2018.05.13
4月21日、川崎ブレイブサンダース対栃木ブレックスのB1リーグ第29節第2戦。満員の客席とBGMが消えた会場の川崎市とどろきアリーナは、昨季のファイナルをどことなく彷彿させるような雰囲気に包まれていた。
その中心にいるのは、やはりこの男、栃木の田臥勇太。出場時間をかなり制限した第1戦(約12分間)から打って変わり、第2戦は最近では長めの約24分間の出場。第4クォーターに見せた気迫のディフェンスとルーズボールへの粘りは、まさにファイナルのリプレイのようだった。「相手も川崎さんでしたし、会場の雰囲気もファイナルに似た雰囲気でした」と語り、「激しい試合になればなるほどやりがいを感じますし、こういう試合をして成長していきたいと思っています」と、75-64で制した試合を振り返った。
37歳。問答無用のベテランだが、貪欲にバスケットの高みを目指す姿勢は若手と同じ。この日の囲み取材では、「強くなりたい」という言葉を繰り返した。
「強いチームには波がないし、安定して仕掛けられるし、激しくプレーできる。そういったプレーを繰り返すという意識を、一人ひとりがいかに持てるか。そして、一人ひとりが責任と自覚を持ってどれだけ強くなりたいと思えるかが、強いチームを作るのに大切なのだと思います」
「気の緩みがあるチームは勝てない。そういうチームでいいのか、それとも強くなりたいのか。僕は絶対これではいけないと思っているし、強くなりたいと思うし、全員が絶対そう思っていると信じています」
第2戦ではチーム全員で持ち味の「激しさ」を追求できたが、一発勝負のポストシーズンを勝ちあがるためには、毎試合それを徹底できなければならない。徹底することの大切さは大勢の指揮官や選手たちが説くところではあるが、それを実現するのは非常に難しい。しかし、田臥はあくまでも淡々と繰り返す。「強くなるには、いかにやり続けられるか」と。
何はともあれ、この2試合で栃木が得たものは非常に大きい。田臥は「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」に向けたチームの課題を問われ、「メンタル、練習、準備、すべて」と即答。「僕を含めて全員がそれにチャレンジしたい。成長し続けなければならないという危機感を持って、残りの試合を戦っていきたいです」と話し、アリーナを後にした。
文=青木美帆
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