2018.07.06
長身に甘いマスク、プレー中のクールな感じから、とがった雰囲気の選手では、と取材する側として構えている部分があった。しかし、実際に話してみて抱いた印象は「気さくな根っからの“バスケ小僧”」。32歳は「ベテラン」と呼ばれ始める年齢だが、本人は「他のチームだと最年長になることもありますけど、ここだと真ん中ぐらいなんですよ」と微笑む。まだ老けこむ年ではない。オフでも週4、5回体を動かす高島一貴はBリーグ開幕に向けて万全のコンディションを整えてきた。週一のマッサージ通いやパーソナルトレーニングなどメンテナンスにも余念がない。「優勝を狙うつもりでここに来た」との言葉にうそはないだろう。開幕4連敗がどうした、横浜ビー・コルセアーズにはキャリア豊富な百戦錬磨の猛者がそろっている。「唯一バスケだけは負けず嫌い」な高島は、コート上では笑顔を封印し、逆襲に向けて静かに闘志を燃やす。
インタビュー=安田勇斗
写真=山口剛生
今シーズンのチームの特徴
一言で言うと「個性が強いチーム」。もともとチームにいた山田(謙治)選手や蒲谷(正之)選手を軸に、NBLで戦ってきた経験豊富な選手たちが集まってきて、面白いチームになりました。シューターが多いので、アウトサイドからのシュートは一つの武器になりますし、インサイドでも外国人選手2人と帰化選手のパプ(ファイ パプ 月瑠)がいるので、アドバンテージが取れる時間帯も多くなると思います。
チームの魅力
シュートがうまい選手がそろっていて、どこからでも点が取れるところですね。足が強い選手が多いので、ディフェンスでも見に来た方々が楽しめるような、「激しいバスケット」を見せられると思います。
自身の特徴
1試合の中でもいろいろな役割を担うことになると思いますが、自分はディフェンスで生きてきた選手で、ディフェンスには自信がありますし誰にも負けたくないと思っています。でもそれだけではなく、思いきってシュートを打つこと、点数を取っていくことにもこだわっていきます。
横浜ビー・コルセアーズでイチオシの選手
川村(卓也)選手です。ここに来る前に和歌山トライアンズで半年間、一緒にプレーしたんですけど、マッチアップするのが本当に嫌なタイプの選手ですね(笑)。褒めすぎるのもあれですけど、いわゆる天才肌かなと。バスケットの感性が他の人とは違うんですよ。シュートだけじゃなくてパス、それから自分でドリブルで切り崩すこともできて、バランスがすごくいいから守りにくい。シューターなのに身長が高い点もストロングポイントだと思います。
他のチームで仲が良い選手
京都ハンナリーズの岡田優介が、土浦日大高校時代の一つ下で後輩なんですけど仲がいいですね。ここだけの話、昔は僕の洗濯物を洗わせてました(笑)。上下関係が厳しい高校だったのでそういうこともありましたけど、今じゃ立場が逆転しちゃって「岡田さん」です(苦笑)。今でもシーズンオフは一緒にトレーニングしたり、ご飯を食べに行ったり。なんだかんだシーズンオフはほとんど毎日、一緒にいますね。あと元チームメートで言うと、シーホース三河の柏木(真介)選手、琉球ゴールデンキングスの喜多川(修平)選手も8年間同じチームで一緒にプレーしていたので、よくご飯を食べに行ったりします。
シーズンオフの過ごし方
週4、5回はバスケをしてますね(笑)。オフは全くやらない選手もいますけど、僕は不安になっちゃって。オフ明けに一から体を作り直すのが嫌だっていうのもあります。でもそのおかげでケガも少ないですし、選手として長くやってこられた理由の一つなのかなとも思います。
憧れている選手
若い頃に憧れていたのはレバンガ北海道の折茂(武彦)選手です。身長が高いんですけど非常にシュートがうまくて、スクリーンの使い方とか味方を活かすプレーとかもうまいんですよね。ああいう選手になりたいと思ってました。最近、プレーを参考にしているのは、サンアントニオ・スパーズのカワイ・レナード選手です。僕はもともとスパーズが好きで、今ここで背番号2を付けているのも、彼が付けているからなんです。ディフェンスがうまくて、点数も取りに行ける選手で、自分のプレースタイルと近いのでとても勉強になります。
バスケを始めたきっかけ
小学生の時から『スラムダンク』が流行ってて、バスケがやりたかったんですけど、学校にミニバスの同好会とかもなくて、スポーツ少年団でずっとサッカーをやっていました。中学に入ってようやくバスケ部に入れたんですけど、人数が多くて最初は体育館が使えなかったんです。その間、陸上部とか他の部活に借りだされたりして、結局、本格的にバスケを始められたのは中2ぐらいでした。
趣味
お風呂に行くことです。温泉とかスーパー銭湯が大好きで、オフの日は半日いることもあります。1人でボーっとお風呂に入って、サウナに入って、水風呂に入って、そこでご飯も食べたりして。そういうところでパソコンやiPadでバスケの試合を見て、ボーっとしながらプレーの反省をしたりしています。ちなみに、アイシン(現シーホース三河)にいた時は毎週木曜日を“風呂の日”にして(笑)、チームメートと行ったりもしてました。あとはよくマッサージに行きます。東京に行きつけの場所があって、リオデジャネイロ・オリンピックでメダルと取ったアスリートなども来られるところなんですが、週一で通ってます。マッサージだけでなくトレーナーがいてトレーニング器具もそろっているので、体のいろいろなメンテナンスもできるんです。
自身の性格
負けず嫌いです。普段はあまり表には出さないし、何かされて怒ったりもしないんですけど、バスケになると負けたくない気持ちが強く出ます。本当に唯一バスケだけで、その証拠にうちは後輩が結構イジってきたり、いたずらしたりしてくるんですけど、それはすべて受け入れてます(笑)。
Bリーグに期待すること
僕はJBL、NBLでプレーして、日本バスケ界が2つに割れていた時代を経験してきました。周りは「NBLとbjリーグってどっちが強いの?」とか聞いてきたりしますけど、僕自身は2つ合わせて1つのプロリーグというイメージをずっと持っていました。今回、それが1つになり、あるべき姿になったことはチャンスだと思います。これからどうしていくか、僕らは子どもたちがバスケットボール選手になりたいって言ってくれる環境を作らないといけない。選手は責任重大ですし、日本代表の選手となれば当然、求められるものはもっと大きくなる。Bリーグが開幕して環境は大きく変わりました。メディア露出が増えたりして、個人個人の意識も変わってきています。そういう意味でBリーグ誕生は良い起点になりましたし、より一層の発展を期待しています。でも、もちろん一番は選手たちがプレーで魅せることです。日本のバスケットボールが成長していくには、まずプレーの質を上げていくことが大事だと思っています。
今シーズンの目標
僕は優勝を狙うつもりでここに来ました。でもそれは最終目標であって、まずは1試合1試合を100パーセントで戦うこと、一つずつ勝っていくことが目標です。逆にそうできなければ優勝はできないと思います。個人の目標は……今までは僕自身、数字にこだわっていたところもありました。それも大切だとは思うんですけど、それよりもチームにとってどれだけプラスをもたらせるかの方が重要かなと。点を取るよう言われたりディフェンスを任されたり、試合ごと、プレーごとに役割があるので、そこでしっかりプラスの働きをすること。さらにそれをシーズンをとおして継続していくことを目標にプレーしていきます。
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