2018.12.25

聖和学園は3回戦で敗退もエース今野紀花が見せた本当の“強さ”

ラストチャンスに挑んだ聖和学園の今野紀花。しかし、岐阜女子の前にコートを去ることに [写真]=大澤智子
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

『三度目のリベンジマッチ』――。

 聖和学園高校(宮城県)の3年生たちは、1年生のウインターカップ、2年生のインターハイと過去に2度、岐阜女子高校(岐阜県)に行く手を阻まれていた。

 だからこそ、互いに勝ち進めば3回戦で対戦することとなった「Softbankウインターカップ平成30年度 第71回全国高等学校バスケットボール選手権大会」では、この言葉をスローガンに挑んだ。

 しかし、予定通り岐阜女子との対戦となった3回戦、試合は69-87で敗退。ラストチャンスでのリベンジはならなかった。

 聖和学園にとって苦しかったのは試合開始から約4分でエースの今野紀花が3ファウルになったこと。それでも今野がベンチに下がっている間に同級生の田中歌穂、桜庭珠菜らが奮闘。何とか岐阜女子に食らいついていくと、「オフェンスでやり返せばいいと仲間に言われたし、切り替えるようにしました」と、再びコートに戻った今野もその後は積極的にシュートを放っていった。

 だが、わずか1点ビハインドで迎えた後半、開始約2分で今野の4つ目のファウル、その後、田中も4ファウルとなるなど、聖和学園はファウルトラブルが影響してリズムに乗れない。さらに堅いディフェンスにも攻めあぐねると、逆に内外とバランスの良い攻めを見せた岐阜女子にリードを広げられてしまった。

聖和学園の田中歌穂は今野をカバーして21得点をあげた [写真]=大澤智子

 試合後、ミックスゾーンで取材を受けた今野は、「感覚というか、チームのリズムもいつもと違っていたし、そこで自分自身も切り替えないといけなかったのですが、うまくできないまま(時間が)流れてしまいました」と、試合を振り返った。

 悔しさを噛み殺しながらも一つひとつの質問に丁寧に答えた今野。話が高校卒業後のアメリカ挑戦(ルイビル大学に進学予定/NCAAのディビジョンⅠ)に及んでも、「アメリカは努力しないと通用しない世界。まだまだできないこともたくさんあるけれど、それでも成長して、日本代表として活躍したいという思いがあるので、これからも必死に頑張っていきたいです」と、しっかりとした口調で発した。

 エースとして、また「アメリカに行くということはそういうこと」と、多くのメディアに注目されることも全て受け入れて挑んだ大会。最後の最後まで気丈に振る舞ったその姿に、今野紀花という選手の本当の“強さ”を感じた。

 思い描いていたプレーは出し切れなかったかもしれない。だが、「この気持ちを忘れないように、次に活かしたいと思います」という18歳は、日本で得た様々な経験を糧にアメリカへと旅立つ――。

文=田島早苗

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