悲願の優勝に向けて気合十分のルー

　昨シーズンのプレーオフ1回戦、ロサンゼルス・クリッパーズが連覇中のゴールデンステイト・ウォリアーズから2勝を奪い取ったのは、リーグや多くのファンに大きな衝撃を与えた。選手たちが王者に立ち向かう中、ひときわ存在感を放っていたのはやはりルー・ウィリアムズだろう。敵地で行われた第2戦と第5戦では、終盤接戦となった際に“ゾーン”へ突入。連続してクラッチショットを沈め、オラクル・アリーナの歓声を打ち消していた。

　クリッパーズはこのオフシーズンに、カワイ・レナードとポール・ジョージというスター選手の獲得に成功し、球団史上最もエキサイティングなシーズンを迎えようとしている中、チームをけん引してきたルーは優勝のために着々と準備しているようだ。

　クリッパーズの公式アカウントを通して、チームのフォワードであるジャマイカル・グリーンは、「ルーはルーだよ。彼はコート内外に関係なく、今までリーダーシップを発揮してくれている」と称賛。続けて、「彼は夏から準備を始めて、彼がここにいない間はビデオを送ってくれたんだ。彼は皆に責任を持たせ、素晴らしい仕事をしてくれている。僕らにはコンディショニングテストがあって、彼はここにはいなかったけれど、自主的に走っていたんだ。彼の自宅でね。彼がそのビデオを送ってくれて、僕らは彼が（離れていても）素晴らしい仕事をしていることを知ることができたんだ」と、ルーの精神性を高く評価した。

クリッパーズを指揮するリバースHC。スターを2人迎えた今、優勝の期待を背負う［写真］＝Getty Images

　またクリッパーズのドック・リバースHC（ヘッドコーチ）は、「ルーは夏に休暇を取っていて、私はオフィスにいたんだ。そうしたらボールの音がして、ルーは練習をしていたんだ。問題ないのか聞いてみたんだ。6月のことだったからね」と振り返り、「彼は『大丈夫です。すぐに準備を始めて、次のシーズンに備えます』と答えた」と、エピソードを明かした。続けて、「私には気づかれずに、秘密のままにして、彼は自分のワークアウトを動画にし、それをチームメート全員に送った。なかなか面白いなと思ったよ」と、笑顔を交えて話すと、「彼は、自分は準備ができているというメッセージを送ってきたんだ。いいことだし、視覚的なメッセージだね。彼はそういう意味では我々を楽しませてくれているし、けれどこれは自分はまだ老いぼれではないという、彼からのメッセージでもあるんだ」と、ルーの姿勢を絶賛した。

　昨シーズンこそ悔しい敗北で終わりを迎えたが、オフシーズンの動きを鑑みれば、クリッパーズの大型補強が成功したことは間違いない。ルーがリーダーシップを強く発揮する中、果たして新たなシーズンではどのような結果を見せてくれるのか。クリッパーズから目が離せない。