2022.09.20

【B1クラブ展望/仙台】Bリーグ初年度以来となるB1の舞台…ディフェンス力で難敵に立ち向かう

2016-17シーズン以来のB1復帰を果たした仙台[写真]=B.LEAGUE
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

 5シーズンに及ぶ我慢の時を経て、仙台89ERSはBリーグ初年度の2016-17シーズン以来となるB1の舞台に戻ってきた。昨シーズンは1試合平均失点がB2で2番目に少なく、就任1シーズン目の藤田弘輝ヘッドコーチが重視するディフェンス力でのし上がってきた格好だ。

 昇格メンバーのうち、リーダー格の月野雅人を筆頭に6人がチームを去ったが、日本人選手は加藤寿一小林遥太という過去6シーズンをすべてB1で過ごしてきた仕事人を獲得。新外国籍選手のネイサン・ブースラショーン・トーマスはいずれも20代後半と脂が乗っている。そして、帰化選手の小寺ハミルトンゲイリーの獲得に成功したことは何よりも大きく、チームはラインアップの幅を広げることができる。選手間の実力差が小さく、スターター予想も非常に難しい。

 戦略としては、今シーズンもやはりディフェンスに重点を置く戦い方になるだろう。既存の選手はその多くがB1経験者だが、B1の舞台から2シーズン以上離れている選手が多いのは気になるところ。B2から格段に上がるプレーの強度を思い出し、B1の水準にアジャストしていかなければならない。ただ、小寺の加入もあってインサイドの層は厚くなった。昨シーズンB2で見せたペイントエリアでの強さは確実にアップし、B1でも相手を手こずらせるはずだ。

 B1復帰に5シーズンを要するほどB2のレベルは上がり、それと同時にB1のレベルも上がった。厳しい戦いを勝ち上がってきたとはいえ、改めて挑むB1もまた厳しい戦いになる。ただ、昨シーズン仙台はプレーオフの3カードをすべて3試合ずつ戦い、タフな状況を乗り越えてきた。その過程で培ってきた精神的な強さで、難敵に立ち向かう姿に期待したい。

■KEY PLAYER/PG #15 渡辺翔太

[写真]=B.LEAGUE


 渡辺翔太はチームの日本人選手でB1経験を持たない数少ない1人だが、昨シーズンは故障で戦列を離れるまでほぼスターターとして出場。アンダーサイズのガードらしいエネルギッシュなプレーでチームに火をつけた。

 昨シーズン終盤に復帰し、B2ファイナルでは3試合すべてスターターを務めて昇格に貢献しているが、完全復活を期する舞台が自身初のB1とあって、強い意気込みで臨むだろう。勝負強さも備える司令塔として、チームの命運を左右する存在だ。

 文=吉川哲彦

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