2023.04.04
B1リーグの富山グラウジーズは最近5試合を、ジュリアン・マブンガとドワイト・ラモスという中核の2選手を欠きながら、3勝2敗で乗り切った。けん引したのは「覚醒」したブライス・ジョンソンだ。3月5、6日に対戦したサンロッカーズ渋谷には、ジョンソンが「兄弟のように仲がいい」という大学時代の1年先輩、ジェームズ・マイケル・マカドゥがいる。マカドゥもまた充実のシーズンを送るが、そんな「兄貴分」の前でジョンソンはオールラウンダーぶりを発揮した。
文=横田直
富山の浜口炎ヘッドコーチの、ジュリアン・マブンガとジョシュア・スミスに対する信頼度は絶大だ。彼らの交代要員という役回りのブライス・ジョンソンは序盤14試合、1試合平均で8.8得点6.9リバウンド1.3アシストと平凡な数字に終わっている。ケガがちな両選手に代わって先発に定着したジョンソンは、昨年12月から2月2日までの19試合、1試合平均で16.3得点10.3リバウンド2.5アシストと上向きに。ただし、3ポイントシュートは計33試合で9回試み、成功は2回にとどまっている。
そんなジョンソンが、2月5日からSR渋谷戦までの5試合でインサイド中心のスタイルを脱ぎ捨てた。1試合平均で24.8得点14.0リバウンド5.4アシストとさらに加速し、3ポイントシュートを19回中8回(成功率42.1パーセント)、リングに沈めている。ジョンソンは、「ガード陣にプレッシャーがかかる場面で、自分が助けに入る」というチームオーダーを明かしたうえで、「チームメートをスコアしやすいポジションに立たせる。逆に、自分もそういうポジションに立っていなければいけない。自分のマインドも変わったと思うし、今後、マブンガやラモスと一緒にプレーする際も、同じように考えるだろう」と付け加えた。
ジェームズ・マイケル・マカドゥはノースカロライナ大3年次、アーリーエントリーのためチームを離れている。ジョンソンは入学から2年間、マカドゥの控えという立場だった。「高校から大学では、バスケが全然違うものになる。マカドゥが多くのことを教えてくれ、助けになったし、現在のプレーにも生かされている」と、ジョンソンは感謝する。共にNBAプレーヤーとなり、米国外に活躍の場を移した後も、夏には大学界隈で一緒にオフを楽しむという。
マカドゥは今季、SR渋谷2年目にして大ブレークを遂げた。1試合平均で20.3得点(昨シーズンは10.6)、9.3リバウンド(同6.2)を挙げ、2.3スティールはリーグ首位に位置している。昨シーズンのマカドゥは来日がリーグ開幕後となり、ケガもあってシーズンを通しコンディションが整わなかった。SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチは「今季のマカドゥは合流がチームで最も早く、体をつくることができた。ライアン・ケリーの離脱もあって出場時間が長くなり、Bリーグにフィットできたと思う」と手応えを示す。
富山とSR渋谷の今季唯一となる2連戦で、ジョンソンは計45得点30リバウンドを挙げ、同34得点12リバウンドのマカドゥとの「ノースカロライナ大対決」を制した。一方で、ジョンソンは計10のターンオーバーを犯し、マカドゥはターンオーバー計1、スティール計5と堅実さを見せている。2試合とも両選手のマッチアップは多かったが、2戦目の第1クォーター終盤に印象的なシーンがあった。ボールを運ぶジョンソンに前線からマカドゥがマークにつき、富山は8秒バイオレーションを宣告されている。「ああいう状況でマカドゥがプレッシャーをかけてきたことは過去になく、油断した」とジョンソン。今後、オールラウンダーとして台頭するために必要なものを、先輩から改めて教わったようだ。
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