2022.11.27

【トッププレーヤーの高校時代】齋藤拓実(後編)「チャンスをどん欲につかんでほしい」

名古屋Dの齋藤拓実に学生時代の話を聞いた[写真]=B.LEAGUE
バスケ情報専門サイト

 BリーグやWリーグの選手たちに、高校時代のことを振り返ってもらうインタビュー企画「トッププレーヤーの高校時代」。今回は神奈川県・桐光学園高校出身の齋藤拓実だ。

 桐光学園高校へ進学した齋藤は3年間でどんなことを学び、プロ生活につなげているのか。今回は後編をお届けする。

インタビュー・文=岡本亮
写真=B.LEAGUE

「桐光では精神的な部分が一番成長した」

――桐光学園高校は当時、神奈川県でどのくらい強かったのですか?
齋藤 県大会で優勝することもあれば、ベスト8で敗れるなど安定した成績を残せていませんでしたね。僕が高1の時は直近の数年間で一番成績が良くなくて、3年生全員がインターハイ予選の後引退しました。

――高校に名物練習はありましたか?
齋藤 特になかったですね。夏の走り込みはありましたが、どのチームでもやっているような内容だったと思います。

――では、一番キツかった練習は?
齋藤 体力には自信があったので、「これはヤバかった」というのは正直ありませんでした。でも、嫌だったのは先輩にペナルティーで走らされること。自分が納得できる理由の時は走っていましたが、違うと思った時は走りませんでした。当時からマセていたので(笑)。

――3年生引退後の新体制では、チーム内でどのような立ち位置だったのですか?
齋藤 最初は先輩がスタートで出て、僕は交代で出場していたのですが、結果を出していたので途中からスタメンを務めるようになりました。

――2年次のインターハイは神奈川県大会を勝ち抜き、全国大会へ出場。2回戦で東海大三高校(現東海大付属諏訪高校)に73-85で敗れました。
齋藤 どんな内容だったか全然覚えていないですね(笑)。「やっとここまで来たか」というのは特になくて、東海大三にはジュニアオールスターのチームメートが数名いたので、同じ神奈川県出身どうしで負けたくない気持ちはありました。

――その年はウインターカップにも出場。齋藤選手は全試合でスターターを務めましたが、ベスト8で延岡学園高校に74-98で敗れました。
齋藤 当時の延岡学園は強豪で、寺園脩斗選手(レバンガ北海道)のことをずっと見ていたのでマッチアップできたのはとてもいい経験でした。

――寺園選手とマッチアップした時の印象は?
齋藤 とにかく上手な選手だと思いました。ジュフ・バンバ選手(東京八王子ビートレインズ)の使い方がとても上手だった印象があります。また、アウトサイドシュートの確率も良かったので、見習うべきだとも思いました。

――現在の齋藤選手は3ポイントシュートを武器の一つとしていますが、高校生の時はどんなプレースタイルだったのですか?
齋藤 当時はドライブやジャンプシュート、長い距離の2ポイントシュートが多かったですね。3ポイントの距離が長くなって間もない頃だったので、監督に「シューター以外はあまり打つな」と言われていて。なので、3ポイントシュートはあまり打っていませんでしたね。

――1、2年次に多くの経験を積んで最終学年を迎えましたが、心境の変化はありましたか?
齋藤 特に変わっていないと思いますが、後輩への理不尽な罰は廃止しました。自分たちが嫌でしたし、不要な伝統は断ち切らないといけないと思っていたので。

――3年次のインターハイでは2回戦で東海大三高校と対戦。90-70で勝利し、昨年のリベンジを果たしました。
齋藤 組み合わせを見た時同じヤマにいたので、当たるかもしれないとは思っていましたが、お互い勝ち上がることが条件だったので。お互い気の知れたメンバーがいたこともあり、いざ対戦となった時は僕だけではなくチーム全体で気合いが入っていました。

――高校最後の大会となるウインターカップでは神奈川県予選決勝で法政大二高校に敗れ、引退となりました。
齋藤 悔しかったですね。ウインターカップは高校3年間の集大成なので、思い入れは強かった。なので、僕含めチームのみんなが泣いていました。

――神奈川県には強豪校が多く、勝ち上がるのが難しいイメージがあります。
齋藤 そうは思わないですね。例えば福岡県は勝ち上がったチームがベスト4や決勝まで行って結果を残しますが、神奈川代表は安定した成績を残せていません。毎年違うチームが全国大会へ出場するのでレベルが高いというイメージがついてしまっていますが、福岡の域には達していないと思います。

――高校3年間で最も成長した部分は?
齋藤 一番成長したのは、精神的な部分ですね。桐光では部活以外のところでも人として成長させてもらったので。技術だけでなく精神的に成長できたことにすごく感謝しています。

――それは顧問の先生の方針でもあった?
齋藤 そうですね。バスケ部には「桐光学園のバスケットボール部員である前に、桐光学園の生徒であれ」という部訓があって。スポーツ推薦で入ったから、ただバスケットをやっているだけじゃダメだよという教えだったので、それが大きかったと思います。

――では、最後に中高生へアドバイスをお願いします。
齋藤 いろいろな選手を見て、自分の発想をもっともっと広げて、想像力を豊かにしながら楽しんでほしいですね。まずは「楽しむ」というのがすごく重要だと思いますし、想像力を豊かにしておくのはやっておいて良かったと思います。育成年代で身につけておくべき能力の一つだと思います。

 あと、やっておけば良かったと思うのは、チャレンジ精神をどん欲に出すこと。今は僕の時代とは違って、海外に出るチャンスが多くあります。少しでもそういうチャンスがあるのなら、迷うことなくつかみに行って、より大きな刺激を受けてほしいです。

齋藤は高校生活で身につけた精神力をプロ生活で生かしている[写真]=B.LEAGUE

PROFILE
齋藤拓実(さいとう・たくみ)名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
神奈川県の桐光学園高校出身。高校2年次にインターハイとウインターカップへ出場し、ウインターカップではベスト8進出へ大きく貢献した。最終学年ではインターハイへ出場するも、ウインターカップでは神奈川県大会決勝で敗れ全国出場を逃した。高校卒業後は明治大学へ進み、2017年にアルバルク東京へ入団。滋賀レイクスターズ(現滋賀レイクス)でのプレーを経て、2020年に名古屋ダイヤモンドドルフィンズへ加入し、今シーズンからキャプテンを務める。

齋藤 拓実の関連記事

名古屋ダイヤモンドドルフィンズの関連記事

B1の関連記事

BASKETBALLKING VIDEO