2020.03.15

三河の金丸晃輔、加藤寿一が正直な気持ちを吐露。「早く皆さんの前でバスケットがしたい」

三河の金丸晃輔が試合後、メディア対応を行った [写真]=B.LEAGUE
日本サッカー協会を経て、フリーランスのスポーツライター・カメラマンに。東海地方を拠点に、サッカー、バスケットボールなど様々なスポーツの取材を行う。

「早く“青援”が聞きたい」

再開後の初戦、金丸晃輔は13得点をゲット [写真]=B.LEAGUE


 新型コロナウイルスの影響により延期されていたBリーグが無観客試合で再開し、中地区2位のシーホース三河は同5位の横浜ビー・コルセアーズと対戦。両者の熱い思いが激突し、終盤まで1点を争う白熱したゲームとなったが、最後は横浜に抜け出されて82ー89で敗戦。再開初戦を白星で飾ることはできなかった。

 異例の無観客試合。いつもなら約3000人のファン・ブースターで青く染まる無人のスタンドには、「GO! SEAHORSES!」「共に頂点へ!」という応援幕が掲げられ、アリーナMCの小林拓一郎さんの掛け声や音楽で、少しでも普段の環境に近づけようとするクラブのスタッフの努力は垣間見えたが、選手は一様にモチベーションや集中力を保つ難しさを口にした。

「代表戦で1回経験してはいるのですが、やっぱり少し変な感じというか…」。FIBAアジアカップ2021予選のチャイニーズ・タイペイ戦で無観客試合を経験している金丸晃輔は、シュートを決めても歓声が聞こえないのは寂しいですね。モチベーションを切らさずにやろうと自分の中で決めているのですが、どうしても歓声があるのとないのとでは違います。早く皆さんの前でバスケットがしたい。”青援“を早く聞きたい。それだけです」と正直な胸の内を明かす。

 キャプテンの加藤寿一も「こういう経験は自分も初めてだったので、緊張する場面もありました。無観客での試合が続くことは決まっているので、早く全員でアジャストしなければいけない」とやりづらさを語る。

 特に、フリースローでは影響が顕著に表れた。最上段に設置された実況席の声が聞こえるほどの異様な静寂が選手の手元を狂わせた。もちろん両チーム同じ条件であり言い訳はできないが、前節終了時点で成功率78.6%とリーグ1位を誇る三河のフリースリーは、この日は66.7%と低調。21本中7本を失敗した。

「ハードに戦い、ファンに元気を届けたい」

無観客試合が行われたウイングアリーナ刈谷 [写真]=B.LEAGUE


 それでも、無観客試合を通して得たものもあったと加藤は続ける。「ディフェンスのハッスルだったり、『ファンの方がいてくれたら、この場面は盛り上げてくれているんだろうな』と感じながらプレーしていました。いつもファンの方々が支えてくださっていることを改めて感じました」。

 国内ではプロ野球の開幕、Jリーグの公式戦など様々なスポーツやイベントが軒並み延期。世界を見ればNBAなどのバスケットリーグが中断している。その中で試合をすることに、選手それぞれが複雑な思いを抱えている。

「再開することに色々な意見がありますが、約1カ月ぶりに試合ができることはやはりうれしい。この1カ月間の練習でハードにプレーすることをやってきた。それを試合で表現することによって、配信でご覧になる方に少しでも元気になってもらうこと、会場に行ってみたいと思ってもらうことが僕たち選手にできることだと思う。無料で配信されている中で、バスケットボールをより多くの方に見てもらえるチャンスでもあるので、バスケットを広めるためにも一生懸命プレーすることが大事」と加藤は難しい状況の中でバスケットボールを続ける意義を話す。

 3連敗となった三河は、かろうじてチャンピオンシップ進出圏内の中地区2位を守ったものの、17勝23敗と通算勝率で3位の富山に並ばれた。「今日は負けてしまいましたが、ハードに戦うことを選手たちでもう一度共有したい」とキャプテンとしてチームをひとつにする決意を言葉に込めた。

文=山田智子