2017.05.09

Bリーグ初代王者を目指す“日本屈指のシューター”金丸晃輔が明かす独自のシュート論

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レギュラーシーズンを46勝14敗で終え、2位に17ゲーム差を付けて西地区優勝を決めたシーホース三河金丸晃輔は“常勝軍団”においてチームトップとなる1試合平均16.7得点を挙げ、チャンピオンシップ(以下CS)進出に大きく貢献した。打点の高い3ポイントシュートを武器に日本人最多得点を記録し、シュート成功率でもまずまずの数字のマーク。しかし、自身の成績に「納得していない」と満足する様子はない。日本屈指のシューターは、いかにして点取り屋としての才能を開花させ、日本バスケットボール界を引っ張る存在へと成長したのか。キャリアのターニングポイントやシュートへのこだわり、そして間もなく開幕するCSへの意気込みを聞いた。

インタビュー=武藤仁史
写真=黒川真衣、Bリーグ

――リーグ戦第28節を終え(2017年4月20日取材)、フリースロー成功率が91.1パーセントでリーグトップ、3ポイントシュート成功率が41.6パーセントでリーグ3位の成績です。素晴らしい成績を残していますが、シュートを打つ際に意識していることは?
金丸 まずフリースローはその名のとおりプレッシャーのない状況で打つわけですから、「入れて当然」という気持ちで打っています。年間試合数が多いですし、すべて決めるのは難しいことですが、成功率100パーセントでシーズンを終えることが理想ですね。フリースローで大事なのは技術面よりもメンタル面で、気持ちに迷いがあると、入るシュートも入らないので、メンタル面が重要だと思っています。その一方で、3ポイントは動きながら打つシュートなので、技術的な部分がより重要です。いかに精度の高いシュートを打てるかどうかを常に心掛けています。相手選手のプレッシャーもありますから、シュートを打つ前にフリーになり、打ちやすい間合いを作る技術も必要になってきます。

――Bリーグ開幕初年度に3ポイント成功率でトップ争いをしていることについて、手応えもあるのではないでしょうか?
金丸 数字は41.6パーセントですよね? 個人としての最高記録が46パーセントだったと思うので、納得はしていません。自分の中で決めた目標を上回る気持ちでプレーしているので、満足感はありませんね。

――総得点数が806点、1試合平均17.1点は日本人トップの成績です。リーグ屈指の得点力を備える金丸選手ですが、シューターとしての才能を開花させたのはいつ頃ですか?
金丸 シューティングガードにコンバートされた大学時代ですかね。元々アウトサイドシュートは好きで、自分の中で「軽くシュートを打ってきれいに決まる」という感覚があったんですよ。力ずくではなく、いかに軽く打てるかを、練習後の空き時間などで追求していったんです。明治大学でヘッドコーチを務めていた塚本清彦さんからも「狙える時はすべて打て」とアドバイスをもらい、攻撃面ではある程度自由にやらせてもらっていたので、その大学時代がシュート技術を磨くきっかけになりましたね。

――調子によってはシュートが入らないこともあるかと思います。そういう時はどのような調整をしていますか?
金丸 その日のコンディションに合わせて、うまく調整するようにしています。疲労の度合いも試合によって異なるので、普段よりも少し強めに打ったり、距離感を変えてみたりしていますね。ただ、シュートはメンタル面も影響します。学生時代やプロに入ったばかりの頃は、シュートが入らないとネガティブな気持ちになってしまっていたんですが、チャンスの場面でシュートを打たないと、逆にチームのリズムを悪くしてしまう時もあります。今ではもう吹っ切れたというか、チャンスがあれば積極的に打つようにしていますし、「シュートが入らなければ交代してくれ」というぐらいの気持ちでやっているので、もし外れたとしても全く気になりませんね。

――試合中以外ではどのような調整をしていますか?
金丸 試合でシュートが決まらなかったとしても、100本も200本もシューティングをすることはなく、自分の感覚が戻ったことを確認できたら終えます。僕は「1試合をとおしてできるだけ高い確率で決めたい」という考えを持っていて、1本のシュートにこだわっているので、感覚をすごく大事にしています。打ちこんだとしても、次の試合で入るわけではないですからね。

――ご自身のプレーの強みを教えてください。
金丸 もともとはセンターをやっていたので、外だけでなく、中でも勝負できることですかね。僕よりもサイズの小さい選手がマークに付く時はポストアップをしますし、インサイドでもプレーできる点は強みだと思っています。ただ、今のスタイルはキャッチ&シュートが大半を占めているので、攻撃の幅を広げていくためにもピック&ロールの質を上げていく必要がありますね。

――ピック&ロールというと、日本代表で重点的に取り組んでいる戦術でもあります。コーチ陣も大きく変わり、練習内容もかなり細かいと聞きました。
金丸 はい、練習から本当に細かいですよ。ピック&ロールにしても、フリーで動いてドライブし、キックアウトした後にリプレイスを求められるんですが、戻る場所を数センチ単位で指摘されたりもします。相手ディフェンスはボールを離した時に油断することが多いので、シューターとしてその隙を突くためにも、動きにこだわっていかなくてはいけません。NBAを見ていても、動き直すことによってたくさんのシュートチャンスが生まれていると思いましたし、改めてピック&ロールの重要性を感じました。シューターとしてもスキルアップするチャンスですから、日本代表での活動は本当に貴重な機会になっています。

――日本代表での経験はチームにも還元されているのではないですか?
金丸 そうですね。チームの練習でも意識的に動くようにしていますし、味方も僕を見てくれるようになりました。フリーであれば必ずパスが来ますし、後は決めるだけですね。

――シーホース三河は西地区で優勝を決め、CS進出を決めています。チーム状態もすごくいいのではないでしょうか?
金丸 はい。接戦で勝ちきることができているのも、チーム状態がいいからだと思います。試合内容もいいですし、手応えもあります。

――CSでライバルとなりそうなチームはどこでしょう?
金丸 どのチームも手強いと思いますが、やはり栃木ブレックスが一番のライバルになりそうです。チームとしての完成度が非常に高いですからね。栃木のハードなディフェンスは、個人としてもチームとしてもやりづらいと思います。アグレッシブな守備にも冷静に対応していく必要がありますね。

――Bリーグの中でライバルと見ている選手はいますか?
金丸 ライバルとは少し違いますが、レバンガ北海道折茂武彦選手はお手本にしています。タフショットが少なく、スクリーンを使ったり、うまくタイミングを取って多くのシュートを打っています。シュート技術も高いですし、映像を見て参考にさせてもらっています。

――ご自身はNBAやBリーグを見て研究するタイプですか?
金丸 僕自身ができるようなプレーをしている選手はよく見ていますね。自分自身の成長のためにもそういうプレーを見て、普段はしないようなプレーを練習でトライするようにしています。

――Bリーグ初代チャンピオンに向けて、チームとしてどのような試合をしていきたいですか?
金丸 優勝するためには、やはりチームが一つにならないといけません。ただの仲良し集団ではダメなので、言うべきところは言わないといけません。今のチームは、意見の交換がまだまだ少ないんですよ。「自分の動きを見てほしい」とか、「このタイミングでパスが欲しい」など、一人ひとりがもっともっと要求していく必要があります。しっかりと意見を言ってチームメートの考えを知ることで連係も高まります。練習から正しい意見を言ってお互いに高め合っていければ、もっとチームとして成長することができ、CSでもいい結果を残せるはずです。

――個人タイトルは意識してますか?
金丸 いえ、あまり気にしていないです。個人タイトルは後から付いてくるものだと思っているので。

――最後に、CSへの意気込みをお願いします。
金丸 トーナメント戦のため、負けたらそこで終わりですから、1試合1試合を全力で戦い、絶対に勝ちあがりたいと思います。何としてでも優勝して、初代チャンピオンになりたいですね。

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