2024.06.19

NBAで2度の優勝経験を持つレイ・アレンが語った“ファイナルで活躍する秘訣”とは?

NBAキャリアで4度ファイナルを経験したアレン[写真]=Getty Images
フリーライター

■「メンタルの状態がいい選手が、ファイナルで活躍できると思う」

 東京の渋谷ストリームホール周辺で開催された「NBAフェス in JAPAN 2024」の初日となった6月15日に、NBAレジェンドのレイ・アレンがゲストとして登場した。

 アレンはボストン・セルティックスとダラス・マーベリックスが激突した「NBAファイナル2024」第4戦のライブビューイングでハーフタイムと試合終了後に会場へ姿を現したほか、金王橋広場にある屋外コートで行われたバスケットボール・クリニックにも途中参加した。

 ここでは、クリニック終了後にメディア取材へ応じたアレンのコメントをお届けしていきたい。公称196センチ92キロのシューティングガードとして、NBAで18シーズンをプレーした男は、オールスターに10度、オールNBAチームに2度選ばれたほか、NBAの75周年記念チームにも名を連ねた名選手。

 コネチカット大学出身のアレンは1996年のドラフト1巡目5位でミネソタ・ティンバーウルブズから指名され、ドラフト当日のトレードでミルウォーキー・バックスへ移籍。バックスでNBAデビューを飾ると、その後はシアトル・スーパーソニックス(現オクラホマシティ・サンダー)、セルティックス、マイアミ・ヒートでプレー。

 8シーズンで平均20.0得点超えを記録した男は、ドライブやジャンパー、3ポイントシュート、フリースローで点を積み重ね、レギュラーシーズン通算1300試合でキャリア平均18.9得点4.1リバウンド3.4アシスト1.1スティールを残してきた。

 そんなレジェンドはプレーオフへ11度出場し、NBAファイナルを4度も経験してきた。2008年と2010年はセルティックス(相手はどちらもロサンゼルス・レイカーズ)、2013、2014年にはヒートでいずれもサンアントニオ・スパーズと対戦。

 2008年にはポール・ピアース、ケビン・ガーネット、ラジョン・ロンドらとセルティックスの通算17度目の優勝に大きく貢献。2013年のファイナル第6戦では、2勝3敗でスパーズに追い詰められるなか、第4クォーター終盤に値千金のコーナースリーを綺麗に沈めて延長へ持ち込む歴史的なプレーを決めた。ヒートは延長の末にこの試合を制し、翌第7戦も勝利したことで2連覇を達成し、アレンは2度目の優勝を飾った。

2013年のファイナル第6戦終盤にアレンが決めたビッグショット[写真]=Getty Images

 NBAの頂上決戦でプレーするためには、約6カ月間にも及ぶレギュラーシーズンを戦い、プレーオフを勝ち上がらなければならない。その大舞台となるファイナルで活躍するために大事なことをアレンはこう話していた。

「レギュラーシーズンの82試合をこなし、プレーオフを乗り切るために体をしっかり作ることが重要なんですが、プレーオフとなると体の調子が悪いとかケガをしているだとか、そういう状態でもプレーできるようになっていかないといけない。そこがやっぱり一番重要なところで、なかでも特に重要なのは『集中力』、『しっかり休めるときは休むこと』。メンタルの状態がいい選手こそが、ファイナルで活躍できるものだと思っています」

■「子どもたちがディフェンスの重要性を理解するといいですね」

 アレンは3ポイントの名手として知られ、レギュラーシーズン通算2973本成功でNBA歴代2位、プレーオフでも385本成功で同5位、ファイナルでは55本成功で同7位という見事な実績を残してきた。

 そうしたなか、子どもたちへのクリニックを終えたこともあり、「ディフェンスの重要性、子どもたちへ伝える重要性は何ですか?」という質問になり、アレンはレイカーズ一筋12シーズンをプレーし、アービン“マジック”ジョンソンやカリーム・アブドゥル・ジャバーらとともに5度の優勝を経験したマイケル・クーパーの名を挙げていた。

 主にシックスマンとしてプレーしたクーパーは、相手チームの得点源とマッチアップしてきた。オールディフェンシブチームに8度名を連ねた男は、1986-87シーズンに最優秀守備選手賞にも選ばれた。

1980年代のレイカーズで主にストッパーとして活躍したクーパー[写真]=Getty Images

「ここ数カ月、NBAで起こったなかで良いことはマイケル・クーパーの殿堂入りだと思っています。彼は得点などで目立つわけではないけど、ディフェンスの良さだったりそういったところで1980年代のレイカーズの輝かしい成績に貢献したので、子どもたちが彼の殿堂入りを見て理解するようになるといいなと思っています」

 そしてディフェンスの重要性についても、今年のファイナルを引き合いに出してこう語っていた。

「ファイナル最初の3試合を見ても、ルカ・ドンチッチ(マーベリックス)のディフェンスがあまりよくなかった。そこに対してボストンがどんどんアタックしていっている印象があったんですが、そういうところを見て子どもたちがディフェンスの重要性を理解するといいですね。ディフェンスこそが優勝に繋がるという言葉はよくありますが、やっぱりシュートの方が魅力的なので、そのなかでディフェンスがどれだけ重要なのかを伝えることは必要だと思っています。

 優勝するために必要なのはテイクチャージする人だったり、ディフェンスでローテーションできる人だったり、あとはコミュニケーションをしっかり取れる人、そういった視点を子どもたちに落とし込んでいくこと。過去で言うと、ラトレル・スプリーウェル(元ニューヨーク・ニックスほか)は、大学の頃からディフェンスがすごく長けていた選手なんですけど、キャリアが進むにつれてオフェンス力を身につけていった。軸としてはディフェンスがあった」

アレンが注目していたホワイト(左)[写真]=Getty Images

 すると現役でそれを体現できている選手は誰かと聞かれ、アレンは古巣セルティックスで活躍するデリック・ホワイトを称えていた。

「今だと毎試合見ているデリック・ホワイトが特に体現できている選手の1人かな。コーチが彼のためにセットを用意するとかはないんだけど、オフェンスではギャップをしっかり見つけてそこのバランスを整えながらプレーすることができています。自分の能力を最大限に駆使していろんな選手を守ることができるので、チームメートとしては彼とならどこまでも戦いにいこうという気持ちになれる。そんな選手だと思っています」

 アレンの言葉どおり、ホワイトは18日に行われたファイナル第5戦で4本の3ポイント成功を含む14得点を奪っただけでなく、4本のオフェンシブ・リバウンドを含む計8リバウンドに2スティール1ブロックと攻防両面で貴重な働きを見せて勝利に貢献。

 セルティックスはマブスとのシリーズを4勝1敗で制し、球団史上18度目のタイトル獲得に成功。ドンチッチとカイリー・アービングという超強力なガードデュオを擁するマブスを平均99.2得点に抑え込んだディフェンスも光った。

 その第5戦で、アレンは会場のTDガーデンへ駆けつけた。大勢のファンやOBたちとともに古巣セルティックスの優勝を見届け、試合後にはコートで選手たちを称えていた。

文=秋山裕之

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