2023.05.12

ついに開幕する「日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2022-23」…大会をより楽しむための5つのトピックを紹介

今季のCSは5月12日に開幕する[写真]=B.LEAGUE
バスケはもちろん、サッカーや野球、ラグビーにも精通する“球技ライター”

 ついに開幕を迎える「日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2022-23」。本稿では、大会をより楽しむための5つの注目トピックを紹介する。

文=大島和人

①優勝本命? B1史上最高勝率の千葉ジェッツに注目

驚異的な勝率で東地区優勝を果たした千葉J[写真]=B.LEAGUE


 今シーズンの千葉Jは歴代最長の24連勝を記録し、53勝7敗のB1史上最高勝率でレギュラーシーズンを終えた。ただ、開幕前には不安要素があった。

 Bリーグ初年度からチームを率いてきた大野篤史ヘッドコーチが去り、コーチングスタッフも完全に一新された。池内勇太GM、ジョン・パトリック新HCともに「ハードな守備」「速いテンポの試合運び」の継続を強調していたとはいえ、未知数な部分が大きかった。

 シーズンが始まっても大倉颯太二上耀など若手の負傷が相次ぎ、順風満帆だったわけではない。ただそんななかでチームは「よりジェッツらしい」戦いを見せ、圧倒的な結果を残した。

 昨シーズンとの違いを挙げるなら、まずはヴィック・ローの存在だろう。ドライブ、3ポイントと万能なタイプで、1試合平均得点17,1はチーム最多。攻撃以上に強烈だったのが守備で、彼はポイントガードからセンターまで「そのとき相手チームのなかで一番危険な選手」をマークしていた。逆に昨シーズンまで“エースキラー”を任されていた原修太は、オフェンスでも覚醒した。この2人は相手から見てなかなか“面倒”な存在だろう。

②琉球2度目の正直へ…前年準優勝→翌年優勝の法則に注目

昨年は惜しくも準優勝に終わった琉球[写真]=B.LEAGUE


 昨シーズンの琉球は誰が見ても分かりやく強い、華があるチームだった、ただ今シーズンは並里成ドウェイン・エバンス小寺ハミルトンゲイリーが他クラブに移籍している。強力なハンドラー、Bリーグ最高レベルのオールラウンダー、インサイドの帰化選手が抜けたのだから、チームは変化が必要だった。

 もちろんリング下の支配者ジャック・クーリーは健在で、インサイドの破壊力は昨シーズン以上。ジョシュ・ダンカン松脇圭志といった“オフボールの仕事人”を獲得したことで、スタイルはよりソリッドに変わった。シーズン半ばに加わったフィリピン代表のカール・タマヨはアジアの未来を担う逸材で、渡邉飛勇牧隼利田代直希といった昨シーズンは負傷でほぼ不在だった選手が戻ってきたことも大きい。

 琉球はこれまでBリーグのセミファイナルで3度敗れ、初めてファイナルに進んだ昨シーズンは並里選手の欠場もあり悔しい2連敗に終わった。しかしそんな彼らにとって明るい材料が一つある。2021-22シーズンの宇都宮ブレックス、2020-21シーズンの千葉ジェッツと、「直近のCSで準優勝にとどまったチーム」が2シーズン連続でファイナルを制しているのだ。となれば、今シーズンは琉球の順番かもしれない。

③「東高西低」はもはや過去…激しい競争を勝ち抜いた西地区チームに注目

近年強化を進め、リーグでの存在感を高めている島根と広島[写真]=B.LEAGUE


 過去にBリーグのCS王者を経験しているのは宇都宮、A東京、千葉Jの3チームで、いずれも東地区所属だ。しかし今シーズンのB1でもっとも平均勝率が高い、競争の激しいエリアは“西”だった。

 西地区を“ホット”なエリアに変えたのは広島、島根の2クラブだ。広島は18年末にNOVAホールディングス、島根は19年夏にバンダイナムコエンターテイメントが経営へ参画。強化、集客の両面で東地区の強豪に劣らない取り組みが始まった。

 島根は2021-22シーズンにポール・へナレHCを招聘し、ペリン・ビュフォードニック・ケイ安藤誓哉といったその後の「柱」となる選手を獲得。「バズソースタイル」と称される攻守にアグレッシブなスタイルを定着させ、昨シーズンは初のCS出場、ベスト4進出を果たした。今シーズンも地区2位でCSに挑む。

 広島も昨シーズンに辻直人寺嶋良アイザイア・マーフィーと強力な移籍選手を獲得し、中村拓人佐土原遼といった大卒の有望株も続々と加入。今シーズンは就任2年目のカイル・ミリングHCがチームの底上げに成功し、地区4位ながら40勝越え&ワイルドカードで初のCS進出を決めた。3月には220センチのカイ・ソットを「アジア枠」で迎え入れるなどやはり期待値が高い。

④リーグを沸かす22歳・河村勇輝率いる初出場・横浜BCに注目

今シーズン圧倒的なパフォーマンスを披露している河村[写真]=B.LEAGUE


 2022-23シーズンのB1で、予想以上の戦いを見せたチームを一つ挙げるなら横浜BCだ。Bリーグ初年度から残留争いの常連だった彼らが、今シーズンは川崎と中地区の首位争いを繰り広げ、地区2位でCSに出場する。

 新加入組にそれほどの上積みがあったわけではない。最大の変化は河村勇輝が東海大学を中退し、プレシーズンからチームに合流したこと。そして河村中心の速いオフェンスがハマったことだ。

 チャールズ・ジャクソンパトリック・アウダとのピック&ロールは連携が抜群で、相手チームは対応に苦慮していた。河村の「右ドライブ」を封じるのは守備の定石だが、河村は左に開いた後のシュートもいい。試合中に相手を観察する能力も高く、クラッチタイムになるとさらに怖くなる。1試合平均19.5得点、8.5アシストというスタッツも見事だが、それ以上にチームを勝たせた、引き上げたことが素晴らしい。

 CSに向けた不安は河村とジャクソンの負傷。河村は8日の会見を、検査を理由に欠席している。ジャクソンも6日の試合で負傷し、7日の最終戦は出場していない。2人のケガが軽く、プレーに支障がないレベルであることを願いたい。

⑤CSの活躍でワールドカップ行きも見据える日本代表選手たちに注目

CS終了後に日本代表としての活躍も期待される須田と吉井[写真]=B.LEAGUE


 BリーグのCSは5月末に終了する。しかし今年はシーズンオフにフィリピン、日本、インドネシアが共催するワールドカップが待っている。CSにも日本代表入りを期待される人材が何人も出場している。

 富樫勇樹(千葉J)、河村勇輝(横浜BC)の両PGはリーグにとっても目玉選手だし、ケガから復活した渡邉飛勇(琉球)も華のあるインサイドプレイヤーだ。ただ本大会に向けた“激戦区”はウイング(SG/SF)だろう。

 8月に開幕するワールドカップには、2月のアジア予選でプレーできなかった“海外組”が加わってくる。トム・ホーバスHCはBリーグでの実績と関係なくポテンシャルの高い若手を抜擢し、戦力化してきた。ただウイングは渡邊雄太馬場雄大、富永啓生らが一気に加わるポジション。これまで代表でプレータイムを得てきた須田侑太郎(名古屋)や吉井裕鷹(A東京)はこのCSでより一層のアピールが必要になる。原修太(千葉J)や安藤周人(A東京)、今村佳太(琉球)といった面々も、大会の活躍を通して“逆転代表入り”の可能性がある面々だ。

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