2023.07.27

「ドラフト制度」や「オンザコートフリー」導入へ…アグレッシブな“新Bリーグ”の制度設計が公開

新たなBリーグの詳しい制度設計が明かされた[写真]=バスケットボールキング
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 7月27日、Bリーグは「将来構想に関する記者会見」を実施。2026年に始動する“新Bリーグ”が予定している制度設計がその概要とともに発表された。

 会見に登壇した島田慎二チェアマンは、冒頭で2026年に始動する“新Bリーグ”のロゴデザインを発表し、それに合わせて“新B1”の正式名称が「B.LEAGUE PREMIER(Bプレミア)」、“新B2”は「B.LEAGUE ONE(Bワン)」、“新B3”は「B.LEAGUE NEXT(Bネクスト)」という名称になることを明かした。なお、各カテゴリーのクラブ数は上から「18」「30」「10」程度を想定しているとのこと。

新Bリーグのロゴデザイン。2026年から使用される予定[写真]=バスケットボールキング

 各カテゴリーの役割のイメージも設けられており、Bプレミアは競技力・エンターテイメントにおいて世界水準であり、高いレベルでの個の精進を目指すカテゴリー。Bワンは地域に根差して世界と戦う準備をするカテゴリー。Bネクストはクラブ経営の基盤を築いてプロ水準を目指すカテゴリーであるとのこと。Bネクストについては、各ラブの成長を促すことで2030年ごろにはBワンと統合を予定しているようだ。その後、会見の内容はより詳細な設計の紹介に移行した。

“将来構想”改め“B.革新”

 Bリーグが「世界に伍する最高のプレー」、「最高のエンターテイメント」を提供し、より「バスケで日本を元気に」するためには、クラブが選手・強化・スタッフ・地域活動に投資できる経営力をつけることが不可欠。

 そのために競技成績による昇降格の廃止し、ライセンス基準を満たしたクラブがその都度参入する形をとり、同時にそのライセンス基準を引き上げることついてはこれまでも説明されてきたが、今回より詳細な制度設計が公開されることとなった。

 その上で まず最初に島田チェアマンは「将来構想」が“実行段階”に入ったとして、その呼称を「B.革新」と改めることを発表した。そしてその革新、改革を起こすにあたってのビジョンとして、「DiverCivic」と「無限の可能性」という2つのキーワードを打ち出した。

「DiverCivic」に込められたのは地元と固い絆を結ぶ地方創生の意思、そして「無限の可能性」に込められたのはすべてのチーム、選手に栄光のチャンスをもたらす意思。後者を実現するために、「全試合接戦」を目指してリーグとして“戦力拮抗策”を積極的に打ち出していくという。

 そして具体的に示されたのが「サラリーキャップの導入」「登録・ロスター・オンザコートの改変」「育成補償金や柔軟なレンタル制度による選手流動生向上」「ドラフト制度導入」「平日試合を増やすカーディング」「ポストシーズンの規模拡大」という6つの改革となる。

アグレッシブな制度設計

 まずは「サラリーキャップ」とは、前述の戦力拮抗をもたらすため、そしてクラブの健全経営のために所属選手全員の年俸の総額を定めるというもの。 リーグの説明によると、「各クラブの外国籍選手のレベルをそろえること」が目的の一つにあり、同時に「クラブのスカウティング能力や交渉力の上昇」も期待してのものとのこと。

「登録・ロスター・オンザコートの改変」については、Bプレミアにおいては外国籍選手のオンザコートフリーを検討しており、BワンとBネクストについては「2-1-1-2」と各クォーター毎に出場人数を制限する方針とのこと。これにより下位カテゴリーで日本人選手の出場機会を確保し、選手の成長環境を作る方針のようだ。

「選手流動性」を向上するために柔軟なレンタル制度とは、NBAにおける2way契約に着想を得たものとのこと。Bリーグでは「ダブルチーム選手」と呼称し、基本的にはBプレミアに所属する選手が下記カテゴリーでプレーする機会を得るもので、報酬については所属元のBプレミアクラブが全額負担。一方であくまで選手の契約元はBプレミアになるため、Bプレミアが臨んだタイミングで選手を呼び戻すことが可能となるという。

 育成補償金とは選手移籍の際に育成元クラブにお金が支払われる制度で、これはBプレミア以外のクラブに所属する選手がBプレミアに移籍する場合のみ発生するもののようだ。なお、Bプレミアに至るまでに複数クラブの所属していた場合、その全クラブに育成補償金を支払われる。

 そして「ドラフト制度」についてはBプレミアのみを対象としたもので、2026年からの導入を検討しているという。基本的には学生を対象とする想定で、未だ調整事項は多いとのことだが、ドラフトされる選手たちが不幸になることはないよう、Bプレミアに属するクラブの練習環境や最低年俸を問題なく支払える経営状態などはしっかりとチェックされるようだ。また、現状の特別指定選手制度やユース育成枠と相反する点は課題であり、順次解決していくとのこと。

「カーディング」については、露出拡大やアリーナ運営、選手コンディション、アウェー観戦のしやすさを鑑みて、週末試合と平日試合をバランスよく開催する方針。また、FIBA WINDOWの前には直前強化合宿等の日本代表活動を優先しつつ、リーグ戦を同時開催するようだ。なお、代表招集選手については代表活動を優先しなければならず、原則としてリーグ戦出場を認めない方針とのこと。

「ポストシーズン」については、Bプレミアのファイナルにホーム&アウェー方式を導入し、3戦先勝方式にすることが検討されている。さらにBワンについてはプレーオフの希望を拡大し、16クラブが参加するものになるという。

 各制度については検討中のものでもあり、2026年に向けて今後ブラッシュアップしていく方針で、年内には現在検討中の箇所を確定させた制度が発表される予定とのこと。

会見には選手たちも登壇し、それぞれの制度に対しての感想を語った[写真]=バスケットボールキング

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