2025.08.03

北陸学院・小野蓮太…主将として、シューターとして更なる高みへ

「まだまだ練習が足りない」と小野蓮太は振り返った [写真]=小沼克年
フリーライター

 7月30日、ジップアリーナ岡山で「令和7年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ)」の男子準々決勝が行われ、北陸学院高校(石川県)が北陸高校(福井県)と対戦した。

 勝てばインターハイ初のベスト4。2回戦では優勝候補の一角・藤枝明誠高校(静岡県)を破り、チームの雰囲気も上向きだった。しかし、北陸戦では3点リードで迎えた後半に30−46とペースを握られ、最終スコア63−76で敗れた。

 リバウンド争いでは北陸が44本、北陸学院が41本と互角だった。明暗を分けたのはシュート力。後半、小刻みに3ポイントシュートを決めた北陸に対し、北陸学院は思うように得点を伸ばすことができなかった。

「ここまでの3試合でタイムシェアもできていました。その点では有利な部分がありましたが、今日は得点が伸びなかったです。まあ、小野がここまで打って外したら……。あんなに外す選手ではないですし、(もう少し決めていれば)75点、80点くらい得点を取れたと思います」

 試合後、そう振り返った濱屋史篤コーチは「自分たちが崩れたなぁ。小野蓮太……」と込みあげる悔しさを漏らす場面もあった。

 濱屋コーチが言及したのは、3ポイントを得意とするシューターの小野蓮太(3年)。準々決勝では合計14本の3ポイントを放ったものの、リングをくぐったのは5本。フリーの状態で打ったシュートも決めることができず、本人は「相手の3ポイントが入りだしたときに、自分たちも決めなきゃいけないという焦りが出てしまいました。個人的にも決めるべきところで決めきれなかったですし、まだまだ練習が足りないということだと思います」と自身のパフォーマンスを悔やんだ。

「タレントと言えるかどうかは分かりませんが、中学時代に日本一や全国大会の決勝を経験している選手は何人かいます。そういった選手を中心に、個に頼らないチームバスケットがうちの強みだと思っています」

 濱屋コーチは今年のチームの強さをそう語る。その中でも小野は、中学時代に名古屋ダイヤモンドドルフィンズU15の一員として「B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2023」で優勝を果たし、大会ベスト5にも選出された貴重な存在。北陸学院に進学後は1年生のころから主力を担い、今年はキャプテンとしてもチームを引っ張る決断をした。

「キャプテンはチームをまとめる存在でなければいけないので、流れが悪くなったときでもいかにチームの雰囲気を保てるかという部分はすごく意識しています」という小野について、チームメートの神保旺介(3年)は「練習中も全員を集めて、結構厳しい言葉でチームに喝を入れてくれます」とキャプテンの頼もしさを明かした。

キャプテンとしてチームからの信頼が厚い小野 [写真]=小沼克年

 北陸戦では厳しいマークとシュートタッチに苦しんだ小野だが、チーム最多の18得点をマーク。プレータイムでもチームの誰よりも長い約32分間コートに立って仲間をけん引し続けた。高校最後の夏はベスト8で敗退。しかし小野は、今大会をとおして手応えがなかったわけではない。

「初戦から自分に対するマークがすごくタイトで思うようにプレーさせてもらえなかった部分がありましたけど、打つべき3ポイントはしっかり打てたと思います。最後の試合は入らなかったですけど、打ちきるという部分ではやっぱりシューターとしての思いや気持ちを強く持ち続けました。あとは決めきるだけなので、これからもタイトにディフェンスされてシュートが打てないというケースがあると思いますけど、そこを自分の努力で乗り越えられるように練習していきたいと思います」

 この夏に得た悔しさと手応えは、冬のリベンジに向けた布石。個に頼らず、全員で戦う。その中心にいるキャプテン兼シューターの小野蓮太は、すでに前を見据えていた。

文=小沼克年

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