていくことは、今後、(昨シーズンの)上位チームと当たる中で大事になってくるので、どの試合でも自分が攻める気持ちは忘れずにいたいです」と語る。

 加えて「でも、どっちを選択するかというのは、(試合の中で)自分の判断でできるようにしておきたいです」とも力強く発した。

 町田の所属する富士通といえば、どうしても篠崎澪の引退とオコエ桃仁花のギリシャリーグへの移籍とで、昨シーズンから2人の得点源が退団したことが話に出てきてしまう。

 しかし、町田は「やること自体は同じです。昨シーズンと目指してるものが変わってないので、メンバーは変わってはいるけど、昨シーズンと同じようなディフェンスの質でやっていけたらと思います」と、キッパリ。

 さらに、「私も宮澤(夕貴)もチームに合流したばかりで、まだかみ合っていないところがあるし、オフェンスを作る上で私自身も、まだ新しいバスケットに慣れてないところがあります。試合を重ねていきながら、そこを徐々に良くなるようにしていきたいです」と、抱負を語った。

 チームの現状を把握し、また長いシーズンを見据えてしっかりと言葉を発する姿には、落ち着きさえ感じさせる。今年は5月から約4カ月、世界最高峰のリーグであるWNBAでもプレーした。昨シーズン同様に今シーズンも大きな注目を集める中、町田の12年目のシーズンが幕を開けた。

取材・文=田島早苗

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