2023.05.24

「成功と言うのは好きじゃない」…PO敗退のレブロンが引退を示唆「考えなきゃいけない」

今後の去就が注目されているレブロン[写真]=Getty Images
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キャリア20年目の最終戦で圧巻の40得点もチームはプレーオフ敗退

 ロサンゼルス・レイカーズは、デンバー・ナゲッツとの「NBAプレーオフ2023」のウェスタン・カンファレンス・ファイナルで0勝3敗と追い込まれて迎えた5月23日(現地時間22日、日付は以下同)のシリーズ第4戦で、大黒柱が試合序盤から立ち上がった。

 男の名はもちろん、レブロン・ジェームズ。キャリア20年目の38歳は、試合開始からアグレッシブに攻め立てて第1クォーターだけで21得点。続く第2クォーターにも10得点を追加し、前半を終えて31得点を奪取。

 ペイントで果敢にショットを決めたほか、第1クォーターだけで4本の3ポイントシュートをノーミスで放り込むなど、通算282試合目のプレーオフでキャリアハイとなるハーフで31得点という超絶パフォーマンス。

 2000年代後半。クリーブランド・キャバリアーズ時代のレブロンをアシスタントコーチとして5シーズン見てきたマイケル・マローンHC(ヘッドコーチ/現ナゲッツ指揮官)は「前半はまさに“ビンテージ”なレブロン・ジェームズだったよ」と称えていた。

「クリーブランドで5年間、彼のことをコーチしてきた。彼はあのチーム(レイカーズ)が窮地に陥っていて、どんな時なのかをしっかりと理解していた。前半の彼はどうして史上最も偉大な選手の1人と言われるのかを見せつけてきた。チームを背負い、我々に対して立ち向かってきた」

第4戦で前半からアグレッシブに攻め立てたレブロン[写真]=Getty Images

 レイカーズはレブロンに加え、先発起用の八村塁も10得点をマークし、15点リード(73-58)で試合を折り返した。だがレブロンは前半残り約4秒にようやく交代して一足早くロッカールームへ向かったとはいえ、ほぼフル出場することに。

 すると後半ではオースティン・リーブスデニス・シュルーダーへプレーメークさせるなど周囲を生かしつつ、自身もオフェンスに絡んでいった。最終クォーター中盤にはニコラ・ヨキッチからテイクチャージ2連発で5ファウルへ追い込むなど、攻防両面でレイカーズを引っ張った。

 だが試合は第3クォーター途中でナゲッツに逆転を許し、そこからレイカーズは同点にこそ追いつくも、一度も逆転することができず。2点ビハインドで迎えた最後のポゼッションでは、レブロンが同点を狙ってドライブしたものの、ジャマール・マレーにボールをつかまれ、最後はアーロン・ゴードンのブロックショットを浴びたことで111-113の惜敗。

 ダービン・ハムHCの下、レイカーズは開幕12戦を終えて2勝10敗と大きく負け越しながら、今年に入ってトレードで八村やディアンジェロ・ラッセル、ジャレッド・バンダービルト、マリーク・ビーズリーらを獲得し、リーブスやシュルーダー、ロニー・ウォーカー四世らの奮起もあって第7シードとしてプレーオフへ進出。

 ファーストラウンドで第2シードのメンフィス・グリズリーズ、カンファレンス・セミファイナルでは前年王者のゴールデンステイト・ウォリアーズ(第6シード)をそれぞれ4勝2敗で撃破し、カンファレンス・ファイナルまで勝ち進んだのだが、NBAファイナルへ駒を進めることはできず。

 2020年以来、自身5度目の王座獲得を目指して戦い抜いたレブロンは「成功した年と言うのは好きじゃない。俺はキャリアのこの時点で、チャンピオンシップを勝ち取るため以外にプレーしていないからだ」と語り、キャリア20年目を終えた。

レブロンはナゲッツの2人に囲まれ、最後のポゼッションで点を奪えなかった[写真]=Getty Images

「今後もバスケットボールをしていくにあたって、俺には考えなければならないことがいくつもある」と発言したレブロン

 とはいえ、今シーズンのレブロンはカリーム・アブドゥル・ジャバー(元レイカーズほか)が保持してきたレギュラーシーズンの通算得点記録を塗り替え、55試合の出場で平均35.5分28.9得点8.3リバウンド6.8アシストにフィールドゴール成功率50.0パーセントを残し、オールNBAサードチームにも選出。

 出場試合数や出場時間、得点など数多くのプレーオフ歴代最多記録を保持する男は、ウォリアーズとのウェスト準決勝を制したことで、シリーズ勝利数でもNBA史上最多の41勝(12敗)に到達と、20年目の選手とは到底思えないほどの活躍を見せてきた。

 だが最終戦で47分56秒プレーし、ゲームハイの40得点に10リバウンド9アシスト2スティールを残して戦い切った男は、試合後に「今後もバスケットボールをしていくにあたって、俺には考えなければならないことがいくつもある」と発言。

 そこで『ESPN』からどういうことかと質問されたレブロンは「プレーし続けていくかどうかだ」と返答。「来年(来シーズン)のことか?」という問いには「そうだ」と返し、「それは(コートから)立ち去るかもしれないということなのか?」と聞かれて「そのことについて考えなきゃいけない」と、引退する可能性があることをほのめかしていた。

長いシーズンを終えたレブロン。今後の決断は世界中の視線を集めるに違いない[写真]=Getty Images

 もともと、レブロンは今年2月下旬に右足の腱を痛めたことで約1カ月間を欠場。右足を負傷した際、レブロンは2人の医者からシーズン終了となる手術を勧められたものの、足における“レブロン・ジェームズ”(専門、スーパードクター)から右足のケガから復帰することができるとし、「彼は(手術)するべきではないと言ってきた」と3月下旬に復帰した際に振り返っていた。

 今夏手術を受けるかどうかについては「MRI検査を受けることになる。そこで腱の状態が治っているのかを見て、決めることになる。どうなるかは見てみないと分からない」と話していたことから、検査結果で決まるようだ。

 すでにNBA史上でもトップクラスの実績を残してきたレブロンが、もし現役引退となれば、世界中へ拡散し、数多くの人たちが悲しむに違いない。ただ、現時点で本人が引退について明言したわけではなく、紆余曲折のあった今シーズンを戦い抜いたことで疲労が一気に表面化してこぼしてしまっただけなのかもしれない。

 翌24日。レイカーズの選手たちやハムHC、ロブ・ペリンカGM(ゼネラルマネージャー)らがシーズン終了会見に応じ、ラッセルは「彼がゲームから離れるとしたら、びっくりするだろうね。特に僕としては、彼はまだまだやれるという気がしているから」とコメントしていた。

 ペリンカGMも「我々はいつが適切なのか話し合っていくことを楽しみにしています。ですが、レブロンはバスケットボールというゲームへ誰よりも多大なものを与えてきました」と話しており、こうも語っていた。

「もちろん、我々としての希望は彼のキャリアが続いていくことにあります。ただ、今は彼へ時間を与えたいと思います」

 長丁場のシーズンを終えたレイカーズとレブロン。来シーズンに向けて、これからドラフトやフリーエージェント(FA)戦線、チーム状況によってはトレードも待ち受けているものの、何よりも注目を浴びるのはやはりレブロンの去就となりそうだ。

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