2022.01.26
瞬く間に過ぎ去った2021年。NBAは今季こそ通常のスケジュールで開催されているものの、今年も昨年に続き、決して平坦な道のりではなかった。
それでもリーグとファンは常に下を向き、ため息をついていただけではない。ブルックリン・ネッツはケビン・デュラントの復帰により、戦力さえ充実していれば優勝も夢ではなかった。また、ステフィン・カリーはNBAの通算スリーポイント成功記録を塗り替え、先日は遂に大台の3000本を達成。振り返ってみれば、NBAは厳しい逆境の中でも数々の名場面を生み出してくれたように思える。
最初のお題は、今年のNBAを一言で。『ESPN』のライター、ティム・ボンタンは「予測不可能だった」と振り返っている。それにはもちろんCOVID-19の流行も該当するが、ボンタンはミルウォーキー・バックスの優勝、フェニックス・サンズの大躍進といったコート上での出来事や、ベン・シモンズの去就、カイリー・アービングのワクチン接種問題など予期せぬ事態も含まれている。一方で、同誌のニック・フリーデルは「やり遂げた」とリーグの努力を賞賛。決して望むような開催でなかったことを前置きしつつも、昨年のオーランドのバブル(隔離施設)開催から約1年でほとんどの試合を例年通り実施できるような状況を讃え、「これは確かな偉業だ」とコメントしている。
次の質問は、2021年のベストモーメント。これには参加記者が満場一致でヤニス・アデトクンボの名前を挙げている。シニア・ライターのラモナ・シェルバーンは、NBAファイナル第6戦にグリーク・フリークが50点をマークしたことに言及し、アテネの路上でハンドバッグを売っていた少年がNBAチャンピオンとファイナルMVPになるまでの道のり、そしてミルウォーキーの街が最高潮に達した瞬間の美しさが最も記憶に残っているとコメント。また、ジャマール・コリアーは、同ファイナル第4戦でアデトクンボがディアンドレ・レイトンに見舞った試合を決定づけるブロックショットに触れ、バックスの背番号34は歴史上で最も特別なパフォーマンスができる選手であり、同プレーが長きにわたりハイライトに残ると述べている。
今年は印象的な移籍が多かった1年かもしれない。コリアーとフリーデルは共に、デマー・デローザンをピックアップ。キャリア最高のシーズンを過ごすコンプトン出身のシューティングガードは、4年連続プレーオフ進出を逃している古豪シカゴ・ブルズを見違えるチームに変貌させた立役者であり、ザック・ラビーンやニコラ・ブーチェビッチら既存戦力とすぐさま適合してみせた。また、ボンタンはルーキーのエバン・モブリーをチョイス。2018年にレブロン・ジェームズが去ったクリーブランド・キャバリアーズはしばらく低迷期を歩むかと思われていたが、モブリー、そしてジャレット・アレンのビッグマン2人の加入により、リーグで3本の指に入るディフェンシブチームへと成長。さらに、ボンタンは「モブリーはキャブスが必要としてたフランチャイズプレーヤーになると思う」とし、同選手の加入が球団の未来予想図を塗り替えたとコメントしている。
NBAは環境の変化や選手個人の状況によってパフォーマンスが一変するリーグだ。今季、ネガティブな意見を投げかけられた選手たちは今頃、名誉挽回への気持ちで煮えたぎっていることだろう。とりわけ、ベン・シモンズは1日でも早いカムバックが期待されている選手の1人だ。ボンタンとケビン・ペルトンの両記者は、プレーオフの戦犯とされたことでチーム、ファンと関係が悪化したシモンズが優れた選手であることを思い出させてくれるために時間はかからないと予想。そして、シモンズをトレードで獲得した球団は大きなアドバンテージを得ると、2016年のドラフト1位の復活劇を待望した。その傍ら、シェルバーンはケガで戦線離脱中のアンソニー・デイビス(ロサンゼルス・レイカーズ)を、コリアーは現在プレイオフ圏外にいるポートランド・トレイルブレイザーズのデイミアン・リラードをそれぞれ選出し、スター選手たちが再び輝きを取り戻すことに期待を膨らませている。
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