2018.05.05

最後の10分間でやるべきことを表現した栃木ブレックスが大逆転勝利

チャンピオンシップに出場する名古屋Dと栃木が最終節で激突 [写真]=鳴神富一
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 名古屋城のそばにあるドルフィンズアリーナにてゴールデンウイーク真っ只中の5月4日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズが栃木ブレックスを迎え撃った。

 第31節でようやく「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」の切符をつかみ取った名古屋Dはホーム最終節。一方の栃木はクォーターファイナルの対戦相手が、激闘を演じたシーホース三河に確定。両チームともにチャンピオンシップに照準を絞り、スターターの変更や出場時間のシェアを行った。名古屋Dは司令塔の笹山貴哉が体調面を考慮して先発から外れれば、栃木もインサイドの番人であるジェフ・ギブスとシューターの喜多川修平が欠場した。

 ホームの名古屋Dが序盤からチーム全体でボールをシェアすると、オープンでアウトサイドシュートを高確率で決め、ゲームの主導権を握る。実はその裏には、「前半、ディフェンスで新しいことを試していた」(安齋竜三ヘッドコーチ)ため、栃木は持ち味であるフィジカルなディフェンスを表現できなかった。その隙を名古屋Dは見逃さず、張本天傑ジャスティン・バーレルを中心に攻め立てる。それでも、栃木もケガから復調を見せているセドリック・ボーズマンライアン・ロシターを軸に追いすがり、前半を41-37で終えた。

15得点のセドリック・ボーズマン [写真]=鳴神富一

 第3クォーターは名古屋Dが序盤から集中力をより高め、一気に相手を突き放す。2本連続で3ポイントを決めると、波に乗ったチームはディフェンスでもボールマンに激しくプレッシャーを掛け、相手にリズムを渡さない。中東泰斗が10得点を奪うなど躍動し、他の選手たちも彼に導かれるように次々とシュートを決めきる。フィールドゴール成功率が63パーセントを超え、一気に点差は2ケタに広がった。

 しかし、ここでゲームは終わらない。第4クォーター、栃木が本来のディフェンスでゲームを徐々に支配。名古屋Dは我慢できずに単純なミスを繰り返し、梶山信吾HCが試合後「相手のより強度が高くなったディフェンスに対して、一歩引いて構えてしまい、悪い部分が出てしまった」と悔やんだ。

 時間が経過するごとに点差は徐々に縮まり、残り3分30秒で栃木が同点。彼らはこのクォーターだけでチームスティールが7本と、素晴らしいディフェンスを見せ、最終的に80-84と大逆転勝利を収めた。

ロシターは17得点に加えて6スティールを記録 [写真]=鳴神富一

 栃木の安齋HCは「今日のゲームの入りでは、チャンピオンシップで三河には絶対に勝てない。最初からファイトしないといけない」と言えば、名古屋Dの梶山HCも「相手がより激しくきた時に受け身になってしまうのはシーズンとおしての課題。これを乗り越えないと上には進めない」と、両チームともに課題がはっきりしたゲームとなった。ゲームから学べるのは、1試合のみ。やるべきことにフォーカスし続けたチームが60ゲーム目を勝利で飾ることができるだろう。

文・写真=鳴神富一

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