「ジジと一緒にコービーがここにいてくれたら…。ただ、彼は私のことを誇らしく思ってくれていることでしょう」

　3月8日（現地時間7日、日付は以下同）。ロサンゼルス・レイカーズはホームのクリプトドットコム・アリーナでメンフィス・グリズリーズを112－103で撃破し、今シーズンの戦績をウェスタン・カンファレンス9位の32勝34敗とした。

　そしてこの日、創設75シーズン目のレイカーズにとって、選手としてフランチャイズ史上12番目となる永久欠番セレモニーがハーフタイムに行われた。主役となったのは、2008年2月にバンクーバー（現メンフィス）・グリズリーズからトレードで加入し、16番を着用して活躍したパウ・ガソル。

　スペイン代表の大黒柱として国際舞台で輝かしいキャリアを送ってきた213センチ113キロの万能型ビッグマンは、“パープル&ゴールド”のユニフォームに身をつつみ、約7シーズンの在籍で平均17.7得点9.9リバウンド3.5アシスト1.4ブロックにフィールドゴール成功率52.2パーセントをマーク。

　サイズとスキルに高度なバスケットボールIQを兼備した男は、すぐさまレイカーズへ溶け込み、コービー・ブライアントの相棒として活躍。チームは2008年から3年連続でウェストを勝ち上がり、NBAファイナルへ進出。そのうち2009、2010年にシリーズを制して2連覇を成し遂げた。

ガソルはレイカーズで勝ち取った2つのチャンピオンリングをつけて会見に臨んだ[写真]=Getty Images

「私は自分の役割を受け入れて、これ以上ないほどのことをやってきたと思っています。ですが、今夜は私にとってどんな夢や期待よりも勝るものであり、すごく重要な意味を持っています」

　2個のチャンピオンリングを1つずつ片手にはめて登場したガソルは、試合前の会見でそう口にし、ハーフタイムのセレモニーでは会場に集まった観客へこう述べていた。

「ここにいる皆さんのお顔を拝見し、私は圧倒されています。このジャージーを身につけて、このフランチャイズでプレーし、勝利を助けることができたことが光栄でした。こんな日が来るなんて、私は絶対にないのだと信じてきました。絶対などということはないのです。毎日、自分にとってベストになれるよう、自分自身をプッシュしていくことです」

　この日のセレモニーでは、デレック・フィッシャーやラマー・オドムといったレイカーズ時代のチームメートたち、弟のマルクをはじめ、ホセ・カルデロンやファン・カルロス・ナバーロらスペイン代表のチームメートたち、さらにはシカゴ・ブルズでともに戦ったジミー・バトラー（現マイアミ・ヒート）、レイカーズ時代の指揮官フィル・ジャクソンも会場入りし、ガソルの偉業を祝福。

　そしてレイカーズで2連覇を達成し、親しい友人でもあったコービーについて「兄弟が私を成長させ、刺激し、より良い選手、より良い人間になるべく導いてくれました」と語り、コービーとジジ（次女ジアンナの愛称）への思いも口にしていた。

「多くの皆さんと同じように、私も彼がいなくて寂しい。ジジと一緒に彼がここにいてくれたら…。ただ、彼は私のことを誇らしく思ってくれていることでしょう。それに彼はこの瞬間を楽しみにしてくれていました。大好きだよ、兄弟」

　ボストン・セルティックスと並んでNBA史上最多タイとなる17回の優勝回数を誇るレイカーズにおいて、ビッグマンとして永久欠番入りするのはジョージ・マイカン（99番）やウィルト・チェンバレン（13番）、カリーム・アブドゥル・ジャバー（33番）、シャキール・オニール（34番）以来で、いずれも偉大な選手たち。

「私が思うに、（彼らとの）共通点はチームの勝利を助け、価値あるものをもたらしてきたことです。このような偉大な選手たちと、私自身を思い切って比較することはありません。彼らのことをとてもリスペクトしています」と語ったガソルは、さらにこう続けていた。

「私がこの場にいられる理由の一つは、2度のチャンピオンシップを勝ち取るうえで、ものすごく助けることができたからです。（もし）勝ち取っていなければ、我々はここにいなかったでしょう」

レイカーズの選手として、12番目の永久欠番入りを飾ったガソル[写真]=Getty Images

　レイカーズに在籍した約7シーズンで、ガソルは2度の優勝のほか、オールスターに3度、オールNBAチームにも3度選ばれており、コービーとの超強力なデュオは絶妙なケミストリーを奏でてレイカーズの美しいバスケットボールを演出してきた。

　ガソルの背番号16は、コービーの背番号（8と24）の隣に掲げられた。コービーに次ぐ永久欠番の選手として、ガソルほどふさわしい男はいなかったはずだ。