2020.02.25
宇都宮ブレックスがようやく連敗から抜け出した。
1月11日の「第95回天皇杯・第86回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」準決勝で川崎ブレイブサンダースに敗れて以降、チームは調子を戻すことができずリーグ戦に戻っても3連敗。2020年に入ってからのリーグ戦では5試合戦ってわずか1勝止まりだったが、26日の大阪エヴェッサとの試合を85-73で制し、待望ともいえる勝利を手にした。
この日の試合では立ち上がりでつまずき、第1クォーター開始5分の時点で4-17とされる展開。この時点で安齋竜三ヘッドコーチは前半2回しか請求できないタイムアウトを使い切った。
「『ディフェンスから入る』という準備をしていたにも関わらず、あれだけ流れを持っていかれるのは空気的にも悪かったですし、やるべきことができてなかった。なので2回使い切ってもいいからまずはディフェンスの意識を元に戻しました」
このまま引き離されるわけにはいかない宇都宮は、相手へのプレッシャーを強めて立て直すと、ベンチスタートの渡邉裕規の活躍などもあり前半のうちに逆転に成功した。
そして、第3クォーターはさらにギアを上げた。25日の第1戦ではこの10分間で前半の8点リードを1点差まで追いつかれ、最終的に3点差で敗れている。
後半開始早々にジェフ・ギブスのスティールから比江島慎がダンクを叩き込むと、次はその比江島が相手からボールを奪ってライアン・ロシターが豪快なダンクを披露。ロシターはそこから立て続けに3ポイントとスティールからのバスケットカウントをマークして、あっという間に点差を15点に広げた。
1ケタ点差に詰められた試合終了残り2分26秒にもバスケットカウントを沈めたロシターは、試合をとおして両チーム最多となる30得点の活躍。出鼻をくじかれた第1クォーターを除けば、宇都宮は残りの30分間では67-46と攻守で圧倒した。
「2、3、4クォーターはブレックスらしいバスケットができたけど、ああいう穴があるとよくないので修正したい」と、ロシターは立ち上がりの出来に反省したが、まずはファンに久しぶりの勝利を届けられたことが一番だろう。
「ここ数試合、チームの調子が上がっていなかったので、チームとしてまとまってプレーしようと心がけた。とにかく勝ててホッとしているよ」
「苦戦してる時期でもこのチームは結束している。誰かのせいにするのではなく、みんなでまとまって切り替えて頑張っていこうという雰囲気は常にあった」
そう負けが続いていた年明けの時期を振り返ったロシターは、現在は帰化選手としてプレーする。日本代表は2月に「FIBA アジアカップ2021」の予選を控えており、これから日本代表争いにも加わる可能性が大いにある。事実、大阪との第1戦にはフリオ・ラマスHCがブレックスアリーナ宇都宮に訪れた。
それでも、「今はブレックスのことに集中したい」とロシター。いくら周りに騒がれようとも、チームの勝利を最優先する姿勢は変わらない。
第19節を終えてアルバルク東京に東地区首位の座を明け渡してしまった宇都宮だが、レギュラーシーズンは後半戦が始まったばかり。11月から15連勝を記録したように、この勝利を機に再び息を吹き返せるかどうかは、次節ホームで迎えるA東京戦にかかっている。
文=小沼克年
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