2023.05.12
レギュラーシーズン上位8チームによる「日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2022-23」がいよいよ幕を開ける。出場チーム紹介第5回目は、苦しい台所事情のなかで好成績を残したアルバルク東京をピックアップする。
文=永塚和志
日本人エースの田中大貴をはじめ、常時誰かが故障欠場している状態を強いられ、結果的にレギュラーシーズンの全60試合に出場したのはザック・バランスキーとセバスチャン・サイズのみだった。それでも、2度のリーグ王者はチーム力で乗り切り、途中までは10以上の連勝を2度記録しながら東地区首位の千葉の背中についていった。が、故障車の多発で層が薄くなってしまったことが影響し、2月以降は負けがこんでしまった。
もともとこのチームのアイデンティティはディフェンスにあったが、今シーズンはリトアニア人のデイニアス・アドマイティス氏が新たなヘッドコーチとなったことで、より強度を高くし、頻繁に選手を交代するスタイルで戦った。71点というB1トップの平均失点はそれが奏功した形だ。
オフェンス面に目を向けると、平均77.3点で同17位と伸び悩んだ。これはこのチームがジャスティン・コブスによるハーフコートからのピック&ロールを使ってじっくり攻めるスタイルだということと、3ポイントが少ない(平均試投数はB1 最下位の21本)ことが影響したからだろう。平均得点は今年のCS出場8チーム中、もっとも少ない。
強みはリバウンドを含めたインサイド陣のアレックス・カーク、サイズ、ライアン・ロシターと、1対1からのドライブインに強いコブスのベテラン勢だ。アルバルクはオフェンスリバウンドと(平均13.5本はB1 2位)と被ファウル数が多く、よりフィジカルさとハッスルが問われるポストシーズンではセカンドチャンスからの得点でも優位に立ってくる可能性がある。
2019年のワールドカップメンバーとなるなど、個人の力量の高さはかねてより評価されてきたが、アルバルク移籍2年目となった2022-23シーズンは、スクリーンを多用してズレを作るアルバルク独特といっていいスタイルにより順応した。
とりわけ3ポイントはパスを受けてからかなり速く、かつ軽く打てるようになっており、試投数が前年より平均で2本以上増えた。チームにシューターが少なく、CSでも相手は彼に3ポイントラインの外から打たせないように守ってくるのは必至だが、その中でもシュートを決めれば勢いがつくはずだ。
ディフェンダーとしても飛躍しており、とりわけフィジカルさを生かしてマッチアップする相手を自由にプレーさせない仕事ぶりが際立つ。安藤がいわゆる“3&D”としての役割を高いレベルでこなすことが、チームの命運を握る要因のひとつになると予想する。
■クォーターファイナル(vs島根スサノオマジック@松江市総合体育館)
第1戦:5月12日(金)19:05開始
第2戦:5月13日(土)19:00開始
第3戦:5月15日(月)19:05開始※結果により開催されない可能性あり
■ロスター
・A東京(HC:デイニアス・アドマイティス)
ジャスティン・コブス
藤永佳昭
岡本飛竜
吉井裕鷹
安藤周人
ザック・バランスキー
セバスチャン・サイズ
平岩玄
ライアン・ロシター
田中大貴
笹倉怜寿
アレックス・カーク
小酒部泰暉
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