3時間前

松崎裕樹選手(横浜ビー・コルセアーズ)インタビュー 「オフコートでも子どもたちに夢や希望を」後編

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社会的責任活動「B.LEAGUE Hope(B.Hope)」では横浜アリーナで開催された「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2023-24」にて令和6年能登半島地震復興支援活動「With 能登」として被災地の子どもたちを招待。バスケットボールクリニック、メインコートでの紅白戦に参加しました。今回は子どもたちを指導した横浜ビー・コルセアーズ松崎裕樹選手にお話をうかがいました。※本インタビューはB.LEAGUE HOPE(https://www.bleague.jp/b-hope/about/)に掲載された記事を転載したものです。

【インタビュー対象者】
松崎裕樹選手

©︎B-CORSAIRS

ーー1月1日に発生した能登半島地震をどのようにして知りましたか?
松崎)試合の翌日ということもあって、家で年を越していました。Xを開いたら、タイムラインが石川県の地震に関するものばかりでした。テレビのニュースを見て、大きな地震が発生したということを知りました。こんなにも被害が出るとは思っていなかったので、本当にビックリしました。

ーー地震後にチーム、個人として取り組んだことはありますか?
松崎)石川県出身の(森井)健太さんと伊藤(大樹)アナリストは試合会場での募金活動に参加していて、個人としてはコンビニエンスストアなどで募金しました。

ーー日本生命 B.LEAGUE FINALS 2023-24」でのB.Hope ACTIONに参加しました。オファーを受けた時の感想を聞かせてください。
松崎)何か取り組めることはないかと思っていたところ、チームから「B.Hope ACTIONに参加してほしい」と依頼されたので「もちろんやります」と。健太さんが地元でクリニックを開催しているのを知っていましたし、その活動に感心していました。被災した子どもたちと触れ合い、バスケットボールの楽しさを伝えられたと思います。こういった機会を与えてくださった関係者の皆さまに感謝したいです。

ーー子どもたちと会話する機会もあったと思います。
松崎)辛い体験だったにも関わらず、楽しそうにバスケットボールをプレーしていました。健太さんや自分からいろいろなものを吸収しようとしていて、多くの質問も受けました。例を挙げると「キャプテンとしてどのように引っ張っていけばいいですか?」と。僕はキャプテンを務めた高校、大学ともにチームメートに恵まれていました。「自分1人で引っ張り続けるというより、自分の信頼できる仲間と一緒にチームを作り上げるような心構えを持ったほうがいい」と伝えました。

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ーーこれまでのキャリアで教える立場になったことはありますか?
松崎)チームとして取り組みで小学生や中学生に教える機会は何度かありました。また、昨年は母校の東海大学も参加したWUBS(世界大学バスケットボール選手権)という大会の開幕前日、Wリーグの髙原(春季/東京羽田ヴィッキーズ)選手と一緒に中学生を対象としたクリニックに参加する機会もありました。

ーー指導の際に意識していることは?
松崎)同じ目線になることです。バスケットボールを始めたばかりの子もクリニックに参加していたので、自分が普段受けている指導をそのまま伝えると、わかりにくかったり、難しかったりします。小学生や中学生の立場になり、自分が伝えたいことを噛み砕き、わかりやすく説明するようにしています。技術面も大事ですけど、バスケットボールという競技自体を楽しめるクリニックにしてほしいという思いでした。

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ーー幼少期の頃、アスリートから教わる機会はありましたか?
松崎)2011年に地元の長崎県大村市にあるシーハットおおむらという体育館で第24回FIBA ASIA女子バスケットボール選手権が開催されました。大神(雄子/現トヨタ自動車アンテロープスヘッドコーチ)さんや渡嘉敷(来夢/現アイシン ウィングス)選手といった女子日本代表選手によるクリニックへ参加し、多くのことを教えてもらった記憶があります。当時は「すごい選手たちからバスケットボールを教えてもらえるんだ」としか思いませんでしたが、中学校、高校、大学と高いレベルを経験するにつれて、自分も憧れを与えられる立場になりたいと思うようになりました。

ーーB.Hope ACTIONに一緒に参加した森井選手は「自分がパワーをもらった」とおっしゃっていました。
松崎)ファイナルと同じ会場で試合をするのは、自分たちですら経験していないことです。緊張していたと思いますけど、アップやリハーサルの時から楽しもうという気持ちが伝わってきました。実際の試合では多くの3ポイントシュートを決めたり、自分のやりたいプレーを披露したり、一生に一度しかに味わえないような経験を楽しもうとしていました。自分も早くここに立ちたいという気持ちになり、奮い立たされるものがありました。

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ーー横浜ビー・コルセアーズから京希健U15ヘッドコーチ、伊藤大樹トップチームアナリスト、高橋亮トップチームデベロップメントコーチも参加しました。活動前、コーチ陣とはどのような会話をしましたか?
松崎)その日のためのクリニックではなく、今後につながるようなクリニックしてほしいと。ウォーミングアップでは「こういうストレッチ、こういう動きをしたらバスケットボールのプレーの向上につながるよ」とか。伊藤アナリストのワークアウトは普段から自分から取り組んでいるドリブル上達に向けたもの、京コーチのワークアウトはフィニッシュに関する実戦を見据えたものでした。少し難しかったと思いますけど、「高いレベルにいくにはこういうスキルが必要だよ」と伝えられるようなクリニックしようと話し合って、実際そのとおりにできたと思います。

ーー子どもたちのプレーはいかがでしたか?
松崎)バスケを始めたばかりの子もいましたけど、積極的に取り組んでくれました。強いチームに所属する子たちも参加してくれて、彼らは1回目こそ難しいと感じたと思いますが、2回、3回と繰り返していくと自分のものにしていき、実際の試合でも発揮していました。素晴らしい能力を持つ子どもたちが多くいると感じました。

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ーープロアスリートとして、コート外の活動に参加する意義をどのように捉えていますか?
松崎)コート内だけが自分たちの仕事ではないと思います。先ほど話したように、自分は代表選手に憧れを抱き、そこからバスケットボールに対するモチベーションも上がっていきました。自分たちの存在そのものが、子どもたちに憧れを与えられる。震災があり、気持ちが落ち込んでしまっている時でも、バスケットボールの楽しさを直接伝えられるのが自分たちだと思っています。簡単に何か変えられることはないと思いますけど、こういった活動をとおして希望を抱けるような活動をしていくのは、本当に価値のあることだと思っています。

ーー地域の皆さんに与える影響も強いと思います。
松崎)街で声を掛けられる機会は増えました。横浜には野球の(横浜DeNA)ベイスターズ、サッカーの(横浜F・)マリノスなど複数のプロスポーツチームがあり、スポーツが盛り上がっている街だと思います。そこにビーコルも割って入れるように、ということはチーム全体が意識していることです。プロとしての自覚を持って、横浜市全体を盛り上げていけたらいいと思っています。

ーーコート外の活動で取り組みたいことがあれば聞かせてください。
松崎)地元でクリニックを開催したいと思っています。田中大貴サンロッカーズ渋谷)選手、黒川虎徹アルティーリ千葉)選手、高比良寛治(長崎ヴェルカ)選手と、自分を含めて長崎県出身選手が増えてきているので、そういった選手たちと長崎県全体の子どもたちに対してクリニックを実施したいですね。まだ考えているだけですけど、将来的には絶対にやりたいです。健太さんは素晴らしい見本ですので、まずは話を聞いてみたいと思います。

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