2023.11.10

指揮官が「コート上のHCに」と期待する名古屋Dの齋藤拓実…長崎戦では18得点で勝利へ導く

この日の齋藤は18得点8アシストのパフォーマンスを発揮[写真]=B.LEAGUE
フリーライター

「ドルフィンズアリーナ、こんなにも熱くなっています」

 11月8日、長崎ヴェルカとの一戦を制し、自身は18得点を奪ってMVPを獲得した名古屋ダイヤモンドドルフィンズ齋藤拓実は、コート上の勝利者インタビューでこのように発した。

 名古屋Dのホームコートであるドルフィンズアリーナには平日の夜ではあったものの5590人が集い、試合前から熱気が立ち込める。

 西地区の上位対決となった試合は、名古屋Dが前半を3点ビハインドで終えると、後半は幾度となく長崎に離される展開に。第4クォーター中盤には一時11点のビハインドを負ったが、そこから齋藤が奮起。第4クォーターだけで3ポイントシュート4本を含む14得点を挙げると、佐藤卓磨、ロバートフランクらも続き、最後は101―97で逆転勝ち。駆けつけたファンは歓喜に沸いた。

「(試合では)ずっと負けていたので『ディフェンスから』と意識していました。ただ、今日の試合は第4クォーターで僕のシュートタッチが良かったいうのもあったし、ロバート・フランクス佐藤卓磨もしっかりシュートを決めていました。あのオフェンスというのは全部ディフェンスからのトランジションの中だったので、そういった意味ではいいオフェンスが構築できているのかなと感じています。僕が決めたシュートもチームで考えていたオフェンスではあるし、ジョシュア・スミスがいいスクリーンをかけてくれたおかげで、自信を持って打つことができました」と、試合を振り返った齋藤。4本沈めた自身の3ポイントシュートについても「それこそ最初はシュートタッチは良くないなという感じでいました。ただ、3、4本目はもう本当に自信を持って。それに1、2本目に関しても自分たちのリズムのショットではあったので。あ、2本目はちょっと違うかな。でも、打つタイミングでのシュートではあったので、そこは練習どおりしっかりとできたと思います」と、語った。

 もちろん、勝ちはしたものの、「相手のトランジションオフェンスを守らなければいけない中で走られてしまい、オープンショットを打たせてしまったり、ドライブでやられてしまったり、ディフェンスで正しいポジションにいなかったことで3ポイントシュートを良いリズムで(相手に)打たせてしまったりした場面がありました。打たせたくない選手に打たれていたので、97失点はチームとしては改善する余地があると感じています」と、反省点もある。オフェンスについても同様で「シーズンの序盤でチームとして合ってないところもまだあります」という。それでも、「全員が得点できて、全員がボールをシェアしていくことを目指していますが、ここ数試合ではなかったトータルのアシストが27という数字はチームとして良い方向にいっていると感じています」と、長崎戦では手応えも感じたようだ。

 勝利の立役者となった齋藤について、指揮を執るショーン・デニスヘッドコーチは、日本でもトップのポイントガードと評する。その上で、「トップのガードとしてリーダーシップを取らないといけない。コート上のヘッドコーチになってほしいと思っています」と、今後に向けても期待を込めた。

デニスHCは、「コート上のHCになってほしい」と齋藤に期待する [写真]=B.LEAGUE


 齋藤の言葉どおり、シーズンはまだ序盤。

「ディフェンスでは相手によって変えていかないといけないし、長崎のようなチームには、1対1のディフェンスではプライドを持って戦わないといけないと思っています」と語った齋藤は、続けてオフェンスについても言及する。

「長崎と(11月4、5日の)群馬クレインサンダーズの2戦目を勝ったのは、オフェンスの改善があったからというのもあると思っています。いいオフェンスからいいディフェンスへとつながると思うので、(オフェンスの)精度をもっと上げていかないといけないと感じています」

 今シーズン、新たに加入したフランクス、ティム・ソアレスジョシュア・スミスとは、よりコミュニケーションを取っていきたいという齋藤。名古屋Dの命運を握るキーマンは、司令塔として、またコート上の指揮官として、これからも持ち味のアグレッシブなプレーでチームを引っ張っていく。

文=田島早苗

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