2024.07.14
「悔しい気持ちです。それに尽きるかなと思います。正直、自分自身、次があると思ってこの大会に来ているわけではないので、4年に一度の大事な大会をここで終えちゃったというか、次に行けなかったというのが本当に悔しいです」
オーストラリアのシドニーにて開催された「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022」。予選敗退で終えた女子日本代表の渡嘉敷来夢(ENEOSサンフラワーズ)は、大会の感想をこう語った。
先に挙げた悔しい気持ちを、「シンプルに自分の力不足」という渡嘉敷は、「(ヘッドコーチの)恩塚(亨)さんが求めるバスケットを遂行できなかった。そこが一番ダメだったところですかね。自分が何かをできなかったというよりは、チームが求めていることだったり、恩塚さんが求めていることができなかったのは申し訳ないと思います」と続けた。
渡嘉敷は、2020年12月に負った右膝前十字靭帯断裂の影響で、東京オリンピックの日本代表に名を連ねることはなく、仲間の活躍を離れた場所から見ていた。だがその後、2月10日~13日の期間で大阪にて行われた「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022 予選」(以下ワールドカップ予選)で再び日本代表に復帰すると、オリンピックとともに世界の2大大会とも評されるワールドカップに8年ぶりの出場を果たした。
久しぶりに世界一を決める場に帰ってきた渡嘉敷には、大会前からFIBA(国際バスケットボール連盟)も彼女を取り上げた映像を作成するほど、その注目は高かった。
しかし、大会では1試合平均18.3分の出場で4.4得点5.2リバウンド。本人の納得のいく数字とはいかず、手応えに関しても、「オフェンスでもディフェンスでも『ここは手応えがあった』と言えるところは思いつかないです。ただ、みんなで最後まで戦い切ることは大会を通してできたことだと思います」と語った。
とはいえ、圧倒的な数字を残したわけではないものの、「絶対に相手に取らせない、自分が取れなくても相手に取らせなかったら、誰かしら味方が取ってくれると思っていたので、気持ちで入っていた」というリバウンドでは、やはり193センチでジャンプ力もある渡嘉敷の高さは効いた。
「(相手の)大きい選手にゴール下で取られるとそのまま(シュートに)いかれてしまうので、私が出ているときは、それを絶対にさせないという気持ちでやっていたし、取れなくても外に弾き出すこともしていたので、スタッツには付かないところでも、リバウンドに関しては頑張れたのではないかと思います」(渡嘉敷)
また、ディフェンスでの貢献も大きく、渡嘉敷も「ディフェンスだったら、まだまだ世界でもやりあえるんじゃないかなと思います」とコメントした。
いや、『ディフェンスだったら』ではなく、オフェンスだってこの先も期待したい。
大会ではドライブからシュートを決め切ることができなかったシーンもあったが、それについても「実力」と捉えた上で、渡嘉敷は、「それこそドライブに行かなかったらシュートが外れる外れないも分からなかったことなので、思い切ってシュートに行けて良かったです。ちょっと力んじゃったので、そこは試合を通してもっと打っていけたらアジャストできたかなとも思います」と言う。
大会を通して“らしさ”は「100パーセント中10パーセント」しか出せていないという渡嘉敷。ただ、世界の選手を相手に戦ったことには「本当に楽しかったなって思います」と声を弾ませた。
約2年前の大ケガは、シュートブロックに跳んだ際の着地で受傷した。それを踏まえ、「それでも今回、あれだけ思いっ切りブロックに跳べたのは、次につながるのかなって思いました」と、渡嘉敷。
取材・文=田島早苗
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