2021.03.19

AD以来の快挙…エバン・モブリーが大学1年でMVP、新人賞、守備選手賞の三冠を達成

NBAドラフトで上位指名が確実視されるエバン・モブリー[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 NBAも後半戦に突入。プレーオフに向けて争いが激化する中、NCAA(全米大学体育協会)の男子バスケットボールトーナメントは、一足先にプレーオフが開幕する。“マーチ・マッドネス(3月の熱狂)”の名のとおり、それぞれの母校の行く末を見守るべく、全米はおよそ1カ月にわたり、興奮と落胆が交錯するだろう。

 そんな熾烈な戦いの火蓋が落とされる前に、NCAAはカンファレンス別のアワード受賞者を発表。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)やオレゴン大といった強豪ひしめく「Pac-12」では、ドラフト上位指名が確実視されている南カリフォルニア大学(USC)のビッグマン、エバン・モブリーが、1年生にして最優秀選手賞、最優秀新人賞、最優秀守備選手賞の三冠を達成した。

 213センチの高身長を誇るモーブリーは、世代別のアメリカ代表にも選出され、『NBADraft.net』や『NBC』といった主要メディアのモックドラフトでも軒並みトップ5にランクインする注目株。現役のNBA選手では、ラマーカス・オルドリッジ(サンアントニオ・スパーズ)と比較されるタイプのビッグマンだ。

プレースタイルはスパーズのラマーカス・オルドリッジと比較される[写真]=Getty Images

運動能力と機動力の高さで攻防両面で貢献

 持ち味は、7フッターとは思えない運動能力と機動力の高さ。走力があり、身体の使い方やフットワークもしなやかで、ハンドリングも安定。ペイントエリア付近では豊富なオフェンスオプションをチラつかせながら相手に的を絞らせず、今シーズンは1試合平均16.8得点をマークした。また、器用なアシストシーンを見かけることも少なくなく、必要に応じて3ポイントシュートを狙えるストレッチ性能も魅力のひとつで、31.4パーセントの成功率はビッグマンでは上々の出来と言えるだろう。

 一方、ディフェンス時にはリムプロテクターとして、その性能を遺憾なく発揮する。恵まれたウイングスパンとジャンプ力を活かして相手の前に立ち塞がり、今シーズンは29試合に出場して「Pac-12」でトップとなる87ブロック(1試合平均3.0)を記録。また、249リバウンド(1試合平均8.6)も同じくリーグ最高の成績で、ディフェンシブ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーの受賞は納得の結果だ。

「Pac-12」の公式サイトによると、同カンファレンスで最優秀選手賞、最優秀新人賞、最優秀守備選手賞を一度に受賞した選手は、モブリーが史上初となる。また、他のカンファレンスを含めても、モブリー以前に同じ三冠を達成したのは、当時ケンタッキー大に所属していたアンソニー・デイビス(ロサンゼルス・レイカーズ)のみ。偉業の達成によって、スカウトの評価はさらに高まったことだろう。

 モブリーは、現代のインサイドプレーヤーに必要なスキルをほぼ全て兼ね備えていると言っても過言ではない。気になる点を挙げるのであれば、95キロという線の細さだが、NBAに入ればウェイトもアップするはず。

 果たして、モブリーは来年、どの球団のジャージを着ているのだろうか。ひとまずは、NCAAトーナメントでのさらなる躍進に注目していきたい。

 文=Meiji

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