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9月5日、東京パラリンピックの車いすバスケットボール競技の男子決勝戦が行われ、快進撃を続ける日本代表は、リオ大会の優勝チームであるアメリカ代表と対戦した。
一進一退の試合展開となるが、最終クォーターの中盤にアメリカに逆転を許すと、最後は60-64とわずか4点差で敗戦。金メダルには届かなかったものの、日本はパラリンピックで初となる銀メダルを獲得し、今大会を終えた。
試合後にメディア対応を行った京谷和幸ヘッドコーチは「4点差ということで、最後の最後に選手たちを勝たせてあげられなくて申し訳ないなという気持ちがあります。ここまで選手たちは、僕の要求する戦術をすごく理解してくれて、今日もコートで対応してくれた。本当に誇らしい12人です」と決勝戦を振り返った。
「メダル獲得という目標を達成できたので良かったと思います」と話す京谷HCは「初戦のコロンビア戦から一心になって選手たちが成長してくれた。その成長が自信になって、普段出せないような力まで出してくれたんじゃないかなと思います。1.5倍の運動量、ディフェンスで世界に勝つということを僕は就任してから言い続けてきました。今日は大会を通じて一番良かったんじゃないかなと思うくらい、いいディフェンスをしてくれました」と奮闘した日本代表チームを労った。
今大会は選手だけではなく、京谷HC自身にも大きな挑戦となった。「国際大会でA代表を率いたのは今回のパラリンピックが初めてでした。正直プレッシャーもありましたけど、コートに立つとなぜか非常に落ち着いてゲームに臨めました。後ろに控えてくれていた及川(晋平)監督だったりトレーナー、メカニックやコーディネーターと、スタッフの力があって、リラックスした状態で毎回コートに立てたんだなと思います」と初の大舞台を終えた感想を語った。
また、京谷HCは今大会の日本代表の躍進について、1つの大きな要因を語ってくれた。
「今回選んだ12名のほかに、ずっと一緒にしのぎを削ってくれた通称“ピンクファイブ”というメンバーがいるんですけど、持ち点オーバーの15.5点くらいの5人が、非常にいい対戦相手になってくれていました。シュート力もスピードもあって、10分ゲームをやると負けることも多かったです。そんなここにはいない5人と、それまで切磋琢磨して競争力を高め合ってきた強化指定選手のメンバー。そういった選手たちの力が彼らを大きく成長させてくれたと思っているので、今回参加したのは12名ですけど、この1年一緒にやってきた選手たちすべての力かなと思います」
さらに、キャプテンを務めた豊島英については「このチームは豊島じゃないとダメだったと思います。言葉が多い選手ではなく、鼓舞して引っ張るタイプでもないですけど、なぜか若い選手、ベテランや同世代からも信頼されている。多くのことは語らないですけど、行動やプレーで示してくれる。コロナ渦でも選手だけを集めて、オンラインでミーティングをしていたとも聞いてますし、僕も絶対の信頼を置いていました。彼にメダルを取らせてあげることができて良かった」と最大限の賛辞を送った。
今回の銀メダル獲得により、世間での車いすバスケットボールの関心は今までになく高まっている。同じく銀メダルを獲得した女子5人制バスケットボール同様に、車いすバスケ界も重要な分岐点に立っているのかもしれない。
「これで満足してしまうとそれで終わってしまう。ここからなんです。この銀メダルを取った後に我々が何を残していくか、どういう行動を起こしていくかが非常に重要だと思います。今は選手たちを喜びに浸らせておいて、チームが解散する時のミーティングで、若い選手たちには発破をかけようかなと思ってます」
今大会の日本代表メンバーや京谷HC、そしてこれから代表入りするであろう若い選手たちが、次のパリ大会に向けてどんな行動を起こしていくのか、これからも注目していきたい。