2021.05.28

NBAプレーオフ2021でブレイクが期待される若手選手3名をピックアップ

プレーオフで注目の若手選手をピックアップ[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 待ちに待ったNBAプレーオフ2021が開幕した。紆余曲折を経ての開催となった今季も、各球団の目標が“優勝”の二文字であることに変わりはない。また、新型コロナウイルスのワクチン接種が進むニューヨークでは、『マディソン・スクエア・ガーデン』が超満員に。熱狂的なファンたちによる大合唱と対戦相手への怒号が入り混じり、ニューヨーク・ニックスの久しぶりのプレーオフ進出を後押ししている。

 さて、NBAのプレーオフでは、毎年のようにニュースターが誕生する。昨年であれば、規格外のスコアリングマシーンと化したジャマール・マレー(デンバー・ナゲッツ)や、ルーキーとは思えない強心臓で数々の見せ場を作ったタイラー・ヒーロー(マイアミ・ヒート)らがそれに該当するだろう。

 そこで、本稿では独断と偏見で、2020-21シーズンのプレーオフでブレイクしそうな選手をピックアップ。レギュラーシーズンにチェックが間に合っていなかったチームもあるはずなので、以下の選手に注目しながら、プレーオフの動向を追いかけてみてはいかがだろうか。

ディアンドレ・エイトン(フェニックス・サンズ #22/センター)

[写真]=Getty Images


 2018年のドラフト1位の才能が今年、遂に花開くかもしれない。身長211センチ、ウイングスパン227センチという恵まれた体格を有するバハマ出身の大型センターは、今季好調のフェニックス・サンズの原動力となり、NBA加入後、ベストなシーズンを送っていると言える。

 しかし、フィールドゴール成功率には大幅な向上が見られる一方で、レギュラーシーズンの平均得点は14.4得点に止まった。クリス・ポールという強力なオプションがロスターに追加されたことも要因のひとつだが、シュートアテンプトは過去最低の1試合平均10.0本、被ファウルも2.4と、優れた身体能力とオフェンススキルを考慮すると、些か物足りなさを感じる。度々指摘される一貫性のなさや、勝利に貪欲になる精神面での充実は、今後の課題と言える。

 それでも、ロサンゼルス・レイカーズと対峙している1回戦の直近3試合では、攻守で躍動。3ゲームともに20得点、10リバウンド以上のダブル・ダブルをマークし、昨シーズンのチャンピオンの悩みの種となっている。ポテンシャルはお墨付きなだけに、もし仮にレイカーズを撃破することができれば、その後のパフォーマンスが上昇の一途を辿っても驚くことはないだろう。

ケビン・ハーター(アトランタ・ホークス #3/シューティング・ガード)

[写真]=Getty Images


 トレイ・ヤングと同期のハーターのスタッツは、決して突出したものではないかもしれない。しかし、高度なデータを見ると、メリーランド大学出身のシューティングガードは、WS(Win Shares。チームへの勝利貢献度を意味する)を昨季から+2.0ポイントの3.6に向上。また、WSを48分間の出場に換算し直したWS/48でも、前年比の約2倍にあたる0.8をマークしている。

 ホークスは、若手中心の豊富な選手層が売りの球団だ。プレーヤーの特徴も、バリエーションに富んでいる。しかし、シュート力が重要視される現代NBAにおいて、巧みなスキルからシャープなシュートを繰り出すハーターの存在価値は非常に高いように思える。無論、ディフェンスがアグレッシブになるポストシーズンに突入すると、その傾向は一層強くなるため、必然とハーターの出番は増えてくるだろう。

 何より、セルフィッシュとは無縁で、チームプレーヤーとしてゲームメイクができるのもハーターの隠れた特徴の一つ。こうした選手は引く手数多で、もし今季のプレーオフで重要な任務をやってのければ、デイミアン・リラードの影に隠れていたゲイリー・トレントJr.のように、移籍先ですんなり主力を任されるようなプレーヤーへと変貌を遂げるかもしれない。

ディアンソニー・メルトン(メンフィス・グリズリーズ #0/ポイントガード)

[写真]=Getty Images


 メンフィスのセカンドユニットにおいて、メルトンは必要不可欠なピースと言える。グリズリーズと言えば、エースのジャ・モラントのインパクトが大きいため、なかなかメルトンにスポットライトが当たることはないが、 兼ねてから定評のあったウイングにおけるディフェンス面での貢献は、目を見張るものがある。

 しかし、特筆に値するのはディフェンスばかりではない。メルトンは今季、3ポイント成功率を41.2パーセントにまで向上(昨季は28.6パーセント)させることに成功。そして、オフェンス効率を正当に評価・分析する100ポゼッションのデータに変換すると、メルトンの今季のスタッツは1試合平均21.6得点、7.4リバウンド、6.0アシスト、2.7スティール、1.4ブロックというSクラスのガード陣顔負けの好成績になることを書き加えておきたい。

 スポットアップシューターとしてのタッチの良さと、粘り強いディフェンスを特徴とするメルトン。思わぬ伏兵の活躍が、ユタ・ジャズ撃破の鍵を握っているかもしれない。

文=Meiji

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