2020.01.31
セルビア出身のニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)は、リーグを代表する万能型ビッグマンの1人。
キャリア4年目の昨季は平均20.1得点10.8リバウンド7.3アシスト1.4スティールを記録し、自身初のオールスター選出に加えてオールNBAファーストチームにも選ばれた。
昨季ナゲッツをウェスタン・カンファレンス2位の54勝28敗へと導いた殊勲者は、今季もここまで平均16.1得点10.4リバウンド6.0アシスト1.2スティールと見事な活躍を見せており、ナゲッツもウェスト2位(13勝3敗)と好位置をキープ。
通算トリプルダブルの回数で、ヨキッチはジョン・ハブリチェック(元ボストン・セルティックス)と並んで31回。24歳ながら歴代12位タイにおり、外国籍出身選手としてはすでに史上最多。あと3回達成すればNBA史上トップ10に入り込む位置におり、猛烈な勢いでトリプルダブルを量産している。
もっとも、ヨキッチは「ただ試合に勝とうとしているだけ。どのチーム相手に点を取ろうと気にしない。自分がどれだけ得点していたかなんて、気にすることもないんだ」と地元メディア『The Denver Post』へ明かしたように、個人成績には無関心で、マイペースを貫く男でもある。
213センチの長身に約129キロという巨漢ながら、しなやかな動きと確かなスキルでゲームにインパクトを与えるビッグマンは、リング下の密集地帯で鮮やかなビハインド・ザ・バックパスをさばいたり、ローポストでボールを受け取ってノールックのタッチパスを平然とやってのける大胆さも魅力だ。
そんな中、今夏のFIBAワールドカップにセルビア代表として出場していたヨキッチに対して、「体重オーバーじゃないのか?」「あの体重で1シーズンをプレーできるのか?」といった疑問の声があったのは事実。開幕後もシェイプしきれていないように映ったメディアやファンがSNSで批判していることもあり、ヨキッチのリアクションは一部で注目を集めていた。
「僕はね、今はもう(新聞とかネットの批判を)読んだりしていないんだ。やめたんだ」と切り出すと、こう続けた。
「(オーバーウェイトに対する批判が)僕を悩ますことはないね。人々は(批判に対して)事実と思い込んでしまうんだ。それが正しいかどうかに関わらずね。間違っていようと、言ってるだけ」
おとなしそうな見た目とは裏腹に、ヨキッチは試合中にレフェリーへ文句を言ってはテクニカルファウルを食らってしまう熱い一面も持つ。だがそれは、チームが勝利すべく、内に秘めた激しい闘争心が表面に出てしまっただけのこと。
もし今後、オーバーウェイトが原因でケガを頻発し、長期欠場を余儀なくされるのであればヨキッチは減量がマストとなる。とはいえ、勝利至上主義のヨキッチが、自身のキャリアとチームの成績ダウンへとつながる失態を自ら犯すだろうか。
かつてオーバーウェイトを批判されたチャールズ・バークリー(元フェニックス・サンズほか)が「俺のベスト体重は、今の体重だ」と断言していたように、ヨキッチも現状のコンディションで、ベストなパフォーマンスを続けることができるに違いない。
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