2023.05.10

滋賀レイクス、苦難の序盤戦から立て直しを見せながら無念のB2降格…最速でのB1復帰を「滋賀一丸」で狙う

一時巻き返しを見せたものの、4月中盤から7連敗。最終節では初戦勝利も残留は実らなかった [写真]=B.LEAGUE
スポーツジャーナリスト

 滋賀レイクスは5月7日、アウェーの京都市体育館で運命の1日を迎えた。今シーズンはクラブのリブランディングを実施し、チームにはテーブス海湧川颯斗など注目の選手が加入。チャンピオンシップ進出を目標にスタートしたシーズンだったが、2度のヘッドコーチ交代や主力選手のケガなどで思うような成績が残せなかった。京都ハンナリーズとのB1リーグ2022-23シーズンの最終戦、勝利が絶対条件の戦いに挑んだ。

 3943人のうち約半分がB1残留を信じて止まないファンやブースター。アリーナはレイクスブルーで染まり、チームを大声援でサポートし続けた。オーバータイムで劇的勝利を収めた前日の勢いに乗って戦いたかったが、硬さが見えてしまい、京都の猛攻を受けて序盤に大きなビハインド。その後は激しいディフェンスを展開することで本来の攻守のリズムを取り戻し、一進一退のゲーム展開を繰り広げた。

 しかし、第4クォーターの残り5分を切って、ハードに戦い続けた選手たちの足が止まり始めた。シュートもリングに嫌われると、結果として「0-15」のランニングスコアがすべてを決めてしまった。69-85のスコアで敗戦を喫すると、1時間遅れで試合を開始した富山グラウジーズが勝利を収めたことにより、滋賀は無念のB2降格が決定した。

 チームの再建を託されたダビー・ゴメスヘッドコーチは試合後、自身の携帯電話に書いたメモを見なければいけないほど気持ちの整理がついていない様子だった。そして、滋賀に関わる人たちへの感謝の言葉とともにシーズンを振り返った。

「B1残留を決められなかったことを本当に申し訳なく思っています。素晴らしいブースターの皆さんのもとでプレーできたのは大きなことで、シーズンをとおして感謝しかありません。プロとして、目の前の現実を受け止め、次のステップにつなげていかなければいけない。自分がHCに就任した当初はメンタル面で厳しい状況で、全員が途方に暮れていました。自分が再度チームに規律を求めると、選手全員が成長して立て直してくれましたし、クラブが自分のことを信じて常にサポートしてくれた。これにも感謝でしかないです。この瞬間からB1復帰するために休むことなく、各々が自分のやるべきことを考えて行動していきたいと思います。そして、滋賀のファミリー全員で一緒にB1復帰したい」

 HCの会見後、多くの選手たちが会見場に現れ、コメントを残した。どの選手も失意で表情は重く、「申し訳ない」とそれぞれが口にした。昨シーズンのBリーグチャンピオンに輝いた経験を滋賀に還元して、結果を残したかったテーブスは次の言葉を残した。

「シーズン序盤からケガ人やヘッドコーチ交代など苦しい状況で連敗も続いて……。それでも、ブースターの方々が、何があっても応援してくれたおかげで、僕たちは諦めずに最後まで戦えました。感謝の気持ちでいっぱいですし、それよりも残留という形で期待に応えられず、本当に申し訳ない気持ちです。『チームを勝たせられるガード』になりたいと口にしていたなかで、自分のパフォーマンスや力が足りてないことを実感しました。キャリアとしてこの経験は通過点だと思うので、糧にして成長し続けたい」

テーブスにとって滋賀加入1年目は苦難のシーズンになった [写真]=B.LEAGUE

 また、シーズン途中に特別指定選手として加入した高卒ルーキーの湧川は「シーズン途中からチームに合流して、滋賀に関わるすべての人が温かく迎え入れてくれて。少しでもチームの戦力になりたいと思っていました。そこで自分の力をあまり発揮できず……。この現実を受け止めて、来シーズンも契約があるなかで役割がはっきりしてくると思うので、それを全うしていく思いで頑張らなければいけない」と決意の言葉を発した。

 また、釜渕俊彦代表取締役社長は「この結果は私の大きな責任だと痛感していて、本当に申し訳ないです。滋賀の誇りとなるために、日本一のクラブを目指すという歩みを進めることに変わりはありません。最短でのB1復帰をブースターはもちろん、滋賀のみなさんとともに目指して歩んでいきたい」と話した。

 クラブとして新たなストーリーを始めた最中でのB2降格。それでも京都市体育館に集まったブースターの熱は、まさしく「滋賀一丸」という言葉どおりの力を感じた。その力を持って、失意の瞬間からB1復帰への歩みを進めていく。

「滋賀一丸」となって再起を目指す [写真]=鳴神富一

文=鳴神富一

この試合の他の記事

滋賀レイクスの関連記事

B1の関連記事