2018.05.05
4月15日(現地時間14日)から、計16チームによる今シーズンの王座を懸けた激闘、「NBAプレーオフ2018」が幕を開けた。バスケットボールキングでは、プレーオフ出場チームやシリーズ勝敗予想に加え、これまでのプレーオフにおける名シーンや印象的なシリーズ、ゲームなども順次お届けしていく。
<プレーオフ特別企画⑲>
ウエスタン・カンファレンス・セミファイナル プレビュー Part.2
ヒューストン・ロケッツ×ユタ・ジャズ
■2017-18シーズン成績
ロケッツ>65勝17敗(ウエスタン・カンファレンス1位)
ジャズ>48勝34敗(ウエスタン・カンファレンス5位)
■2017-18シーズン直接対決戦績
ロケッツの4戦無敗
■ロケッツ
リーグトップの65勝17敗を挙げ、意気揚々とプレーオフを迎えたロケッツ。初戦こそ3点差の勝利だったが、2勝目以降は平均19.0点差を記録し、危なげなくミネソタ・ティンバーウルブズを5戦で下した。
ロケッツは第4戦の第3クォーターでは50得点をマークし、徐々にだが“プレーオフ仕様”となっていった。プレーオフでも全体のフィールドゴールのうち、49パーセントも放っているように、3ポイントシュートを多投するチームに変わりはないが、特筆すべきはボールコントロール。レギュラーシーズンでは100ポゼッションあたり13.8回のターンオーバーを犯していたが、ウルブズとの5試合では8.6回にまで激減。1回戦に出場したチームの中で最も多いドライブ数(1試合平均51回)を誇りながら、このミスの少なさは見事というほかない。
また、右肩の脱臼により戦列を離れていたルーク・バー・ア・ムーテが、ジャズとのシリーズ中に復帰できる見込みのため、ロケッツは万全の戦力がそろうこととなる。ジェームズ・ハーデンはプレーオフに入ってからも平均29.0得点7.4アシスト2.4スティールと好調で、クリス・ポールも平均19.0得点6.6アシスト2.0スティールと、2番手としては上々の成績をマーク。センターのカペラも平均15.8得点14.2リバウンド2.0ブロックと存在感を見せている。
ジャズとの直接対決における戦績は4戦無敗で、ハーデンは平均34.3得点をマーク。これは今季、ジャズとの試合に2試合以上プレーした選手の中で、最も高い数字となっている。ロケッツとしては、初戦から堅牢ディフェンスを誇るジャズから大量得点を挙げて優位に進めるべく、エンジン全開でシリーズへ臨むに違いない。
■ジャズ
爆発力を誇るオクラホマシティ・サンダーを6戦で退けたジャズは、アンセルフィッシュなチームバスケットボールを攻防両面で展開するチーム。
サンダーとの6戦ではワイドオープンの3ポイントシュートを1試合平均19.7回も作り出すなど、ボールムーブにもたけている。全体のフィールドゴール試投数のうち、75パーセントが制限つきエリア内(リング付近)と3ポイントシュートという点は、ロケッツ(81パーセント)と共通する部分と言えるだろう。
オフェンス面をけん引するのはルーキーのドノバン・ミッチェル。1回戦でも平均28.5得点と堂々たる数字を残しており、ロケッツとのシリーズでも持ち前の得点力に大きな期待がかかる。しかし、サンダーとの第6戦で司令塔のリッキー・ルビオが左のハムストリングを痛めたため、10日前後の離脱となった。ルビオ不在は、ジャズにとってオフェンス面で大きな負担がかかることになりそうだ。
ルビオの代役としてはリザーブのダンテ・エクサムが浮かぶものの、パフォーマンスとスタッツを見るかぎり、1回戦のプレータイム(平均9.4分)から大幅に増えることはなさそう。ミッチェルとジョー・イングルズがコート上でルビオの代役をこなし、サンダーとのシリーズでベンチ組トップとなる平均27.5分に出場したジェイ・クラウダーのプレータイムを増やすことが予想される。
■シリーズ予想 ロケッツ 4-1 ジャズ
シーズン成績はロケッツの4戦無敗で、ジャズは最初の3、4戦でルビオ不在という状況を考えると、このシリーズは5戦、あるいは4戦でロケッツが勝ち進むかもしれない。
ジャズとしては、ディフェンス面でロケッツの制限エリア内における得点を少しでもスローダウンすることが勝利への絶対条件となる。ハーデンには4試合の直接対決で平均34.3得点を許しているものの、守護神ルディ・ゴベアがコートにいる時間帯では、ハーデンの制限エリア内におけるフィールドゴール成功率が26パーセントまで落ち込んでいるため、ゴベアにはファウルトラブルのないよう、多くの時間をプレーすることが求められる。
ハーデンに対してはミッチェルとイングルズがガードすることが予想されるが、シーズン中の直接対決で、ハーデンは2人とのマッチアップでいずれもフィールドゴール成功率50パーセントを残しており、1対1ではアンストッパブルと言っていい強敵となる。ただし、1試合だけクラウダーがマッチアップした際には、ショットを打たせず、3.0本のターンオーバーを誘発しているため、このシリーズではクラウダーがハーデンにつく機会もあるだろう。これにより、ミッチェルとイングルズのファウルトラブルを回避でき、オフェンスにより集中することができるからだ。
とはいえ、ロケッツにはハーデンだけでなく、ポールがいることも警戒しなければならない。ポールはプレーオフに入ってから、ペイント内で平均9.6得点と、19.0得点のうち半分近くも稼ぎ出している。ゴベアがいれば少しはダウンするだろうが、トレバー・アリーザやエリック・ゴードン、PJ・タッカーにライアン・アンダーソンといったシューター陣がアウトサイドで構えているため、ペリメーターの選手たちが少しでもドライブを防ぎたいところ。
そして興味深いのは、ミッチェルがロケッツ相手にどこまで得点を奪えるのかという点。シーズン中は主にアリーザとゴードンがマッチアップしており、相手が前者の場合は40.7パーセント、これが後者になると30.0パーセントと、シーズン平均(43.7パーセント)よりもフィールドゴール成功率が低くなっている。ペイント内で得点を稼ぐことができれば平均20得点以上は見込めるだろう。しかし、ロケッツ相手となれば、平均30得点以上をたたき出すくらいの爆発力を発揮しなければ勝利することは困難。
そのため、このシリーズを勝ち上がるのはロケッツとした。
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