2019.12.19

【ウインターカップ注目校】明成(宮城)「下級生主体ながら大型で走るバスケに挑戦中」

予想先発には190センチオーバーの選手が並ぶ明成[写真]=小永吉陽子
スポーツライター

12月23日から29日の期間、都内で開催される「SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」。高校バスケット界で最も注目の集まる“冬の祭典”に向け、バスケットボールキングでは大会の注目チームをピックアップした。

ウインターカップ男子注目校(4)明成高校(宮城県)

 予定されているスタメンは全員1、2年生。さらには5人とも190センチオーバーという全国屈指の大型チームで臨む明成高校

「ここ2年は大きい選手が集まってくれたので、将来に向けて育成することが使命」(佐藤久夫コーチ)という考えのもと、190センチ台の選手がポイントガードやフォワードにポジションをコンバード、あるいは複数のポジションをこなすオールマイティーな選手を目指して練習している。180センチ台で中学時代にフォワードだった選手たちも、U16日本代表候補の一戸啓吾(2年)が国体でポイントガードを務めたように、ボールハンドラーになるべくトライしている。

 期待の1年生トリオである山﨑一渉、菅野ブルース、山崎紀人は早くもスタメンに抜擢。その中でもとくに山﨑は「1年からチームの柱として育てる」と佐藤コーチが期待している逸材だ。199センチのサイズを持ち3ポイントラインのはるか後方から放つシュートが得意で、東北大会決勝の能代工業高校(秋田県)では3ポイント10本を含む41得点をマークして注目を集めた。

 だが、実際のところ山﨑は夏までは足に負傷を抱えており、5月の能代カップや8月の東北国体予選を休養している。インターハイでは軸がない脆さが出て無念のベスト16で敗退となったが、秋以降、山﨑がようやく集中して練習ができるようになったことで、チームの底力もついてきた。

山﨑は夏以降の成長に期待が高まる[写真]=小永吉陽子

 秋の国体では加藤陸(2年)がリバウンドで奮闘。菅野が鋭いドライブを見せて躍動し、準優勝まで駆けあがった。また、ここへ来て選手層の厚い2年生たちの芽があちこちに出始めている。これまで地道に頑張ってきた木村拓郎やシューターの蒔苗勇人ら3年生たちも最後の大会に向けて意地を見せており、激しい競争の中でチーム力を高めているところだ。

 今大会の明成は成長の階段をのぼっている一方で、全国大会の経験値が浅い選手たちも多いことから未知数でもある。組み合わせも夏同様に厳しいブロックに入ったために、一戦一戦、3年生たちが支えながら成長していくことが、上位進出のカギとなる。

 大会に向けて選手たちは、当然のように「日本一」を掲げるが、佐藤コーチは「これまで一回一回、精度と密度の高さを求めてきた練習の成果を出せれば良し。ただ簡単には負けないバスケをします」と語る。

 その簡単には負けないバスケとは「大きな選手がスピードで第一線を走り、第一線を激しく守る」(佐藤コーチ)という、これまでの日本の高校では見られなかったスケールの大きいもの。そういった意味では、大いに注目に値するチームといえるだろう。

写真・文=小永吉陽子

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