「これまでで一番暗いところにいた」ジョン・ウォールが語った家族とファンのサポート

　8月30日（現地時間29日）。ロサンゼルス・クリッパーズのジョン・ウォールが救世軍のイベントに登場した。

　2010年のドラフト1巡目全体1位でワシントン・ウィザーズから指名されてNBA入りしたポイントガードは、オールスターに5度、オールNBAチームとオールディフェンシブチームにもそれぞれ1度選ばれ、リーグ有数の司令塔としての地位を確立。

　ところが、18年の年末に左かかとにある踵骨棘（しょうこっきょく）の修復手術を受けるべく、18－19シーズン残り試合の全休を発表。だが翌19年2月に左足のアキレス腱部分断裂が発覚し、19－20シーズンを全休。20年12月にトレードでヒューストン・ロケッツへ移籍し、20－21シーズンこそ40試合の出場で平均32.2分20.6得点3.2リバウンド6.9アシスト1.1スティールを残すも、昨季はロケッツが若手主体へ切り替えたことで双方合意のうえでトレード先を探すことになり、結局合意に達することはなく、またもやシーズン全休となった。

　今夏ウォールは今季契約（プレーヤーオプション）を行使してロケッツへ残留も、バイアウトが成立したことで制限なしフリーエージェント（FA）となり、クリッパーズへ加入。

　この2、3年について、31歳の元オールスターガードは苦しい胸の内をこのように明かしていた。

「これまでで一番暗いところにいた。一時は自殺することも考えていたんだ。アキレス腱を断裂し、ママが病気になって他界して、その翌年に祖母も亡くなった。そのすべては新型コロナウイルスの中で起きたんだ」。

　相次ぐケガによってコートでプレーできず、ロケッツではフラストレーションも抱えていたウォールは、家族のサポートについても語っていた。

「僕には家族による最高のサポートがある。子どもたちの母、それに息子たちが僕のモチベーションになったんだ。『これを乗り越えられたら、人生でどんなことだって乗り越えられるんだ』って感じだった。誰だって何かを経験するものだから。皆が何かしらのことを何度か経験していく。楽な道のりなんて誰にもない」。

　家族やセラピストの支えもあり、今季のウォールは新天地クリッパーズでカワイ・レナードやポール・ジョージ、レジー・ジャクソンらと共にプレーすることとなる。先発ポイントガードを務めるかどうかは分からないものの、ジャクソンとプレータイムをシェアしていくことが予想されており、ここまで上々のコンディションだと複数の現地メディアが報じている。

「僕にとって、自分が望む場所へ戻り、ファンの皆がまたプレーするのを望んでくれていること、サポートしてくれることはすごく重要なんだ」と口にしていたウォールにとって、今季は2シーズンぶりのフルシーズンとなる。

　長丁場のシーズンだけに、不調に陥ることもあれば、ケガをしてしまうこともあるだろう。だが新たなチームメートたちと共に、再びコートで躍動し、バスケットボールを楽しむ姿を是非とも見せてほしいものだ。