2017.03.19
3月17日に行われたB1リーグ第24節第1戦、中地区首位を独走する川崎ブレイブサンダースは、西地区1位のシーホース三河をホームの川崎市とどろきアリーナに迎えた。ライアン・スパングラーをケガで欠く川崎だが、前節終了時点で37勝6敗と圧倒的な強さで2位以下を大きく引き離しており、その強さは群を抜く。三河はJBL、NBL時代に幾度もファイナルで名勝負を繰り広げた好敵手だ。
試合は19時ティップオフの予定だったが、アップ中に三河のアイザック・バッツの巨体にゴールが悲鳴を上げたのか、開始直前にゴールが壊れるアクシデント。替わりが倉庫から出されて一件落着と思ったのも束の間、別のゴールも不調で再交換となった。結局、試合開始が30分以上遅れる“珍事”となった。両チームの立ちあがりが懸念されたが、そこはリーグを代表する強豪同士の対戦。試合開始からレベルの高い攻防が繰り広げられた。
川崎はティップオフ直後から篠山竜青が厳しいディフェンスを見せ、橋本竜馬を欠く三河から一気にペースを奪う。勢いそのままに序盤の優位を保ちたい川崎だったが、桜木ジェイアールを軸に立て直した三河に主導権を握られると、次々に決まるアウトサイドシュートを眺める時間が長くなり、第1クォーターを21-30と9点のリードを許す展開となった。
第2クォーターに入っても精度抜群の三河のオフェンスを防ぐことができず、我慢の時間帯が続く。ベテランガードの柏木真介を中心とした早いテンポのパス回しに翻ろうされ、前半を終えて35-53と18点のビハインドを背負った。第2クォーター途中からはオールコートプレスを試みるなど、三河のリズムを崩そうとした。しかし、前半のシュート成功率が71.9パーセントと高確率でシュートを沈める三河の勢いを断つことはできなかった。
試合後の会見で北卓也ヘッドコーチが「前半で勝負がついてしまった」と肩を落としたように、挽回しようとする焦りが目立ち、後半に入っても試合を立て直すことはできなかった。比江島慎、金丸晃輔など主力をベンチに座らせる余裕を見せる三河に、前半ほどの得点を与えなかったものの、オフェンス面ではシュートセレクトが悪く、オフェンスリバウンドからのセカンドチャンスも立て続けに落とす結果となった。いつもの憎いばかりの強さは影を潜め、第3クォーターを16-21、第4クォーターも14-18とすべてのクォーターで上回ることができず、ファイナルスコア65-92と成す術なく敗れた。
「すべてのプレーで焦ってしまった。粘り強くプレーすることが必要だった。大敗したが、この負けを次に活かしたい」と北HCが語ったとおり、予想外のワンサイドゲームとなった。昨季NBLファイナルの雪辱を誓う三河については「気持ちが出ていて、のまれてしまった」と、相手の気迫に押されたことを敗因の1つに挙げた。
三河の鈴木貴美一HCが「調子が良くなかったし、それが幸いした」と会見で語ったとおり、1試合平均27.8得点を稼ぐ“スコアリングマシーン”ニック・ファジーカスが17得点に終わったことも川崎にとっては不運であった。久しぶりのワンサイドゲームによる敗戦は収穫の少ない試合となったものの、長く戦列を離れていたファジーカスの相棒、辻直人が「腰のケガ以降、最も動けた試合だった」と語ったように光明も見えた。Bリーグ初代王者を狙う川崎はこのまま終わるわけにはいかない。続く18日の第2戦でリベンジを果たしたいところだ。
文=村上成
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