2020.05.03
8月17日、4日間にわたって都内某所で行われてきた「第11回バスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ・キャンプ・アジア2019」(以降BWBアジア)が閉幕した。
ここではまず、2012年以来、2度目の日本開催となった今回のBWBアジアを簡潔に振り返ってみたい。
14日の初日、現役NBA選手やNBAチームのアシスタントコーチ(AC)らの指導の下、アジア太平洋地域の18の国と地域から集結した男女計64人のトップ選手たちはボールなしでオフェンスとディフェンスに分かれて1対1を行い、そこから効率の良い動き方を教わるなど、ポジション別のスキル育成を図った。さらにはシュートやスキルを競い合ったり、5対5の実践などを行っていた。
翌15日に行われたキャンプ2日目には、今回参加した16、17歳のトップ選手たちがウォームアップ後に練習ドリルとスクリメージを行うと、ドラフトで男子はクリーブランド・キャバリアーズ、ミネソタ・ティンバーウルブズ、デンバー・ナゲッツ、オーランド・マジックの4チーム、女子はロサンゼルス・スパークス、ニューヨーク・リバティー、フェニックス・マーキュリー(いずれもWNBAチーム名)の3つにチーム分け。
するとチームごとに分かれてスクリメージを行い、ランチ休憩をはさんでライフスキル指導セッションがスタート。2度のNBA優勝経験を誇るケボン・ルーニー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、ロビン・ロペス(ミルウォーキー・バックス)、元WNBA選手のアシュリー・バトル(元ニューヨーク・リバティーほか)とアリソン・フィースター(元シャーロット・スティングほか)が、チームワークとコミュニケーションの大切さや、それぞれの私生活やプロキャリアにおける経験を選手たちへ語った。
また、この日の終わりには、NBAのコミュニティ交流の一環として、NBA選手とコーチたちが地域の学校から集まった96人(BWBアジア参加者を除く)の子どもたちにバスケットボールクリニックを実施。
そしてこの日最大のサプライズとなったのは、2016年のBWBグローバルに参加した経験を持つ、今年のドラフト1巡目9位指名の八村塁(ワシントン・ウィザーズ)のキャンプ訪問。キャンプ参加者やクリニックに参加した子どもたちと満面の笑顔を見せながら交流を図り、キャンプを盛り上げた。
キャンプ3日目の16日は、ウォームアップ後にNBAのコーチ陣や選手たちによる指導の下、キャンプ参加選手たちがスキル育成ドリルや特定の状況を想定したワークアウトをこなした。
午後にはそれぞれのチームに分かれ、オフェンスとディフェンスの戦略の精度を上げるための練習に取り組み、男子、女子の各チームがそれぞれ白熱した5対5の試合を行った。また、この日の終わりには現役のACたちによる地元のコーチたちへのコーチングクリニックを開催。
最終日となった17日は、会場にてプレーオフ、チャンピオンシップゲーム、3ポイントコンテスト、オールスターゲームが行われた。女子では元WNBAのバトルがコーチを務めたリバティー、男子ではオーランド・マジックのパット・ディレイニーACが指揮したマジックがチャンピオンシップゲームを制して優勝。3ポイントコンテストでは男子がバーレーンのMustafa Rashed、女子では荻田美(京都精華学園高校)がチャンピオンに。
なお、オールスターゲームでは男子が16名、女子が14名の計30名が選出され、それぞれ2チームに分かれて競い合った。そのうち日本人男子では小川敦也(洛南高校)とケイン・ロバーツ(男子Grit賞を獲得)、女子では平下愛佳(桜花学園高校)、林真帆(岐阜女子高校)、萩田がロースター入りし、林はオールスターゲームMVPに選出。そして男子のキャンプMVPはJunseok Yeo(韓国)、女子ではGeorgia Woolley(オーストラリア)が選ばれた。
今回のBWBアジアにコーチとして参加した宇都宮ブレックスの田臥勇太(元フェニックス・サンズ)は、キャンプに参加した16、17歳の選手たちについて「率直に、この年代のスキルが上がってきているんだなと感じました」とコメント。
田臥は自身が参加した時と比べて、今回参加していた男女計64選手は「はるかにスキルが高い」印象だったという。それは男女計8人の日本人選手たちにも言えることで「この中で日本人もやっていけるということは、(今回参加した)皆にとって自信になったと思います」と話している。
そして、「アジアのほかの国の同年代の選手たちがこれだけサイズと強さがあって、レベルが高いというのを感じることができたのは、日本人たちにとっても大きかったと思います」と田臥は続けた。
BWBアジアの参加選手たちは5フィート2インチ(158センチ)から6フィート10インチ(208センチ)と、小柄な選手から大柄な選手まで多岐にわたっていたのだが、田臥は2メートルを超す長身選手たちについても「今のNBAの主流というわけではないですけど、大きい選手も動けて外からもシュートを打てる、という部分もあったと思うんで、バスケット全体のスタイルがこういう若い子たちも外もできるようになっているんだなぁとすごく感じました」と、キャンプを通じて自身が感じたことを教えてくれた。
そして印象的だったのは、表彰式を前にNBA関係者が「今日、名前を呼ばれなかったとしても落胆しないでください。これから人生をとおして、ここにいる皆さんと競い合っていきますので、帰ってからも努力をして頑張ってください」と選手たちへエールを送っていたこと。
BWBアジアに参加した男女計64選手は、今回のキャンプで得た自信と経験を持ち帰り、それぞれのゴールへ向かって羽ばたいていくこととなる。今から1、2年後、NBAやWNBA、あるいはそれぞれの母国の代表として国際大会という大舞台でプレーする可能性があるため、今後の成長を大いに期待したいところだ。
取材・文=秋山裕之
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