2019.04.05
昨年9月17日(現地時間16日)、マイアミ・ヒートのレジェンド、ドウェイン・ウェイドが自身のSNSを通じて“One Last Dance”と称した映像を投稿し、今季限りでNBAから引退することを表明。
そして今年1月3日(同2日)には、ヒート一筋キャリア16シーズン目の38歳、ユドニス・ハズレムも、現地メディア『Basketball Insiders』へ掲載された記事の中で「僕も今季で終えようと思う。僕にはもう、バスケットボールのコートでやり残したことはないからね」と語り、今季終了後に現役引退することを明かした。
ウェイドとハズレムは、共に2003年にヒートへ加入し、フランチャイズ初優勝となった06年をはじめ、12、13年と、ヒートすべての優勝に貢献。ウェイドは約1シーズン半の間、シカゴ・ブルズとクリーブランド・キャバリアーズでプレーしたものの、今季を含めて約15シーズンをヒートでプレーしており、このチームを代表する選手なのは間違いない。
1月27日(同26日)終了時点で、ヒートはイースタン・カンファレンス7位の23勝24敗。ラストシーズンでプレーオフに出場すべく、それぞれベテランとして貴重な働きを見せている。
ウェイドはここまで38試合すべてにベンチから出場し、チーム3位の平均13.8得点に3.7リバウンド4.1アシスト。ハズレムはここまで3試合のみの出場となっているものの、コート内外でリーダーシップを発揮し、チームを鼓舞。ヒートの選手たちにとって、これほど頼もしいベテランはいないといっても過言ではない。
実はここ日本にも、ウェイドとハズレムと共にヒートでプレーした経験を持つ選手がいる。大阪エヴェッサで活躍するジョシュ・ハレルソンだ。平均14.4得点12.2リバウンド(1月27日終了時点)を記録する208センチのビッグマンは、NBAキャリア2シーズン目の12-13シーズンにヒートで6試合に出場し、平均5.2分1.7得点1.2リバウンドという成績を残している。
当時のヒートはウェイドとハズレムに加え、レブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)、クリス・ボッシュ(現未所属)、レイ・アレン(元ボストン・セルティックスほか)を擁し、ディフェンディング・チャンピオンとして戦っていた。
ハレルソンはウェイドとハズレムと過ごした時間について「僕はまだ2年目で若かったんだけど、彼らはマイアミで長くプレーしていて、NBAのこともよく知っていた。彼らはそれぞれの経験を僕に話してくれたし、『こうした方がいいよ』とアドバイスもくれたんだ」と明かした。
もっとも、ハレルソンはシーズン中盤にヒートから解雇。その後10日間契約を結ぶも、13年1月中旬を最後にチームから離脱していた。そのため、トレーニングキャンプも含めて、ウェイドとハズレムとチームメートとして過ごしたのは約4か月間。短い期間だったと言わざるをえない。
それでも、ハレルソンは試合や練習、ミーティングなどをとおして両選手から影響を受けたという。「僕が彼らから得たものは、ハードワークするということ。コート上でもコート外でもね。彼らは練習の時からハードだったし、トレーニングも欠かさずこなしていた。『プロフェッショナルとはこうあるべきだ』というものを見せてくれたんだ」。
そんな彼らが今季限りで引退することについて聞いてみると、ハレルソンはヒートの功労者2人についてこう語った。
「D-Wade(ウェイドの愛称)は移籍もしたけど、ほとんどのキャリアをマイアミで過ごしてきた。ユドニスはキャリアすべてをマイアミでプレーしてきた。だから彼らが現役を引退することは悲しいね。彼らが現役を退くということに、僕自身は年を取ったんだなと感じるよ」。
NBAのレギュラーシーズンは4月中旬まで組まれており、ヒートがプレーオフ出場となれば少なくとも4月下旬までウェイドとハズレムのラストシーズンは続いていく。
そこでハレルソンへ、もし彼らに対して声をかけるとしたらどんな言葉を送るのかと聞いてみると、自身が若い頃にお世話になった両ベテランへ、感謝のメッセージを残してくれた。
「ウェイドは将来、バスケットボール殿堂入りするほどの選手。これまでNBAでプレーしてきた選手の中で、トップ50には入る選手なんだ。ハズレムはそうではないかもしれないけど、すばらしいキャリアを送ってきたと思う。彼はヒートのフランチャイズ史上、最も多くのリバウンド(5716本)を獲得したんだから。彼らはすでに、NBAでお金はたくさん稼いだはずだから、ぜひともリラックスして過ごしてほしいね」。
ちなみに、ハレルソンは14年を最後にNBAから遠ざかっているものの、これまでプレーしてきたチームメートたちの活躍は今でもチェックしているという。特にケンタッキー大学の3年次(2シーズン目)の09-10シーズン。1シーズンのみではあったものの、ジョン・ウォール(ワシントン・ウィザーズ)やデマーカス・カズンズ(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、エリック・ブレッドソー(ミルウォーキー・バックス)といったビッグネームたちともプレーしてきた。
そこで昨年1月下旬にアキレス腱断裂という大ケガを負い、懸命なリハビリの末に1月19日(同18日)に復帰したカズンズについて聞いてみると、「カズンズの試合は見てる。ウォリアーズの試合もだいたい見てるんだ。この前の試合(現地時間24日のウィザーズ戦)では17得点6リバウンドの活躍だったね」と直近の試合でカズンズが残した成績をスラスラと口にした。そして1つ年下の後輩カズンズに対して、こう続けた。
「僕は18歳の時から彼のことを知ってるんだ。(ケンタッキー大で一緒にプレーしていた頃)彼はクレイジーというか、やんちゃだった。でも毎年毎年よくなってきてるから、それに対してはうれしく思うよ。今や世界でベストと呼べるビッグマンの1人に成長したんだからね。彼の活躍は本当にうれしい」。
3連覇を懸けて挑むウォリアーズにおいて、カズンズはシーズン途中からラインナップに加わり、ここまで4試合に出場。平均13.5得点7.3リバウンド3.5アシストを記録し、徐々にゲーム感覚を取り戻してきている。日本でプレーしているとはいえ、ハレルソンは大学時代の後輩カズンズの活躍を欠かさずチェックして追いかけていた。
NBAとBリーグという異なるステージではあるものの、日本でプレーしている元NBA選手からこういった言葉を聞くことができるのは、バスケットボールファンとしてうれしいかぎりだ。
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