2018.12.29

「地元の子だけで頑張った」津幡。躍進の要因は「みんなの頑張り」

3位決定戦に敗れたものの、津幡のキャプテン清水桃佳は22得点をゲット [写真]=兼子慎一郎
バスケットボールキングプロデューサー(事業責任者)。学生バスケをテーマにしたCM制作に携わったのがバスケに関する初仕事。広告宣伝・マーケティング業務のキャリアが一番長いが、スポーツを仕事にして15年。バスケどころの福岡県出身。

「Softbankウインターカップ平成30年度 第71回全国高等学校バスケットボール選手権大会」女子3位決定戦。津幡高校(石川県)は昭和学院高校(千葉県)に敗れ、大会を後にした。初戦で今大会注目選手の一人でもあり、U17女子日本代表にも名を連ねる野口さくらを擁する安城学園高校(愛知県)を破って勢いに乗ると、聖カタリナ学園(愛媛県)、高知中央高校(高知県)を立て続けに撃破。ほぼ全員が地元出身というチーム構成もあり、一躍大会の注目を集めることとなった。

 地元の強豪校、布水中学校が全国中学校大会で決勝に進出した際に共に主軸を務めていた清水桃佳と仲谷礼菜を中心に、粘り強いディフェンスから走るバスケットで決勝進出を目指した津幡だったが、今大会優勝候補筆頭の岐阜女子高校(高校総体2/岐阜県)の前に70ー86と敗れ、3位決定戦へと回ることとなった。3位をかけてしのぎを削った昭和学院との試合も手に汗を握る好ゲームとなり、最後の最後まで勇気をもって相手に挑む津幡らしいバスケを見せて、この大会をグッドルーザーとして去ることとなった。

 チームを率いる東山耕平コーチは試合後の取材に応じ「最後はなんとか勝ちたかった…」と言葉を詰まらせると、続けて「まさかこんなところまで来るとは思っていませんでしたが、ここまで来ることができたのは彼女たちの成長の証だなと思いますし、本当にキャプテン中心に3年生が頑張って、下級生もよくついて行ったと思います」と語る。また、準決勝で岐阜女子に敗れ、3位決定戦に回ったことで、モチベーションのコントロールが難しかったのではとの問いに対し、「最後まで試合ができるということを幸せだということと、最後のコートを思い切って楽しもうと…。最後は勝って終わろう」と、選手たちの背中を後押ししたことを明らかにした。

 この試合でも3ポイントシュート6本を含む22得点を挙げ、40分間のフル出場を果たした津幡のキャプテン清水は「先生には、高校生のバスケットボールでは、試合での気持ちが大事と言われ続けてきました。高校3年間を通して、その気持ちの部分を先生に強くしてもらいました」と語る。全国の強豪校に対し、一歩も引かずに自分たちのバスケットボールを貫きとおしたことが、その気持ちの強さが本物であったことを物語る。

 東山コーチは、今大会の津幡の躍進の理由を問われると、「地元の子だけで、うちはやっているので、なんとか田舎のチームから全国から上位に進出することを目指して頑張ってきました」と述べ、最後に「みんなの頑張りが躍進の要因だと思います」と力強く語り、笑顔を見せた。その眼差しは温かく、選手からの信頼を得るコーチが上辺ではなく、選手たちの頑張りを称えていることが伝わってくる。

選手たちの頑張りを称えた東山耕平コーチ [写真]=兼子慎一郎


 全国から能力の高い選手が集まってくる学校や、留学生を加えてよりレベルの高いバスケットボールを目指す学校もある一方、津幡のように地元の力を結集してチームを作ることもある。どのチーム作りが良い悪いではなく、プレーする選手たちに多様な選択肢があることが重要だろう。様々な特徴を持った学校がそれぞれの特徴を活かして頂点を目指す。だから高校バスケは面白い。

文=村上成

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