2018.05.13

シーホース三河…栃木ブレックス撃破の要因は、橋本竜馬を中心に田臥勇太を封じた激しい守備

激しいディフェンスでチームを鼓舞した橋本竜馬[写真]=B.LEAGUE
バスケットボールキング編集部

 ついに始まった「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017−18」。レギュラーシーズン全体1位のシーホース三河が昨季のチャンピオン、栃木ブレックスをホームのウィングアリーナ刈谷に迎え撃った。

 ティップオフ直後からチャンピオンシップならではの激しいディフェンス合戦が繰り広げられたこの試合、互いに攻撃の起点となるポイントガードへのプレッシャーを高めていた。栃木はレギュラーシーズンからオールコートでボールマンに対して1人でぴったりマークに付いたり、ここぞという場面ではダブルチーム(2人)でオフェンスを追いこみ、ターンオーバーを誘発させることを得意としている。それが奏功した前半は栃木ペースに試合を進めることができたと言えるだろう。

 対する三河もこの試合では栃木の司令塔、田臥勇太に激しくプレッシャーをかけた。それはスターターの橋本竜馬だけでなく、控えの猪俣昌也と村上直もファウル覚悟で田臥に詰め寄った。事実、前半だけで橋本が2個、さらに狩俣と村上も3個ファウルを犯したが、栃木のオフェンスでのリズムを崩すことには成功していたとも言える。

 鈴木貴美一ヘッドコーチをはじめ、三河のメンバーがケアしていたのは「田臥を起点としたボールムーブ」だ。「セットプレーでもアーリーオフェンスでも田臥選手のパスからそれが始まる。だからボールを持たせないこと、さらに持たれたとしてもそこからの思いどおりにパスを出させないことで、(栃木に)思うように攻められなくなる。今日はそれができた」と鈴木HCが試合後振り返ったが、後半、特に第4クォーターで三河がスパートをかけられた要因が、試合をとおしてやり続けたポイントガードへのプレッシャーディフェンスだったと言えるだろう。

試合内容に一定の評価をした鈴木貴美一HC[写真]=B.LEAGUE

 橋本は「前半でファウルがかさみましたが、試合をとおしてはプレッシャーをかけながらファウルのマネージメントはできたと思います」と振り返っている。さらに「ファウルトラブルの中で、プレッシャーをかけながらもディフェンスのインテンシティ(激しさ)を保てたと思うし、前線からディフェンスを引っ張るという意味でもうまくできたと思います」と胸を張った。さらに「それは栃木さんも同じですよね。田臥さんをはじめ、渡邊(裕則)さんと生原(秀将)君がうちのポイントガードにプレッシャーをかけてきました。こういう試合(チャンピオンシップ)ですけど、相手のプレーのいいところや見習うところもある。プレッシャーをかけられればこちらも嫌だし、相手も嫌だと思う。こういうディフェンスをしなければいけないんだと、試合中改めて感じていました」と、熱いプレーとは裏腹に、冷静に自分たちと相手のプレーを俯瞰で見ることも忘れていなかった。

試合後、次戦に向けた意気込みを語った田臥勇太[写真]=B.LEAGUE

 そのディフェンスに対して、田臥は「チャンピオンシップに入り、三河さんがオフェンスにしてもディフェンスにしても1段ギアを上げてきたと感じました」と感想を述べている。そして「三河さんは経験豊富で隙を作らないし、逆に僕たちがちょっと緩んでくるところをしっかり突いてくる。第3クォーターでうちがリードした場面でも慌てずに、やるべきこと、チームのスタイルを崩さずに戦ってくるので、そういうところは『さすがだな』と試合中も感じていました」と、橋本同様にプレー中に感じたことを語ってくれた。「そういう部分も自分たちが上回れるように激しさとディフェンスの強度とチーム力で上回れるようにしないと勝てない。それがやれると勝てると思います」と、冷静に分析。第2戦に向けて課題を挙げるとともに、勝利への手応えを感じていたことも事実と言える。

エース比江島慎に激しいディフェンスで対抗した生原秀将[写真]=B.LEAGUE

 第2戦のポイントはどこにあるのか?先勝した三河は初戦精彩をやや欠いた比江島慎が黙っていないだろう。後のない栃木はプレッシャーの強度をさらに高め、40分間切れない集中力を見せるかもしれない。その中で三河橋本、栃木田臥の司令塔がどのようにゲームをコントロールしていくか。それはオフェンスだけでなく、ディフェンスの面でも目が離せないはずだ。

文=入江美紀雄

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