2020.04.19

リラードが大活躍するも、勝率5割未満に沈んだブレイザーズ/2019-20NBA通信簿チーム編⑲

自己最高の成績でチームをけん引したリラード[写真]=Getty Images
フリーライター

新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。シーズン再開は早くても6月中旬から下旬にかけてと現地メディアが報じている中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階

2019-20シーズンNBA通信簿チーム編⑲ポートランド・トレイルブレイザーズ

ウェスタン・カンファレンス(ノースウェスト・ディビジョン)
総合評価:D

■ここまでの戦績
今季戦績:29勝37敗(勝率43.9%/ウェスト9位)
ホーム戦績:18勝14敗(勝率56.3%)
アウェー戦績:11勝23敗(勝率32.4%)

■主要チームスタッツ(カッコ内はリーグ順位)
平均得点:113.6(8位)
平均失点:115.2(26位)
平均リバウンド:45.5本(10位)
平均アシスト:20.2本(30位)
平均スティール:6.1本(29位)
平均ブロック:6.2本(2位)
オフェンシブ・レーティング:112.0(10位)
ディフェンシブ・レーティング:113.6(27位)

ホワイトサイドはペイントエリアで存在感を見せている[写真]=Getty Images

■主要スタッツリーダー
平均出場時間:デイミアン・リラード(36.9分)
平均得点:デイミアン・リラード(28.9得点)
平均リバウンド:ハッサン・ホワイトサイド(14.2本)
平均アシスト:デイミアン・リラード(7.8本)
平均スティール:トレバー・アリーザ(1.6本)
平均ブロック:ハッサン・ホワイトサイド(3.1本)

■主な開幕後の選手またはコーチの動き
加入:カーメロ・アンソニートレバー・アリーザ、ケイレブ・スワニガン
退団:ケント・ベイズモア、アンソニー・トリバー、パウ・ガソル(→コーチングスタッフ)

途中加入のカーメロは、全盛時を思わせるミドルレンジゲームに加え、決勝弾を沈めるなど勝負強さも発揮[写真]=Getty Images

ケガ人とディフェンスに足元をすくわれ、勝ち星を重ねることができず

 ブレイザーズは昨季、2000年以来初となるカンファレンス・ファイナル進出を果たし、昨夏デイミアン・リラードとスーパーマックス契約、CJ・マッカラムとも高額な延長契約を結び、意気揚々と今季を迎えた。

 しかし、序盤からチームはケガに悩まされることとなる。開幕3試合を終えて2勝1敗と勝ち越すも、先発パワーフォワードのザック・コリンズが肩の負傷で戦線離脱、新加入の大ベテラン、パウ・ガソルも足のケガのため復帰できずにコーチングスタッフに仲間入り。12月上旬には先発スモールフォワードのロドニー・フッドも左足アキレス腱断裂でシーズンアウト。

 そんな中、ブレイザーズは11月半ばに大ベテランのカーメロ・アンソニーと契約。1月にはトレードでベテランのトレバー・アリーザをロースターに加え、自慢のバックコートデュオと昨夏トレードで獲得したハッサン・ホワイトサイドを軸に戦っていくも、勝率5割には届かず。

リラード離脱時にはマッカラム(写真)がステップアップし、プレーメイクでもチームを引っ張った[写真]=Getty Images

 リラード、マッカラム、カーメロのアイソレーションが軸となるオフェンスで得点こそ積み重ねるも、アシスト数はリーグワーストで、ディフェンシブ・レーティングもリーグワーストクラス。ホワイトサイドがいながら相手チームにリバウンドを多く奪われてしまった。

 フィールドゴール成功率で相手チームを上回った試合では27勝5敗、第3クォーター終了時点でリードしていれば21勝5敗という好成績を残す反面、リードされていた試合では6勝32敗と逆転するには至らず、フィールドゴール成功率で相手を下回ってしまうと2勝32敗と大きく負け越した。

 シーズン中断後、ウェスト首位のロサンゼルス・レイカーズに君臨するレブロン・ジェームズが「ブレイザーズが第8シードでプレーオフに出場すれば、レイカーズにとっては脅威になる」とポッドキャスト番組『Road Trippin’』で語っていたが、7ゲームシリーズ(4戦先勝)で2勝できれば御の字というくらい、チーム力に大きな差があることは否めない。

 もしシーズン再開となれば、ブレイザーズにはコリンズ、そして昨年3月末に左足に大ケガを負ったビッグマン、ユスフ・ヌルキッチが復帰できる見込みだが、仮にプレーオフへ滑り込んだとしてもファーストラウンドを勝ち上がることは不可能に近い、

リラード、マッカラム、カーメロの活躍に加え、2年目デュオが成長

 もっとも、リラードは鼠径部の負傷で2月に戦線離脱したものの、キャリアベストの成績を残していると言っても過言ではない。平均28.9得点7.8アシスト、3ポイント成功数(平均3.9本)はいずれも自己最高で、1月下旬には6試合で3度の50得点ゲーム。そのうち1試合はキャリアハイの61得点を叩き出していた。

 2月初め、リラードは地元メディア『The Oregonian』に対して「俺は今、これまでよりもいい選手だと思う。メンタルの準備ができていて、レベルが上がったんだ。多くの人々が成長するために手助けしてくれて、今年はよりいい選手になったということ」と自信をのぞかせていた。

 チーム第2の男マッカラムも5シーズン連続で平均20得点以上をクリア。リラードが離脱中は30得点超えを何度もたたき出す奮闘を見せるも、勝ち星がついてくるには至らず。

 カーメロはここ3シーズンで最もフィールドゴール成功率が高いとはいえ、42.6パーセントはフロントコートにおけるスコアラーとしては物足りなさが残る。得意のミドルレンジゲームもこなし、ここ数年にはなかった充実感をかみしめてプレーできているものの、ディフェンシブ・レーティングは117.0と悪く、敗れた試合ではこの数字が122.0まで悪化してしまう。

 ただ、ブレイザーズにとっては貴重な3番手のオプションであり、ロッカールームでもチームメートたちへ好影響を与えているとマッカラムが話しており、ブレイザーズに不可欠な選手となっている。

 そのほかでは、ペイントエリアのパトロール役ホワイトサイドは期待にそぐわぬ活躍を見せており、アンファニー・サイモンズギャリー・トレントJr.という2年目デュオが成績を伸ばしていることは、今後に向けて好材料と言っていい。

「まず、今後が不透明なのはすごく厳しい。何が起こるのか、俺たちは分からないんだ。予測不能なことに対応するのは難しいね。この状況が変わるまで、あと何日、何週間が必要なのかは誰も知らない。だがその中で1つ確かなことは、体型をしっかりと保つことが必要だということ」。

 4月上旬に友人クリス・ポール(オクラホマシティ・サンダー)のインスタライブに登場したカーメロがそう話したように、選手たちにとって難しい日々は今後も続く。だがカーメロをはじめ、ブレイザーズの選手たちにはベストシェイプに近いコンディションを保ってほしい限りだ。

サイモンズ(写真)やトレントJr.といった2年目の選手たちがチャンスをモノにした[写真]=Getty Images

2019-20NBA通信簿チーム編のバックナンバー

CJ・マッカラムの関連記事