2020.02.02

Bリーグデビュー戦で大仕事をやってのけた赤穂雷太「最高です、読みが当たりました」

試合を決めるビッグプレーを決め、チームメートから祝福される赤穂(中央)[写真]=鳴神富一
スポーツジャーナリスト

 1月29日に横浜ビー・コルセアーズに特別指定選手として登録されたばかりの青山学院大学3年生、赤穂雷太Bリーグデビュー戦で大仕事をやってのけた。

 2月1日に行われたホームアリーナの横浜国際プールでの大阪エヴェッサ戦。第1クォーター残り2分でコートに立つと、第2クォーターでは3ポイントシュートで初得点を記録。そしてこのゲームを決めることになった第4クォーター残り11秒、アイラ・ブラウンへのパスをスティールして決勝点となるファストブレイクを決めた。デビュー戦にして試合を決める“ゲームウィナー”となり、西地区首位から勝利をもぎ取る主役となった赤穂。加えて、この日からヘッドコーチとして正式にチームの指揮を取ることになった福田将吾氏に最高のプレゼントを贈った。

 その赤穂のことを福田HCは、第1クォーター途中からコートに立たせる事を試合前に決断しており、それを本人にも伝えていたという。そう告げられたことで赤穂自身も事前準備ができていたかもしれないが、勝利を決するビッグプレーを決めるとは、会場のファン、本人も含めて予想していなかったかもしれない。しかし、福田HCは彼のことを信頼していた。

「(赤穂は)非常にバスケットIQが高く、コーチの意見など非常に聞く耳を持っている子なので今後が非常に楽しみです。今日も西地区首位の大阪さん相手に怯まず、自分のプレーを淡々とできる。メンタル面でも非常にタフですね。これは彼が練習に来た初日から感じていました。あのラストプレーは、その前のプレーで予想していた3ポイントシュートを放つのではなく、相手はスピードのミスマッチを突いてドライブを仕掛けてきた。その中でこの日はアイラ・ブラウン選手を彼はいい形で止めていたので、コートに出すことを決断しました。結果としてあのスティールにつながったと思います」

スティールからレイアップを沈め、接戦に終止符を打った[写真]=鳴神富一

 指揮官の期待に最高な形で応えた赤穂は、試合を振り返って「日頃の練習からハードワークができていて、どんな相手が来ても練習中からレベルの高さには慣れていました。相手が西地区首位だからといって臆することなくプレーできたんじゃないかなと思っています。ディフェンスを常に意識していて、その中でラストにディフェンスのポゼッションでコートに立てたことは凄くありがたかったですし、嬉しい気持ちでした。それと同時にしっかりやらないといけないと思いました」と淡々と話した。

 最後のレイアップの瞬間は「最高でした」と語りながら、赤穂はスティールした場面を冷静に分析する。「確証は無かったんですけど、相手の指揮官だったら自分みたいな新しく入ったばかりの選手を突けばミスが起こるかなと予想して、その中で少なからず自分のことを狙ってくるなと考えていました。ピックを仕掛けられた後にヘルプに寄りすぎず、ある程度パスをカットできる距離でディフェンスして読みが当たりましたね。コースに入った段階で考えていたので良かったです」

 赤穂はBリーグ挑戦に際し数チームからオファーを受けていたが、横浜でプレーする決断をした。そして前述のとおり、デビュー戦で大仕事を成し遂げた。なぜこのチームに入る決断をしたか、そこには実際にプレーできる可能性があったことが大きな要因であると打ち明ける。

「横浜のフロントやコーチ陣から話を聞いて一番プレータイムが貰えそうだと感じました。しっかりやればプレータイムを確保できると伺って、その中で貰えなかったら自分の実力不足なだけで、競争できるのであれば行くべきだと決めました」

まだ大学3年。今後もB1の舞台でさらなる成長を遂げてほしい[写真]=鳴神富一

 その裏には青山学院大学のヘッドコーチである廣瀬昌也氏が、赤穂を横浜に送り出す際の言葉に関係している。「コーチからは『行くからにはプレータイムを勝ち取ってこい』と送り出されて、その中で自分としては勝負だと思って、精一杯やってプレータイムを勝ち取りたいです」

「B1でやっていけると自信は無いんですけど、ある程度できるのかなと少し自信がついた形です」と手応えを感じた赤穂。196センチの将来を嘱望された日本屈指のオールラウンダーが、ここから進化を遂げてチームを、そして自分自身をさらなる高みへと導くはずだ。

写真・文=鳴神富一

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