2019.01.10
61-89で大敗を喫した第1戦と、素晴らしい内容で75-64の勝利を収めた第2戦。川崎ブレイブサンダースとのB1リーグ第29節で天国と地獄を味わった栃木ブレックスで、両ゲームを通じて高いパフォーマンスを発揮したのが遠藤祐亮だった。
特に、やることなすことうまくいかなかった第1戦において、唯一気を吐いたのが遠藤だ。チームディフェンスの崩壊からオフェンスもなし崩し的に不調だったが、それでも1人、前を向き、アグレッシブにゴールにアタック。チーム最多となる28分19秒間のプレータイムで13得点4アシストを記録した。
2連戦を終えたあと、遠藤は第1戦についてこう振り返った。
「うまくかみ合わず、オフェンスもディフェンスも思うようなバスケットができませんでした。誰が出ても流れが悪くて本当にうまくいかない試合でしたが、それでも誰かがやらないと変わらない。自分は出場時間を長くもらっているし、ああいうところで気を吐かないと今日(第2戦)にもつながらないと思ったので、最後までしっかり戦いました」
第1戦終了後、遠藤は軽い体調不良に見舞われた。試合後の補食の際に突然気分が悪くなったのだという。幸い風邪などの病的な症状は一切なく、翌朝にはすっかり回復したとのことだが、これまでに同じような経験があったのか尋ねると、遠藤は首を横に振った。この試合、彼に掛かった心身の負担がどれほどのものだったかをうかがい知ることができた。
指揮官の変更や主力の移籍により、昨季王者は非常に苦しい戦いを強いられている。遠藤は低迷した前半戦を振り返り、「上位チームには到底かなわないような試合しかできなかった。結果を見れば弱いチームです」と言い、「でも」と続けた。
「後半戦に入った今、その頃を思い出そうとしています。だんだん勝ちきれるようになって、必死だった頃の気持ちやチームの雰囲気を忘れている部分があったので」
2012年に育成組織のTGI・Dライズに入団し、「たたき上げ」、「成り上がり」の精神で不動のスタメンに定着した遠藤。その挑戦者のメンタリティは今の栃木に欠かせないものだと再確認する2試合となった。
文=青木美帆
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