2025.11.13
Bリーグ10年目の開幕戦。宇都宮ブレックスはTOYOTA ARENA TOKYOでアルバルク東京と対戦。持ち前のフィジカルなディフェンスを軸に、リバウンドやルーズボールで優位に立ちながら主導権を握り、白星スタートを切った。チームの大黒柱の比江島慎は攻守に存在感を示し「細かい部分を徹底できたことが勝因」と会見で振り返った。
初戦の難しさは誰よりも知るベテランだ。昨シーズンの千葉ジェッツとの開幕2連敗を踏まえ、「相手の激しさに負けないように意識した」と語ったように、宇都宮は序盤から強度を落とさず戦い抜いた。プレシーズンでは思うような結果が出ていなかったと語ったが、「この勝利を自信にしていい」と表情は晴れやかだった。
会見の終盤、比江島に「Bリーグ10年目を迎えた今の思い」について聞いてみた。2016年9月24日、彼はシーホース三河の一員としてBリーグの初年度を迎え、滋賀レイクスターズ(現滋賀レイクス)との開幕戦に臨んだ。そこから10年、リーグは会場規模や演出、そしてファンの熱量の面で大きく進化を遂げている。比江島自身もまた、その10年を象徴する存在のひとりだ。

A東京との開幕戦は10得点3リバウンド3アシストをマーク [写真]=B.LEAGUE
「ここまで盛り上がって、こういうアリーナでプレーできるとは正直想定していなかった」と比江島はしみじみと口にした。Bリーグの拡大と歩調を合わせるように、自らも挑戦を続けてきた。トップの舞台で戦い続ける難しさについて問われると、「それが大きなモチベーション」ときっぱり言い切る。その表情には、決して慢心しない競技者としての誇りがにじんでいた。
比江島はチームメートへの感謝の言葉を忘れていなかった。「チームには年上の選手もいて、時に怒ってくれる人がいる。まだまだ自分は若いと言い聞かせてもらえる」。その一言に、宇都宮というクラブの文化が凝縮されていた。勝利の喜びを分かち合い、時に厳しく指摘し合う関係性が、彼らの強さを支えている。比江島にとって、その環境こそが成長を続けるための原動力であり、10年を経た今もなお挑戦者でいられる理由なのだ。
ベテランと若手が同じ熱量で声を掛け合い、練習から高い基準を共有するチームの中で、比江島は「怒ってくれる人がいる」ことを何よりの財産と感じている。競争の激しいプロの世界で、互いに刺激し合いながら自分を磨ける環境がある。そこに、ブレックスの強さと、比江島が年齢を重ねてもなお前線で輝きを放つ理由があるのだろう。
滋賀で迎えた開幕から10年、舞台は東京・青海のTOYOTA ARENA TOKYOへと移った。背番号6の歩みは、変わり続けるBリーグと重なっている。この夜の勝利以上に意味を持っていたのは、リーグとともに成長してきた比江島が今なお最前線で輝きを放ち続けている、その事実にほかならない。
文=入江美紀雄
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