1時間前

「自分がチームを勝たせる」アルティーリ千葉・黒川虎徹が迎える「覚醒」の時

B1の舞台でも頭角を現している黒川虎徹[写真]=B.LEAGUE
フリーのスポーツ専門編集者&ライター

 Bリーグ参入5年目のアルティーリ千葉は、初のB1シーズン前半戦を終えて9勝21敗の東地区11位。昨季までB2で圧倒的な戦績を残してきたとはいえ、「B1がどういうものなのか、選手からスタッフまで全員が学びながら戦っている」とアンドレイ・レマニスHCは語る。だが、7敗は2ゴール(6点)差以内という数字が示すように、チームは確実に食らいついている。

 そんな中、ポイントガードの黒川虎徹は、B1のスピードとフィジカルの強度を肌で感じながら成長を続けている。

「勝った試合は序盤からリードを奪って逃げ切り、負けた試合は出足で離された後、追い上げるけど、あと一歩届かない展開が多かった。ただ、相手の背中は常に見えている。あきらめずに修正を重ね、チームとして少しずつ成長していると思います」

 東海大学時代に主将を務めた黒川は、2023-24シーズン途中に特別指定選手としてA千葉に加入。1年目はケガでの欠場が多かったが、2年目の昨シーズンはB2プレーオフMVPに輝くなど、B1昇格に大きく貢献した。3年目の今季はここまで全30試合に出場(先発出場9試合)し、平均プレータイム21分9秒で10.0得点4.0アシストをマークしている。

エース離脱で芽生えた“攻める覚悟”

プレータイムを伸ばしている黒川 [写真]=B.LEAGUE

 開幕当初から変化が見られたのは、得点への意識だ。開幕15試合で4試合だった2ケタ得点は、その後の15試合で6試合連続を含む9試合に。転機は11月中旬に大黒柱のブランドン・アシュリーが右膝前十字靱帯を断裂したことだった。

「ブランドンが離脱して得点力が落ちると思ったので、その部分を自分がもっとやらなければ、と。細かく言えば“得点を取る”より“思い切りプレーする”ことを意識しているのが、いい形につながっていると思います」

 バイウィーク明けの12月、黒川は最初の3試合で平均18.0得点をマーク。12月14日のファイティングイーグルス名古屋戦では3ポイント6本成功を含むキャリアハイの28得点(延長戦で10得点)を挙げて勝利に貢献。さらに同20日に行われたB1王者・宇都宮ブレックスとの初対戦では敗れたものの、16得点10アシストのダブルダブルと存在感を示した。

 その後の5試合ではフィールドゴール成功率が18パーセント台に停滞したが、1月4日の島根スサノオマジック戦ではキャリア最長の30分12秒プレーし、21得点7アシスト2スティールをマーク。チームの連敗を6で止める原動力となり、その勢いを天皇杯にも持ち込み、クラブ史上初のベスト8進出に貢献した。

 まだ、波はある。ただ結果はどうあれ、黒川の心の内に芽生えたものがある。

「このチームを僕が勝たせる、という強い意志を持たないと、結果は出ないと思っています。自信はあります。だから、どんな状況でも勝利のためにプレーしていきます」

初のB1の舞台で善戦を見せるA千葉[写真]=B.LEAGUE

 1月16〜18日には、故郷・長崎で行われるBリーグ・オールスターゲーム(りそなグループ B. LEAGUE ALL-STAR GAME WEEKEND 2026 IN NAGASAKI)に初選出されている。発表はシーズン序盤の11月上旬だったが、レマニスヘッドコーチはそれ以降の黒川の成長について、高く評価する。

「黒川は、“バスケットボールの学生“のような選手です。試合、練習問わずプレー映像をいつも見返してよく学んでいますし、向上心が強い。いい質問もするし、いい意見も出してくれる。それに今は、自信もついてきています。

 オールスターに選ばれた当初は、長崎出身であることを考慮されたと感じていたのか、少し(反応が)シャイだったけど、その後のプレーを見れば、オールスターに相応しい選手として成長していることがわかります」

 黒川本人も課題と手応えを冷静に見つめている。

「得点面が伸びてきた実感よりも、ポイントガードとしての課題が次から次へと出てくる感覚の方が強いです。キャリアハイの得点を取った試合もアシストは1本だけでしたし、20点近く取っても6個もターンオーバーをしてしまった試合もありました(12月10日・レバンガ北海道戦)。

 でも、試合を重ねるごとにB1でプレーできることを、少しずつ証明できていると思います」

 オールスター、そして後半戦へ――。

 黒川虎徹は「自分がチームを勝たせる」という覚悟を胸に、B1の舞台で挑戦を続けていく。

文=牧野豊

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