2025.02.26

Gリーグ公式が日本代表・富永啓生のドキュメンタリー映像を公開…私生活に密着し、得意料理も披露

アメリカで奮闘する富永がGリーグ公式のドキュメンタリー動画に出演[写真]=Getty Images

 NBA入りを目指してインディアナ・マッドアンツで挑戦を続ける富永啓生が、特定の選手やコーチのバッググラウンドを追いかけるGリーグの特集『On The Grind』に登場した。

 約10分間のショートドキュメンタリーは、富永が日本とアメリカの環境の比較や現在の食生活などについて語り、人柄とキャリアの双方が垣間見える内容となっている。

 同エピソードは、バスケットボールが日本国内で年々盛んになっていることを喜ぶシーンからスタートする。そして、開口一番にバスケットボールを始めた経緯と、この競技へ対する愛情を語ると、夢に向かってアメリカで生活することへの不安はなかったと続けた。

「僕は何よりもバスケットボールがしたいんです。バスケットボールを辞めたいと思ったことは一度もありません。小さい頃はバスケットボールを除いて、他のスポーツを観戦したことさえありませんでした。僕は両親が日本でバスケットボールをしていて、育っていくうちに彼らのプレーを見るようになり、それが僕がバスケットボールを始めた大きな理由です」

「中学や高校は実家から少し距離があったので、自分で生活するのは初めてではありません。アメリカに行く上では良い経験になりましたね。一人暮らしをしたことがない人と比較すると、少しは楽だったかもしれません。料理もこなして、洗濯もしますし、身の回りのことはすべて自分でできます」

徐々にGリーグで結果を残し始めている富永[写真]=Getty Images

 次第にGリーグでもリズムをつかみ出し、オールスター前のバーミンガム・スクアドロン戦では17得点を記録。1試合あたりの出場時間は8.9分とまだまだアピールの余地はあるが、限られたプレータイムの中で平均6.1得点、3ポイント成功率54.5パーセントというスタッツは決して悲観するものではない。

 冒頭にも記述したように、富永の夢はNBA入りを果たすこと。決して簡単な道のりではないが、背番号30は誰よりも自分自身を信頼している。

「夢があるからこそ、NBAで活躍するために日々努力し、日々自分の力を証明しようとする意欲が湧いてくるのだと思います。それが僕を突き動かしているんです」

 一方で、富永は日本を離れることへの寂しさも感じている。インタビューではアメリカの生活で最もハードなこととして、日本食に触れる機会の少なさを嘆いている。しかし、食べられないなら自分で作るまで。エピソード内では制作陣を自宅に招き、得意料理の親子丼を披露しており、たまねぎをスライスする姿や加熱調理は手慣れた様子だった。

 かねてからアメリカでのプレーを望んでいた富永だが、伝説を残した桜丘高等学校卒業後の渡米はベストだったという。その理由として、アメリカの大学バスケが非常に競争力が高いことを挙げ、日本のバスケットボールとの違いを体感した5年間の大学生活が現在のキャリアを支えていると語る。

「大学時代はディフェンス面やバスケットボールIQなど、さまざまな側面で成長できたと感じています。そのときの経験が大きな自信になっています。(アメリカのバスケットボールは)サイズや運動能力、ウイングスパンなど、多くの観点で日本とは異なります。最初はもっと簡単にシュートを打てると思っていましたが、ブロックには高さがあり、過去には経験したことがないものでした。それが最も適応に苦労したことです。日本では、スペースを生み出すためにボールを動かすのが主流です。ですが、アメリカではスペースを作るためにバスケットに向かってドライブをし、キックアウトします。これもまた違いのひとつです」

ネブラスカ大時代の富永啓生[写真]=Getty Images

 そんな富永のプレーをマッドアンツのスタッフはどう見守っているのだろうか。同エピソードに出演した球団のジャスティン・ウェッツェル助監督は、富永の魅力について以下のように述べた。

「コート上における啓生は、攻撃の才能に満ち溢れたダイナミックでエキサイティングなオフェンシブプレーヤーです。これまでの短い在籍期間で彼が見せてきたものすべてからそのように感じています。人としてはとてもコーチングしやすく、慎ましさの中に良いエネルギーを秘めた選手ですね。とても前向きで、素晴らしいチームメートですよ」

 日本代表でプレーすることの誇りや、和製カリーと認識されることへの喜びを感じる富永だが、この先も茨の道が待ち受けていることだろう。しかし、彼の原動力である不屈のハートがあれば、どんな険しい壁でも乗り越えてしまうに違いない。

「コートの内外で異なるパーソナリティがあると感じます。コート上では感情が湧き上がってくるんです。小さい頃から何事に対しても、とにかく負けることが嫌いでした。でも、それによって不利な状況からでも勝利を目指すような精神性が養われました」

 日本が生んだピュアシューターのプロキャリアは、まだ始まったばかり。異国の地で真価を証明するまで、富永は何度でもアーチを描き続ける。

文=Meiji

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