2019.01.22
2連覇中の王者ゴールデンステイト・ウォリアーズは今季、2000年から02年にかけて達成したロサンゼルス・レイカーズ以来となる、NBA3連覇を狙っている。
前回3連覇を達成した時のレイカーズには、史上最も支配的なビッグマン、シャックことシャキール・オニール(元レイカーズほか)と、史上屈指のスコアラー、コービー・ブライアント(元レイカーズ)というリーグ史上最高級のダイナミックデュオがいた。
12月13日(現地時間12日)に現地メディア『USA TODAY Sports』へ掲載された記事の中で、シャックは3連覇していた当時のレイカーズならば、ステフィン・カリー率いるウォリアーズを打ち負かすことができると語った。
「俺たちなら簡単に勝つことができると思う。他のヤツらは違うように感じるかもしれない、ウォリアーズの連中もな。だがプレーオフを15勝1敗で勝ち上がった2001年の俺たちは、歴代で見てもベストチームの一つ。俺たちは16勝無敗で勝てたかもしれない。だが実際は、A.I.がタロン・ルー(元アトランタ・ホークスほか)をまたいで俺たちは負けてしまったがな」。
シャックが言うように、3度の優勝のうち、01年のレイカーズはウエスタン・カンファレンスを無敗で勝ち上がり、A.I.ことアレン・アイバーソン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)率いるシクサーズとのNBAファイナルでも、「スウィープが濃厚」という前評判だった。
しかし、ファイナル初戦でアイバーソンが48得点の大暴れ。ディケンベ・ムトンボ(元ホークスほか)やアーロン・マッキー、エリック・スノウ(共に元シクサーズほか)らの活躍もあり、レイカーズは初戦を落としてしまった。
そのため、プレーオフ全勝はならなかったのだが、翌第2戦からシクサーズに4連勝し、早々に2連覇を決めた。15勝1敗でプレーオフを制したことで、レイカーズは当時のプレーオフにおける歴代最高勝率(93.8パーセント)を樹立している。
そんな中、13日(同12日)のトロント・ラプターズ戦を迎える前に、カリーがシャックの発言に反論。「彼は完全に間違ってるね」とカリーは笑みを浮かべ、「もちろん、僕らは(3連覇した当時の)レイカーズを倒せるだろうね」と自信満々に『ESPN』へ語っていた。
01年のプレーオフでシャック&コービー擁するレイカーズが樹立した歴代最高勝率を更新したのは、カリー率いるウォリアーズだった。2017年のプレーオフ、ウォリアーズはNBAファイナル第4戦でクリーブランド・キャバリアーズに黒星を喫しただけで優勝。プレーオフをとおして16勝1敗、勝率94.1パーセントという驚異的な戦績を残している。
もっとも、当時のレイカーズとウォリアーズを比較するのは難しいようだ。カリーは言う。
「僕としては、時代が違う両チームを比較することは難しいから、この議論はタフだね。僕が言ったことはあくまで自分自身の見解なんだ。それに僕らは今も(3連覇を達成する)渦中にいる。だから、シャックが今になって自分のチームが僕らを壊滅できるかもしれないと言ったから、なんだかおかしくなっちゃうね。こういった話というのは、ただのエンターテインメントにすぎないよ。1つは『誰にもわからないでしょ?』ってことだし、2つ目は『ゲームは当時から大きく変わった』ということ。20、30年後に彼らがこのことについて話してきたとき、僕らに対してどんなアプローチをしてくるのか、楽しみにしているよ」。
ここからは、01年のレイカーズと17年のウォリアーズのプレーオフにおける主要メンバーと、勝敗予想をしてみたい。
※チーム名は略称、G=ガード、F=フォワード、C=センター
<スターター>
デレック・フィッシャー(G/元レイカーズほか)
コービー・ブライアント(G/元レイカーズ)
リック・フォックス(F/元レイカーズほか)
ホーレス・グラント(F/元ブルズほか)
シャキール・オニール(C/元レイカーズほか)
<主要ベンチ>
ブライアン・ショウ(G/元レイカーズほか)
ロン・ハーパー(G/元ブルズほか)
ロバート・オーリー(F/元レイカーズほか)
<スターター>
ステフィン・カリー(G)
クレイ・トンプソン(G)
ケビン・デュラント(F)
ドレイモンド・グリーン(F)
ザザ・パチューリア(C/現ピストンズ)
<主要ベンチ>
ショーン・リビングストン(G)
アンドレ・イグダーラ(F-G)
ジャベール・マギー(C/現レイカーズ)
レイカーズはシャック&コービーという2大スーパースター中心のチーム構成で、その周囲を有能なロールプレーヤーたちが囲む布陣。ウォリアーズはカリー、トンプソン、デュラント、グリーンという“オールスター・カルテット”を中心に、ベンチからイグダーラやリビングストンが登場する。ロースターだけを眺めると、ウォリアーズ優位に映ってしまう点は否定できない。
ただし、216センチ147キロのシャックのガードは、今のウォリアーズさえも苦労するだろう。現役最高級のディフェンダー、グリーンは多くのビッグマンとマッチアップしているが、シャックのような選手は現役にはおらず、未知の世界と言っていい。パチューリアやマギー、デイビッド・ウェスト(今夏引退)をマッチアップさせつつ、グリーンやデュラントがヘルプしていくことでスローダウンさせたいところ。
その一方で、“背番号8”のコービーは、ウォリアーズのスイッチングディフェンスに苦しむことが予想される。201センチで頑強なトンプソン、198センチで同じく頑強なイグダーラがおり、いざとなれば公称206センチ(実際は213センチ前後)のデュラントがマッチアップにつくからだ。特にデュラントはひと際長い腕を持ち、コービーにタフショットを強いてくるに違いない。04年のNBAファイナルでテイショーン・プリンス(元デトロイト・ピストンズほか)が見せたように、ジャンパーを放ってもフォロースルーをさせないようなディフェンスをしてくるのではないだろうか。
01年当時のコービーは身体能力こそ全盛期にあった。だが22歳と若く、2000年代中盤に見せた類まれな決定力は、当時まだ備わっていなかったと言っていいだろう。興味深いのは、“背番号8”のコービーではなく、円熟味を増した06-07シーズン以降の“背番号24”のコービーだ。自らのスキルに磨きをかけ、精神面もよりタフになったコービーと、今のウォリアーズのマッチアップも見てみたい。
ではもしこの2チームが7戦シリーズで対決した場合、どちらが勝利するのだろうか。これはあくまで“妄想”として捉えていただきたいのだが、4勝1敗でウォリアーズがレイカーズを下すと考える。
その理由はいたってシンプル。ウォリアーズはカリー、トンプソン、デュラントという1試合50得点も可能な爆発的なスコアラーを3人も擁しているからだ。
レイカーズには1試合で40得点以上を奪うことのできるシャックとコービーがいたとはいえ、この年のプレーオフで挙げた最高得点は119得点。当時と現代ではペースが異なり、単純比較しても正確な答えは出てこないものの、17年のプレーオフ17試合すべてで100得点以上、最も多い試合では136得点も挙げたウォリアーズの得点力はレイカーズ相手にも十二分に通用するはず。
01年のプレーオフにおいて、レイカーズは被3ポイント成功率を27.1パーセントに抑え込んでいるものの、トップ・オブ・ザ・キー付近から行うハイピック&ロールにシャックが対応しきれず、多くのチームに苦しめられた。当時はピックする側の選手がアウトサイドに出て3ポイントを放つことはほぼ皆無だったが、今は違う。
ウォリアーズには現代のトップ10、あるいはトップ5に入るほどのシュート力を持つスコアラーが3人もおり、目の前でガードしていても自らのタイミングで鮮やかに決めてしまうため、レイカーズが抑えきることは厳しいのではないだろうか。また、カリー、トンプソン、デュラント、グリーンにイグダーラを加えた“デス・ラインナップ”をコートに送り込めば、5人全員がプレーメイクからドライブ、3ポイントまでこなせるため、当時のレイカーズがウォリアーズをガードすることは困難だろう。
ただし、ウォリアーズが4戦無敗のスウィープで勝ち切ることはないだろう。名将フィル・ジャクソンHCの下、レイカーズにはハーパーやグラント、オーリーといったプレーオフ経験豊富な役者がおり、負けず嫌いのコービーとシャックがいるだけに、両者そろって40得点以上の爆発を見せて、ウォリアーズに一矢報いるに違いない。
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