2024.07.01

篠山竜青・橋本竜馬がプロの技と心を子どもたちへ…88年組による初クリニック開催

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■「やっておけばよかった」経験を基にしたレッスン

 B1リーグで活躍する篠山竜青川崎ブレイブサンダース)と橋本竜馬越谷アルファーズ)、そして横浜ビー・コルセアーズ所属から引退後も3人制バスケで競技を続ける湊谷安玲久司朱、3名の1988年生まれを中心に結成された「88 Basketball Camp」によるクリニックが、6月22〜23日の2日間にかけ山口県・鹿児島県で開催された。

篠山・橋本・湊谷の3人を中心とした初クリニック開催

 山口県熊毛郡のTAIKOスポーツセンターで初開催を迎えたクリニックは、県内外から集まった小学4年生から中学3年生の約100名とミニバス指導者が、午前・午後に分かれ受講。最初にスポーツリズムトレーニングインストラクター・原ゆうか講師によって、音楽に合わせてさまざまなジャンプをするウォーミングアップが行われた。「初見の動きを覚えて真似することは、バスケにおいて新しいプレーを教えられ実践する練習にもつながる」というリズミカルな運動は、プロ選手を目の前にして少し固くなっていた生徒たちの笑顔を引き出すことにも一役買っていた。

ウォーミングアップで緊張がとれ、選手たちと思いきりトレーニングに励んでいた

 具体的なメニュー組み立てを担当し、レッスンを主導したのはトライフープ岡山GM兼HCである大森勇だ。“ぶつかる”をテーマに構成されたというメニューは篠山と橋本が手本を見せた後グループに分かれ選手が一人ひとりを細かく指導、を繰り返し進行。基本的なフィジカルコンタクトの練習に始まり、コンタクトを受けながらのシュート、ディフェンスの掛け方など、プロとして活躍する選手自身が「これまでやっておいてよかった&やっておけばよかった」と実感しているという部分に重点を置いたドリルが行われた。

大森コーチ主導のもと、篠山・橋本コンビが手本を見せる

 クリニック後半では、複数の生徒チームが2分交代で選手含む大人のみで構成されたチームと実戦を通して学ぶ、5対5の試合が行われた。声出しや連携、連続3ポイントシュートなど、子ども相手でも手を抜く様子を見せずに対戦する選手たちに、生徒たちも負けじと、受けた指導を活かしながら選手を抜きシュートを決める様子が見られた。憧れの選手に文字通り体当たりで指導を受けた生徒たちからは「1対1で教えてもらえて面白かった」「いつもと違う練習ができて勉強になった」「プロの選手のシュートがたくさん見られてうれしかった」など、興奮する声が聞けた。最後にボールやユニフォームなどのアイテムに選手全員からサインをもらい、1人ずつ写真撮影が行われ、約2時間のクリニックは終了となった。

選手たちの熱いプレーの連続に、参加した生徒や観覧者も大いに盛り上がった

■何をやるかではなく、どうやるのかを伝えるクリニックに

88 Basketball Camp」はどのような経緯で設立に至ったのか尋ねると、橋本は「最初は3人でただ食事に行っただけでしたが、バスケの話になり、自分たちはバスケットに育てられたし恩返しができたらいいねと行動してみることにしました」と話し、篠山は「自分たちは身体能力も高くなく、また年齢を経て、やれることが限定されてきた中でも、ここまでなんとかバスケのトップリーグでプレーしてきています。その大事なところってなんだろうという部分を、子どもたちに伝える機会が必要じゃないかというところから始まってます」と続けた。

子どもたちがクリニックで学んだことを考えて実戦で使えるようにと何度も話し合って決まったメニュー

 また「何を練習することが成長に繋がるかという情報は、今どこにでもあふれている時代です。そうした情報から学ぶことも大事ですが、88 Basketball Campではバスケを“どうやるのか”を伝えていきたいです。現役の自分たちが、どういう姿勢でバスケをやっているのかを肌で感じてもらって、成長のヒントにしてもらえたら」と、篠山はクリニックを行う上で大切にしたい想いを語った。

豊富な経験に基づいたバスケの向き合い方を子どもたちに伝える

 実際に声を張り上げ手を叩き、さながら試合でチームメートを鼓舞するかのような熱のこもった指導を行っていた篠山は「この取り組みで初めて自分たちで全部、準備も運営もやってみました。反省点は諸々ありますが、もっと良い取り組みにしていけるなという手応えを感じています。改めて、参加してくれた子どもたちには本当に感謝しています」と、初回クリニックを振り返った。

これからの88年組の取り組みに期待が高まる

 橋本は「さまざまな方の協力を経て、今回は原さんにつなげてもらった山口・鹿児島からクリニックをスタートしました。今後の1つの目標としては各都道府県を1つずつ周って自分たちの経験や想いを伝えていきたいです。まだまだ未完成な部分もありますが、バスケットボールに還元するためにも、後輩たちに何かを提供していく道を探っていけたら」と述べ、長年競い合ってきた同世代の仲間と共に新たな試みに挑めることを楽しく思っている様子が伺えた。

文・写真=AKUYAN

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