Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
「京王 presents Wリーグプレーオフ 2023-2024」のファイナル第1戦が4月13日に武蔵野の森総合スポーツプラザで行われ、富士通レッドウェーブ(レギュラーシーズン1位)がデンソーアイリス(レギュラーシーズン2位)と対戦。16年ぶり2度目のリーグ制覇を目指す富士通と初のリーグ優勝と昨年末の皇后杯との2冠を狙うデンソーがファイナルで初めて顔を合わせた。
第1クォーターは16−16の同点で終えるも、第2クォーターに入ると富士通は町田瑠唯が躍動。3連続でジャンプシュートを沈めるとグッと流れを引き寄せる。それでもデンソーは赤穂ひまわりのゴール下や馬瓜エブリンの3ポイントシュートで対抗。前半は富士通が36−32とリードして折り返した。
後半に入り、得点を重ねたのが富士通。宮澤夕貴がゴール下や3ポイントシュート等多彩な攻めを見せてリードを11点とし、あっという間に2ケタ点差にすると、富士通がペースをつかんだかに見えた。
しかし、第4クォーターに入るとデンソーが粘りを見せる。髙田真希、赤穂(ひ)、馬瓜といった主力がシュートを決めて、点差を5まで縮めることに成功。それでも富士通は奪ったリードを渡すことなく、デンソーを残り2分間無得点に抑えるディフェンスを見せて、64−57と大事なファイナルの第1戦を勝利した。
この試合、レギュラーシーズンの平均得点が79.81点とリーグ1位のオフェンス力を誇るデンソーを50点台に抑えたことが富士通の勝因に挙げることができるだろう。しかもそれは試合開始直後のつばぜり合いの中で、確実に富士通が先手を打っていたことが大きかった。
試合後の会見で「シンプルに富士通がアグレッシブだった。結果は7点差での敗戦だが内容的には僅差ではなかったと思う」と振り返ったのはデンソーのヴラディミール・ヴクサノヴィッチヘッドコーチ。「今シーズンは出だしからリードする試合が多かったが、今日の試合はそれに対応されてしまった」と、ヴクサノヴィッチHCは敗因に言及した。
対する富士通のBTテーブスHCは、自分たちがどんなスタートを切れるかにフォーカスしていたという。「心配というわけではなかったけど、うちの選手がどんなプレーをするのかを注視していた。でも、大丈夫だった」と、試合後の会見で笑顔を見せた。
「デンソーはディフェンスもオフェンスもしっかりやってくるチームなので接戦になると思っていた」とデーブスHC。それでも自分たちのペースを握れたのは「今日の試合はディフェンスのルールを失敗する回数が少なかった。失敗は仕方ないけど、その回数を減らそうとチーム作りをしてきた」(テーブスHC)という成果の表れとだった。
先に2勝すれば雌雄を決する短期決戦にあって、第1戦を制したことは富士通に有利に働くだろう。しかし、デンソーも諦めていない。
ヴクサノヴィッチHCは「明日がバスケに取り組む姿勢から修正したい。失うものはなにもない。勇敢に戦わせたい」と力を込めた。そうなれば、勝敗を分けるポイントは試合の入り方であり、試合の出だしで、どちらのチームが自分たちのバスケをやりきれるかにかかってくるだろう。
文=入江美紀雄